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つんどCarrel本たち / Jul.. 2002 〜


お買い物 2002年12月ぶん
  今月も寸評なしですが、オススメ・マークは付けてみました。このコーナーもいろいろ問題はありましょうが、一年やりぬいたわけで(笑)、まぁ、よかったかな、ということで…。

『ロード・オブ・ザ・リング ― スペシャル・エクステンデッド・エディション』 (DVD) <今月のオススメ>
2002 ピーター・ジャクソン ポニーキャニオン 
 
『2001年宇宙の旅』 (DVD)
2002 スタンリー・キューブリック  ワーナー・ホーム・ビデオ 
 
『ウッドストック: 愛と平和と音楽の3日間』 (DVD)
2002 マイケル・ウォドリー ワーナー・ホーム・ビデオ 
 
『ジミ・ヘンドリックス 』 (DVD)
2002 ー ワーナー・ホーム・ビデオ 
 
『新世紀エヴァンゲリオン』 8 (マンガ)
2002 GAINAX(原作) 貞本 義行(漫画) 角川書店 
 
『トゥルー・カラーズ』 (マンガ)
2002 さそう あきら (著) イースト・プレス 
 
『Strawberry shortcakes』 (マンガ)
2002 魚喃キリコ(著) 祥伝社 
 
『現代南アジア 4: 開発と環境』
2002 柳澤悠(編) 東京大学出版会 
 
『NHKスペシャル「変革の世紀」(1) 市民・組織・英知』 <今月のオススメ>
2002 水越伸, NHKスペシャル「変革の世紀」プロジェクト(編) 日本放送出版協会 
 
『精神現象学』 (上) 平凡社ライブラリー ヘ-3-1
『精神現象学』 (下) 平凡社ライブラリー ヘ-3-1-2
1997 G.W.F. ヘーゲル(著) 樫山欽四郎(訳) 平凡社 
 
『憲法対論: 転換期を生きぬく力』 平凡社新書 164
2002 奥平康弘, 宮台真司(著) 平凡社 
 
『インド 2002〜2003年版』 地球の歩き方 3
2002 『地球の歩き方』編集室 (編集) ダイヤモンドビッグ社 
 
『テクノ・インキュベータ成功法: 計画・運営・評価のための実践マニュアル』
2002 ルスタム・ラルカカ(著) 大坪秀人, 宮崎哲也, 安保邦彦(訳) 日本ベンチャー学会(監修) 日本経済評論社 
 
『科学を育む』 中公新書 1668
2002 黒田玲子(著) 中央公論新社 
 
『古代哲学への招待: パルメニデスとソクラテスから始めよう』 平凡社新書
2002 八木雄二(著) 平凡社 
 
『社会で子どもを育てる: 子育て支援都市トロントの発想』 平凡社新書 162
2002 武田信子(著) 平凡社 
 
『パレスチナ国際市民派遣団議長府防衛戦日記』 <今月のオススメ>
2002 ジョゼ・ボヴェ + 第11回市民派遣団(著) コリン・コバヤシ(訳)  太田出版 
 
『食・農・からだの社会学』 シリーズ環境社会学 5
2002 桝潟俊子, 松村和則(編) 新曜社 
 
『家族に潜む権力: スウェーデン平等社会の理想と現実』
2001 ユーラン・アーネ, クリスティーン・ロマーン(著) 日本スウェーデン家族比較研究会, 友子・ハンソン(訳) 青木書店 
 
『政治の発見』
2002 ジグムント・バウマン(著) 中道寿一(訳) 日本経済評論社 
 
『市民起業家: 新しい経済コミュニティの構築』
 D. ヘントン, K. ウォレシュ, J. メルビル(著) 加藤敏春(訳) 日本経済評論社 
 

お買い物 2002年11月ぶん
  …すんません。時間がなくて寸評は無し。なお、DVDが多いのは『指輪』で購買欲に火がついたのと、マックを新しくしたせいです。

『恋する惑星』
1996 ウォン・カーウァイ 日本コロムビア 
 
『ジア 裸のスーパーモデル』 完全ノーカット版
2002 マイケル・クリストファー  ワーナー・ホーム・ビデオ 
 
『ソードフィッシュ』 特別版
   
 安売り期間が終わったらこっち。  
『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 3 カルマ編・前 (3)』 角川コミックス・エース
2002 安彦良和(著) 角川書店 
 
『<徹底討論>グローバリゼーション賛成/反対』
2002 スーザン・ジョージ, マーティン・ウルフ(著) 杉村昌昭(訳) 作品社
 
『マルコス ここは世界の片隅なのか: グローバリゼーションをめぐる対話』
2002 マルコス副司令官, イグナシオ・ラモネ (著) 湯川順夫(訳) 現代企画室 
 
『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』
2001 田中純(著) 青土社 
 
『<民主>と<愛国>:戦後日本のナショナリズムと公共性』
2002 小熊英二(著) 新曜社 
 
『生命めぐる大地』
2000 地球的課題の実験村 (編集) 七つ森書館 
 
『現代思想11月号 特集:難民とは誰か』
2002   
 
『新卒無業。: なぜ、彼らは就職しないのか』
2002 大久保幸夫(編著) 東洋経済新報社 
 
『環境レイシズム: アメリカ「がん回廊」を行く』
2000 本田雅和, 風砂子・デアンジェリス(著) 解放出版社
 
『「脳死」ドナーカード持つべきか持たざるべきか: 運び込まれた病院であなたと家族に何が起こる?』 いのちジャーナル別冊MOOK 1
1999 ー さいろ社 
 
『ベンチャーハンドブック』
1998 水野博之(監修) ハンドブック編集委員会(編) 日刊工業新聞社 
 
『環境と自治: 私の戦後ノート』
1996 宮本 憲一 (著) 岩波書店 
 
『ジャンボジェットのネズミ: ヨーロッパの現代伝説』
1993 ロルフ・ヴィルヘルム・ブレードニヒ(編) 池田香代子, 鈴木仁子(訳) 白水社 
 
『尾瀬と鬼怒沼』 平凡社ライブラリー た-6-1
1996 武田久吉(著) 平凡社  
 
『キリスト教史 2 教父時代』 平凡社ライブラリー し-7-2
1996 アンリ・イレネ・マルー (著) 上智大学中世思想研究所(訳) 平凡社  
 
『キリスト教史 3 中世キリスト教の成立』 平凡社ライブラリー し-7-3
1996 マイケル・デイヴィド・ノウルズ, ディミトリ・オボレンスキー(著) 上智大学中世思想研究所(訳) 平凡社 
 
『鏡のなかのヨーロッパ: 歪められた過去』 叢書ヨーロッパ
2000 ジョゼップ・フォンターナ(著) 立石博高, 花方寿行(訳) 平凡社 
 
『あなたの病気は遺伝かもしれない: 命を救う知識と治療法』 朝日選書
2002 オーブリー・ミランスキー(著) 佐々木信雄(訳) 朝日新聞社 
 
『開発社会学: 理論と実践』 MINERVA TEXT LIBRARY
2001 恩田守雄(著) ミネルヴァ書房 
 
『専業主婦でなぜ悪い!?』
2002 リンダ・バートン, シェリー・ラブレス, ジャネット・ディットマー(著) 遠藤公美恵(訳) 文芸春秋 
 
『マネーの正体: 地域通貨は冒険する』
2002 デイヴィッド・ボイル(著) 松藤留美子(訳) 集英社 
 
『マクドナルド化の世界: そのテーマは何か?』
2001 ジョージ・リッツァ(著) 正岡寛司(訳) 早稲田大学出版部 
 
『医療サービス市場の勝者: 米国の医療サービス変革に学ぶ』 21世紀ヒューマン・ルネサンス叢書
2000 レジナ・E. ヘルツリンガー(著) 岡部陽二, 竹田悦子(訳) シュプリンガーフェアラーク東京 
 
『WTO加盟後の中国市場: 流通と物流がこう変わる』
2002 黄リン(HUANG Lin) 蒼蒼社 ※リンは石偏に燐の右側
 
『スローフード・バイブル: イタリア流・もっと「食」を愉しむ術』
2002 カルロ・ペトリーニ(著)中村浩子(訳) 日本放送出版協会 
 
『喪失の国、日本: インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」』
2001 M.K. シャルマ(著) 山田和(訳) 文芸春秋 
 
『アフリカ21世紀: 内戦・越境・隔離の果てに』 NHKスペシャル・セレクション
2002 NHKアフリカプロジェクト(著) 日本放送出版協会 
 
『政治空間としてのパラオ: 島嶼の近代への社会人類学的アプローチ』
2002 遠藤央 (著) 世界思想社 
 
『イコノロジー研究: ルネサンス美術における人文主義の諸テーマ』上 ちくま学芸文庫
『イコノロジー研究: ルネサンス美術における人文主義の諸テーマ』下 ちくま学芸文庫
2002 エルヴィン パノフスキー (著), Erwin Panofsky (原著), 浅野 徹 (翻訳), 塚田 孝雄 (翻訳), 福部 信敏 (翻訳), 阿天坊 耀 (翻訳), 永沢 峻 (翻訳) 筑摩書房 
 
『現代日本のアニメ: 「アキラ」から「千とと千尋の神隠し』まで
2002 スーザン・J. ネイピア (著), Susan Jolliffe Napier (原著), 神山 京子 (翻訳) 中央公論新社 
 
『人間の終わり: バイオテクノロジーはなぜ危険か』
2002 フランシス フクヤマ (著), Francis Fukuyama (原著), 鈴木 淑美 (翻訳) ダイヤモンド社 
 
『里山の生態学: その成り立ちと保全のあり方』
2002 広木 詔三 (編集) 名古屋大学出版会 
 
『地球が舞台: 国際NGO最前線からの活動報告』
2002 津守 滋 (著)  勁草書房 
 
『ポスト・マルクス主義と政治: 根元的民主主義のために』 復刻新版
2000 エルネスト ラクウラ (著), シャンタル ムフ (著), Ernesto Laclau (原著), Chantal Mouffe (原著), 山崎 カヲル (翻訳), 石沢 武 (翻訳) 大村書店  
 
『NPOと市民社会: アソシエーション論の可能性』
2002 佐藤 慶幸 (著) 有斐閣  
 
『証言・長良川河口堰: 対立する世論 錯綜するメディア 苦悩する行政』
2002 公共事業とコミュニケーション研究会 (著), 馬見塚 達雄 (編集) 産経新聞ニュースサービス 
 
『世界開発報告 :貧困との闘い 2000/2001』
2002 世界銀行(著) 西川潤(監訳) 五十嵐友子(訳) シュプリンガーフェアラーク東京 
 
『やがてインドの時代がはじまる: 「最後の超大国」の実力』 朝日選書 712
2002 小島卓(著) 朝日新聞社 
 
『ラーム神話と牝牛: ヒンドゥー復古主義とイスラム』 これからの世界史 5
1993 小谷 汪之 (著) 平凡社  
 
『産業遺産: 「地域と市民の歴史」への旅』
1999 加藤康子(著) 日本経済新聞社 
 
『自分らしさとわかがまの境で: 日本女性の静かな革命』
2002 アンヌ・ガリグ(著) 後藤淳一(訳) 草思社  
 
『神戸から長野へ: 新・憂国呆談』
2000 浅田彰, 田中康夫(著)  小学館 
 
『ポストモダン都市ニューヨーク: グローバリゼーション・情報化・世界都市』
2001 伊藤章(編著) 松柏社 
 
『NPO実践講座: いかに組織を立ち上げるか』
2000 山岡義典(編著) 井口百合香, 渡辺豊博, 石川治江, 奥地圭子, 太田好秦, 今田克司(著) ぎょうせい
 
『NGO海外フィールド教本: 国際支援活動のためのフィールドトレーニング&ライフセービングマニュアル』
2002 鄭仁和(著) 並木書房 
 
『ダムで沈む村を歩く: 中国山地の民俗誌』
2001 和賀正樹(著) はる書房 
 
『本日も不法滞在: 入国管理局で会いましょう』
2001 張芸真(著) 朝日ソノラマ 
 
『公共のための科学技術』
2002 小林傳司(編) 玉川大学出版部 
 
『沖縄戦争マラリア事件: 南の島の強制疎開』
1994 毎日新聞特別報道部取材班 (著) 東方出版 
 
『ムーン・ショット: 月をめざした男たち』
1994 アラン・シェパード, ディーク・スレイトン(著) 菊谷匡祐(訳) 集英社 
 
『自然観察ハンドブック』 フィールドガイドシリーズ1
1994 日本自然保護協会 (編集・監修) 平凡社 
 
『両性具有』 書物の王国9
1998 バルザック他 国書刊行会  
 
『先端技術と地場産業』
1986 野口祐(編) 日本経済評論社 
 

お買い物 2002年10月ぶん
     

『ロード・オブ・ザ・リング』コレクターズ・エディション (DVD リージョン・コード2) <今月のオススメ>
2002 ー  
 つまり『指輪物語』映画版のDVDです。ちなみに12月にエクステンデット・エディションが予定されている。なんで短い方が「コレクターズ」なのかというと、たぶん劇場版と似ているので、その時の感動を今一度楽しみたい方へ、ということなのかな? で、ストーリーをちゃんと理解したい方はエクステンデットを…。でもマニアは結局両方買ってしまうんだな。日本人をターゲットにしているかのような商法ですよ、コジェーヴ先生。
『感情の猿=人』 シリーズ生きる思想 2
2002 菅原和孝 弘文堂 
 いただきました。
 ちなみにこれまでの著作は年代順に『身体の人類学: カラハリ狩猟採集民グウィの日常行動』(1993)、『ブッシュマンの生活世界1 語る身体の民族誌』(1998)、『ブッシュマンの生活世界2 会話の人類学』(1998)、『もし、みんながブッシュマンだったら』(1999)。『もし、みんなが…』は比較的一般読者むけの本であるが、その次ぐらいに読みやすい本ではある。
 どうでもいいですが、この「シリーズ生きる思想」、第一巻は小谷野敦『退屈論』だそうで…。それって、どうよ!?
『生命を語る視座: 先端医療が問いかけること』
2002 村上陽一郎(著) NTT出版 
 いただきました。
『買春と売春と性の教育』 Human Sexualityトーク&トーク 2
2001 鈴木水南子, 村瀬幸浩(対談) 角田由紀子, 草野いづみ(論考) 十月舎 
 
『法と正義の経済学 』 新潮選書
2002 竹内靖雄(著) 新潮社 
 かなり徹底したリバータリアニズムの主張。警察も刑務所も民営化だ! 実は私、そこまで徹底されれば納得する。百凡のリバータリアニズムは、結局中途半端に中産階級マジョリティに都合のいい「不自由」を社会に残すものになっているので、リバータリアニズムが徹底されればそれはそれで面白いという気分もある。しかし、どうも本書、人間観察が皮相なのである(死刑反対者のホンネはすべからく「自分が死刑になりたくない」だとか…)。というわけで、読み始めてかなり期待はずれだった一冊。
『ワークシェアリングの実像: 雇用の分配か、分断か』
2002 竹信三恵子(著) 岩波書店 
 
『京都議定書と地球の再生』 NHKブックス949
2002 松橋隆治(著) 日本放送出版協会 
 
『シヴァと女神たち 』 Historia 10 <今月のオススメ>
2002 立川武蔵(著) 大村次郷(写真) 山川出版社 
 ヒンドゥーの神々について、豊富な写真と共に解説した本。インド、ネパールの現代の都市に取材したきらびやかな電飾で表される神像から、エローラ遺跡の像まで扱われる。非常にわかりやすく、かつ楽しい。この本、なぜか著者プロフィールが無いのだが、著者は「『般若心経』のインド、チベット、中国、日本における解釈の比較研究。カトマンドゥ盆地におけるネワール仏教パンテオンの図像学的研究。仏教の神学的研究のための方法論」(民博のサイトより)。
『マサイの恋人』
2002 コリンヌ・ホフマン(著) 平野卿子(訳) 講談社 
 英語もろくにしゃべれないスイス人が、はじめて訪れたケニアで、これまた英語もろくにしゃべれないマサイ(っていうかサンブル)に一目惚れしてから、村で暮らし、子どもをつくり、ケンカしてスイスに逃げ帰るまでの物語。…読者がどこに感情移入して「全世界で300万部」(帯より)ってことになったのか、今ひとつ理解しづらい。面白くないことはないが、だから何だ、といえばだから何なのか? しかし、家族で唯一教育を受けたという弟君の、勝手にやってきて問題を創り出すヨーロッパ人をよくサポートするエアリエルぶりは素晴らしい(藁。
『金儲けがすべてでいいのか』
2002 ノーム・チョムスキー(著) 山崎淳(訳) 文藝春秋 
 原題は"Profit over People: Neoliberalism and Global Order"
。911のあとも知識人として責任ある発言を続けるチョムスキーが、主に「新自由主義」や経済のグローバリゼーションというトピックについて議論している。著者の論考はチョムスキー・アーカイヴなどで日本語でもよめちゃったりするわけだが、ちゃんと本になっているというのも重要なことである。
『ドル化(Dollarization): 米国金融覇権の道』 21HR
2001 本山美彦(著) シュプリンガーフェアラーク東京 
 
 ちなみに「21HR」は「21世紀ヒューマン・ルネサンス叢書」だそうだ。…頭痛が痛い。
『インド財閥経営史研究』
1993 三上 敦史 (著) 同文舘出版 ※アマゾンで取り扱いなし
 主に日本の財閥と比較する形で、インド財閥の性質を比較研究。
『インド不思議研究: 発毛剤から性愛の奥義まで』
2002 山田和(著) 平凡社 
 インド小ネタ集。タイトルはワイドショーっぽいが、安易なステレオタイプやオリエンタリズムに頼らない旅行記として見れば、極めてよく書けているんじゃないだろうかと思う。筆者は三十年ちかくインドを訪れ続けている作家であるとのことで、あんまり初心者旅行者っぽいことが書きたくなかったのかも知れないが…。
『ジョゼ・ボヴェ: あるフランス農民の反逆』 <今月のオススメ>
2002 ポール・アリエス, クリスチアン・テラス(著) 杉村昌昭(訳) 柘植書房新社 
 『地球は売り物じゃない!』につづく、ジョゼ・ボヴェへのインタビューである。前書とどうちがうかというと、前書が社会問題としての農業事情に焦点を合わせていたのに対して、こちらのほうがボヴェ氏自身の来歴について詳しいということだろうか。ページ数も少なくて読みやすいので、こちらを先に読むのがよいかもしれない。
『IMF・世界銀行とニカラグア: 債務問題を知るために』 PARC booklet 8 (月刊オルタ増刊号)
1999 アジア太平洋資料センター(編) アジア太平洋資料センター 
 
『食糧と女性: フェミニズムの視点から』 PARC booklet 7 (月刊オルタ臨時増刊)
1998 スーザン・ジョージ, マリア・ミース, ヴァンダナ・シヴァ, マリリ・カール(著) 加藤和恵(訳) アジア太平洋資料センター 
 
『イギリスの教育改革と日本』
2002 佐貫浩(著) 高文研 
 あちらも大変、なイギリスの話。
『NPO法人設立・申請完全マニュアル』 <今月のオススメ>
2002 福島達也(著)  Jリサーチ出版 
 類書は数あるが、とりあえず目に付いた中でこれが一番わかりやすかった。雑誌ジェイ・アイズ 3号の「誰にでもわかるNPOのつくりかた」という特集に加筆したものであるとのこと。
『知識人の裏切り』 ポイエーシス叢書 5
1990 ジュリアン・バンダ (著) 宇京頼三(訳) 未来社
 エドワード・サイードの名著『知識人とは何か』でもグラムシと並んで重要な役割を演じている19世紀のユダヤ人知識人バンダの著作。実はちゃんと読んでいなかったのであるが、あまり図書館などに入っていないので、買える内にと思って発注。読んでみると、サイードの著作から受けていたイメージとは、またちょっと違う像が見えてきた。読んでみるもんだ(あたりまえ?)。
『大学政策: 改革への軌跡』 高等教育シリーズ 116
2002 黒羽 亮一 (著) 玉川大学出版部
 高等教育シリーズ102『戦後大学政策の展開』
『AV産業: 一兆円市場のメカニズム』
2002 いのうえ せつこ(著) 新評論 
 ジャーナリストである著者は、ややAVに批判的な態度を保ちつつ、AV業界を取材している。「取材」に依拠した部分は読ませるが、アンケート調査の部分は、正直卒論レベルなので要らないでしょう。例えばAV女優・男優それぞれ100人にアンケート、のように母集団の規模が限られている場合は兎も角、「日本語を解する」程度の制約しかないようなアンケートを知り合いを通じて集めただけで、人様からお金を取る本に仕立てるのはちょっと図々しい。だったら10人にキッチリとインタビューして、こっちがアンケート項目するような形で予想できないような意見を顕在化させるほうがよっぽど努力として真っ当なのである。こういうのを見ると、日本の大学の学部教育の貧困を思い知らされる。それより、現場の取材や質的なデータをページの許す限りきっちり書き込んで欲しかった。例えば、産業のなかに存在している暴力構造の概要は示されるが、ちょっとツッコミが足らない。
『季刊ピープルズ・プラン』 19 (2002夏)
2002 ー ピープルズ・プラン研究所 
 
『大地にしがみつけ: ハワイ先住民女性の訴え』
2002 ハウナニ=ケイ トラスク(著) 松原好次(訳) 春風社 
 文化人類学において、先進国の知識人という特権的な位置にいる研究者が普通の庶民を説明することの暴力性、ということについての議論がある。これは無論サイードらの指摘を受けてのものだが、そうした中で最も広範な注目を集めた議論が、ハワイ大の教授でもあるトラスクによる、人類学者の「ハワイ研究」についてのクレームである。本書でも、ハワイ大当局からの妨害についての議論(この点については非常に強くトラスク氏を応援したい)と並べて、そのあたりの議論も展開されている。…コメントはまたということで(笑
 ちなみに原書は"From a Native Daughter"。って、Daughterかよ、って突っ込んだら問題ありますかね?
『ナチュラルとヘルシー: アメリカ食品産業の変革』
1993 ウォーレン・J. ベラスコ(著) 加藤信一郎(訳) 新宿書房
 グローバリゼーションの中で、ハンバーガーと並んで一種その象徴であるシリアル(コーンフレーク)が、実ははじめはヒッピーのための(つまり菜食主義のための)健康食として出現した(シリアルを食べれば平和な気持ちになるのである)という歴史。面白いが、大部であるし、コンテクストを見失うとやや読みにくい。
『さまざまの技能について』
1996 テオフィルス(著) 森洋(訳) 中央公論美術出版 
 中世以来写本によって伝えられてきた、主に職人技術に関する著作。一巻は顔料製法、壁画、手写本挿絵など。二巻はガラス絵の製法。三巻は金属工芸やオルガンの製法。
・『観察者の系譜: 視覚空間の変容とモダニティ』 叢書◆近代を測量する 1
1997 ジョナサン・クレーリー(著) 遠藤知巳(訳) 十月社 ISDN:4915665569
 版元が活動停止の模様。古本屋で見つけたら買いましょう。他にも『性科学の誕生』や、有名なカレル・チャペックの『R.U.R. ロボット』を出版していた会社のよう。ロボットは岩波文庫版も品切れっぽいんだけど、大丈夫か、ニッポン!!。
『ネパールの秘境ムスタンへの旅』 アジア文化叢書
1984 ジュゼッペ・トゥッチ(著) 黄寅秀(訳) せりか書房 
 イタリアの仏教学者によるネパール奥地の旅行記。原書(イタリア語)は1953年出版。学部時代にネパールをあつかったときに読まされた本。
『インド・アート: 神話と象徴』 アジア文化叢書
1988 ハインリッヒ・ツィンマー(著) 宮元啓一(訳) せりか書房 
 著者は1943年に死去。本書は著者の死後、講義ノートをまとめたものである。ってことは、議論の出典とかもよくわからないと言うことである。しかし、なかなかスリリングな文体でまとめられており、読み物として面白いので可。
『わたしたちはなぜ科学にだまされるのか: インチキ! ブードゥー・サイエンス』
2001 ロバート・L. パーク(著) 栗木さつき(訳) 主婦の友社 
 永久機関、常温核融合など、程度の差はあれ世間を騒がせた眉唾な「新発見」を巡るアメリカ社会の混乱の物語。基本的にはお馬鹿な議会、メディアと民衆をしかる内容。基本的に同意できる部分も多いのだが、例えば「電磁波」のような、一般の人の生活に直接不可避に入りこんでくるような問題について、他の「夢物語」と一緒に扱うわけにはいかない(むしろ逆方向の警戒心が必要であろう)、という点は指摘しておきたい(つまり、予防原則に注意が払われるべきだ、ということ)。
『ナチスになったユダヤ人』
 マイケル・スケイキン(著) 小澤静枝(訳) DHC 
 事実は小説よりも奇なり、である。著者の父親は生き残るためにナチスになったユダヤ人であった。…っていうか、実話なんだろうね、ホントに。
『パフォーマンス研究: 演劇と文化人類学の出会うところ』
1998 リチャード・シェクナー(著) 高橋雄一郎(訳) 人文書院 
 演劇のようなパフォーマンス一般を、主に文化人類学に依拠して研究する学問分野を確立しようと言う試み。人類学者としては、例えばヴィクター・ターナーの名が上がっている。事例としては、現代演劇に加えて、インドの祭りなどがあげられている。
『聖ブランダン航海譚: 中世のベストセラーを読む』
1999 藤代幸一(訳著) 法政大学出版局 
 アイルランドの修道院長、聖ブランダンは聖書の記述を信じず、それを火に投げ入れてしまった。すると天使が現れ、彼にそれらの神秘を直に体験するように命じ、ブランダンは冒険の旅に出かけた、という中世の(教訓?)物語を挿し絵付きで翻訳。また後半は物語や各モチーフについての解説。
『文部科学省』 官庁完全情報ハンドブック 6
2002 加古陽治, 永井理(著) インターメディア出版 
 敵を知り己を知れば百戦危うからず、である(いや、別に敵じゃないんだが)。…しかし、冷静に考えると局長や次長のプロフィールを知ってもなぁ(笑。
 ちなみにアマゾンによると『総務省』『内閣府』『文部科学省』の順に売れているようだ。どういうヒトが買うんだろう???
『オール・アバウト・セックス』
2002 鹿島茂(著) 文芸春秋 
 『文藝春秋』に連載された書評を、テーマごとに再編成したものであるらしい。…そんだけです、はい。
『公認売春宿』 <今月のオススメ>
2002 アレクサ・アルバート(著) 安原和見(訳) 講談社 
 公衆衛生を研究する著者は、アメリカで唯一売春宿が公認されているネヴァダで、売春婦のHIV感染率が極めて低いことに着目、研究に乗り出したのが発端。しかし、結果的には宿に長期間住み込んで濃密なエスノグラフィーを書くことになる。ちなみに「売春宿とインターネット」という章もあったりして、これが面白い。
『私はアメリカのイスラム教徒』
2002 アスマ・グル・ハサン(著) 池田智, 越智敏之, 横田由起子, 内田均(訳) 明石書店 
 原題は"American Muslims: the New Generation"。New Generationにポイントがあると思うのだが、若い女性ムスリムが一方ではアメリカ社会の偏見を告発しつつ、もう一方では家父長的な「ムスリム的」慣習に苦言をていするという内容。議論はネイション・オブ・イスラムやNBAの選手を巡る騒動にまで及ぶ。女性器切除(FGM)をイスラムの問題から「アフリカの部族的習慣」に付けかえるなど「ちょっとアレかな」と思うところも無くもないが、かなり率直かつポジティヴで好感はもてる。
『失われた未来』
2000 岡田斗司夫(著) 毎日新聞社 
 著者の本は全部読めるのだが、本書は図像などが面白いので購入しておきました。
『同性愛と生存の美学』
1987 増田一夫(訳) 哲学書房 
 某友人に貸しっぱなしで帰ってきそうにないので、とりあえず古本屋で購入しときました。同性愛問題を中心としたインタビューに加えて、有名な自殺に関する論考が収録されています。
『分子生物学の誕生: マックス・デルブリュックの生涯』
1993 エルンスト・ペーター・フィッシャー, キャロル・リプソン(著) 石館三枝子, 石館康平(訳) 朝日新聞社 
 分子生物学という、現代社会にあまりに大きな影響を与える分野の成立に深く関わる物理学者、デルブリュックの伝記。このあたりのことのより包括的な説明は『サイバネティクス学者たち』を参照のこと。
『オサマ・ビンラディン』
2001 エレーン・ランドー(著) 松本利秋, 大野悟(訳) 竹書房 
 原書"Osama Bin Laden"
『お寺の事情: アメリカ人民俗学者が見たニッポンの寺』
2000 リチャード・アンダーソン(著) 岡崎真理(訳) 毎日新聞社 
 タイトルそのままである。著者は「寺付属の美術館の立ち上げを手伝う」ということで、ある大きな寺(ここでは大本寺という仮名で呼ばれている)に住み込みで務めた4年間の記録である。古くからの知り合いであるという(たぶん本文中にも登場している)大月隆寛の(かなりまともな)解説付き。
・『改訂 ながいことはじめ: 長居公園聞き取り報告集2001』 <今月のオススメ>
2001 ー 長居公園聞き取りの会
 模索舎で発見。他の入手方法はちょっとわからない。たんに聞き取りをまとめただけではなく、その方法までちゃんと書いてあって好感がもてる。こういうのがちゃんとした出版物にならないかねぇ。

お買い物 2002年9月ぶん
  寸評とはいえ、書いていると追いつかないので、未完成のまま公開。そのうち密かに補完されるかも(笑。いやー、我ながら無茶なことをはじめたものだ。ちなみに、寸評があるから面白かったとか、無いから面白くない(あるいは読んでいない)ということでもありませんので誤解の無いよう…。

『銃夢Last Order』 3 ヤングジャンプコミックス
2002 木城ゆきと(著) 集英社 
 マンガ。著者のサイト一巻二巻。三巻に来てやっと著者らしいノリが取り戻されてきた感じ。しかし、完全に新たな世界を構築しちゃっているので、これまでの物語世界に思い入れがあるとちょっと違和感を感じざるを得ないであろう。続編とは難しい。
『遠藤浩輝短編集』 2 アフタヌーンKC <今月のオススメ>
2002 遠藤浩輝(著) 講談社 
 マンガ。『EDEN』の著者の短編集二巻目。昨年の10月発売とアナウンスされていたので、実に一年ごしの刊行である。雑誌掲載時とはだいぶ変わっているらしいが、『EDEN』シリーズの習作的なストーリーも見られて面白い。無論、単なる短編集としても買い。こちらが一巻
『悲劇的/その他卵に関する小編』
2002 楠本まき(著) 祥伝社 
 マンガ? 著者のサイト。現代のオーブリー・ビアズリーと言うべき画風。挑戦的なカット割り(っていうか、もうデザイン)。『致死量ドーリス』にまいって、以来かならず買っているですよ。本作はマンガというよりは絵物語、あるいは大人向け絵本。
『ゆき子のホウレン草』 Ohta comics
2001 フレデリック・ボワレ(著) 関澄かおる(訳) 太田出版 
 マンガ。ちなみに本書は日仏対訳になっている。いや、別にそうだから買ったわけではないが…。それなりに面白いが、ヌーベル・マンガとか言われると、日本人的にはそれほどのもんか、という気もする。そこで、著者のサイトでマニフェストしているところを読むと、だんだん意図が分かってくる。フランス語ではマンガはLe Mangaであり、その言葉にはすでに子ども騙して勧善懲悪な単純さを想起させるものになっているらしい。そこで、女性名詞に付く形容詞nouvelleを使うことによって、単に映画のヌーベルバーグを想起させるだけではなく、マンガが女性名詞La Mangaであることを暗示し、より繊細な日常性を描きうるモノであることを示唆しようとしている、ということらしい。ちなみにフランス語では外来語は多くの場合男性名詞化するが、マンガが初めてフランス語語彙に移入されたのは北斎漫画を指したときで、ゴンクール賞に名を残すエドモン・ド・ゴンクールが"La Manga de Hokusai"と名付けたらしい(のでヌーベル・マンガは正当なんだそうだ)。…ややこしい。
『恋愛漫画ができるまで: フレデリック・ボワレ短篇集』
1999 フレデリック・ボワレ(著) 関澄かおる(訳) 美術出版社 
 ってことでラ・マンガ。買うんだったら上記『ゆき子のホウレン草』がお勧めではあるが、これはこれで面白い。ただ、中程に挟まれたエッセイは単なるニッポン観察(オリエンタリズムふう)なので、あまり要らない。あと、背表紙側から始まるマンガはフランス国内で発表されたモノの邦訳。『ゆき子の…』もフランス語(と日本語)の言葉遊びがちりばめられていたが、こちらは更に多く、一読だけではちょっと難解(っていうか、ちゃんと理解しているか自信なし)。このあたりの、ちょっと読み飛ばしたい読者を遠ざけるあたりがnouvelle mangaということですか?
『サンフランシスコ発・社会変革NPO』 <今月のオススメ>
2000 岡部一明(著) 御茶の水書房 
 アメリカのNPOやソーシャル・ベンチャーの動きを描く。非常に興味深い。例えば、篤志家にお好みのNPOを紹介するコンサルティング・ヴェンチャーなど、日本では想像できない事例ばかりである。ヒトビトが、ここまでが自分の社会的役割、ここからは儲けるための仕事、と切り分けて行動に移すあたりのセンスも面白い。彼我の財団やフィランソロピーの規模の差を考えれば、「参考にする」というのもアホらしいのだが、今後の社会を構築する際に是非参考にしたい(参考にできるようにしたい)一冊。
『完訳 キーワード辞典』
2002 レイモンド・ウィリアムズ(著) 椎名美智, 武田ちあき, 越智博美, 松井優子(訳) 平凡社 
 カルスタの有名人、レイモンド・ウィリアムズの著作だが、本書は普通の単語の意味がどのように変遷しているかの解説書。辞書風にも、コラムとしても読める。…あとで、この本は原書で読むべきだったと気がついた。
『仕事のなかの曖昧な不安: 揺れる若年の現在』 <今月のオススメ>
2001 玄田有史(著) 中央公論新社 
 ぶっちゃけ、不況で中年の失業ばかりがクローズアップされるが、実はそれは最も深刻な問題ではなく、若年失業のほうが遥かに重要な問題であると論じた本。例えば、一件モラトリアムのフリーターや両親へのパラサイトに依存した自発的失業に見えるものが、例えば企業が新卒雇用を控えることによっていつまでも非技能的な雑用に従事させられるなど、適切なオンジョブ・トレーニングを受けられないことによる不満と将来への不安の結果であるということなどが推測されるわけである。また、多くの企業が年金制度に対応するためなど、定年延長に踏み切っているが、それらが実際に若年雇用に影響を与えている様子が示される。原則として統計に依拠した本で、個人的には数字と推測される「現実」のあいだが適切に埋められているのかという点は、この手の本を読むといつも不安になるのだが…。

 しかし、いずれにせよ気づかされるのは、なんにせよメディアが若年雇用、特に高卒中卒の雇用についていかに議論してこなかったかと言うことである。この国では、マイノリティどころか、ともするとマジョリティさえもジェネレーションで分断され、サバルタン化するのである。んでもって、なんちゃってマイノリティ状態にあるひきこもり君が「国を愛する」とか言いだしているんだから、そのヒトのよさは目も当てられないね。このあたりを議論の場に持ち出すという、重要な役割を本書が果たすことを望む(ムリかね?)。
『フリーターなぜ?どうする?: フリーター200万人時代がやってきた』
2001 学研 (著) 学習研究社 
 上記本がデータ中心だったのに対し、実際のフリーター(あるいは経験者)にインタビューをしている。正直インタビューとしてできがいいとは言いかねる部分もあるが、こういうのを並列して読まないと、見えてこないモノもある。
『公共性の喪失』
1991 リチャード・セネット(著) 北山克彦, 高階悟(訳) 晶文社 
 発表のために買った。公共性概念の失墜という興味深い論点を提示しているが、やや議論はとっちらかった印象がある。半分ぐらいの長さにできなかったかな(笑。
『公共性の構造転換: 市民社会の一カテゴリーについての探究』 第二版
1994(1973) ユルゲン・ハーバーマス(著) 細谷貞雄(訳), 山田正行(訳) 未来社 
 発表のために買った。知らぬ者のない古典ですな。
『インターネットを武器にした<ゲリラ>: 反グローバリズムとしてのサパティスタ運動』
2002 山本純一(著) 慶應義塾大学出版会 
 サパティスタ運動はあまりにも有名だが、アカデミックな文脈では取り上げにくい要素を持っているというのも確かで、研究書に仕立て上げるには工夫が要るのである。そこで情報化、インターネット化という論点から事態を追いかけてみよう、というのはわりといい切り口のような気はする。ただ、論点がやや散漫になっている感じは否めまい。
『人体市場: 商品化される臓器・細胞・DNA』 <今月のオススメ>
2002 L.アンドルーズ, D.ネルキン(著) 野田亮, 野田洋子(訳) 岩波書店 
 日本ではすでに『DNA伝説: 文化のイコンとしての遺伝子』の邦訳があるアメリカの社会学者ネルキンの著作。日本の類書との顕著な差異は、極めて多様で、ビックリするような事例の連打であること。多文化社会アメリカを象徴しているのか、あるいは研究スタイルの差か?
『日本のFTA(自由貿易協定)戦略: 「新たな開国」が競争力を生む』
2002 浦田秀次郎, 日本経済研究センター(編) 日本経済新聞社 
 日本はのろまでトンマだから早く、早く、と煽るのが主要な目的の本。各国の「グローバリゼーション指標」を測ったりするセンスがには困ってしまう。こういう感覚と戦うことがATTACの目的です。
『有機農業の基本技術: 安全な食生活のために)』
1997 カトリーヌ・ドゥ・シルギューイ(著) 中村英司(訳) 八坂書房 
 まぁ、そのまんまです。
『有機農業ハンドブック: 土づくりから食べ方まで』
1999 日本有機農業研究会 (編集) 日本有機農業研究会 
 いろいろな話題がコラムっぽく提示されていて、シロウトにも非常に読みやすい。ただ、実際やってみるとなると、けっこうな広さの土地がいるなど、ハードルは高いであろうなぁ(笑。
『人間的な産業の復活: ヨーロッパ型経営のモラル』 丸善ライブラリー 359
2002 里深文彦(著) 丸善 
 
『食のリスクを問いなおす: BSEパニックの真実』 ちくま新書 360
2002 池田正行(著) 筑摩書房 
 知り合いの某氏は(大衆は科学知識がないという)「欠如モデル」に基づいた一冊で、科学論としては問題がある、という評価。そういう側面も散見される(例えば、マスメディアが大衆のレベルを反映していると見るのはおそらく間違いであると思われる)が、苦言を呈し、警鐘をならすという役割を自任されている以上、そういう態度になるのは理解できるというか、むしろ当然である。
『現代思想』9月号(Vol.30-11) 特集 知的所有: 情報は誰のものか
2002 ー 青土社
 意欲的な企画だと思うが、ビミョーに「違う」。
『神々の島バリ: バリ=ヒンドゥーの儀礼と芸能』
1994 吉田禎吾(監修) 河野亮仙, 中村潔(編) 春秋社 
 写真が多く、値段設定も手頃な、オーソドックスな概説書…に見えるが、けっこう細かい問題を論じている。用語解説っぽい要素も盛り込んであり、親切な作りではある。大学院生や、一通り観光は済ませてしまったバリ好きあたりがマーケット、ということなんですかね? 一般人の関心も集めやすいバリだからできるスタイルだろう。
『からくり民主主義』
2002 高橋秀実(著) 草思社 
 一般市民こそが仮構の「民意」をねつ造して、自分がそれから逸脱していないことで安心する、というような日本の社会的コンセンサス形成を批判して、「からくり<民主主義>」ってことなんでしょうね。やや保守派的な視点ということになろうが、学ぶモノは多いように思われる。
『インド・スラム・レポート』
1987 伊勢崎賢治(著) 明石書店 
 著者は東チモールの復興にさいしては国連派遣の県知事も務めた(『東チモール県知事日記』に詳しい)援助畑のベテランの若い頃のお話。古い本だが、今読んでも十分以上に面白い。
『資本主義と横断性: ポスト戦後への道標』
1995 杉村昌昭(著) インパクト出版会 
 著者は、ネグリなどの翻訳で知られ、ATTAC関西の代表でもある。やや古い本だが、ガタリとの交流の様子などが読めて興味深い。
『J.R.R.トールキン: 或る伝記』
 ハンフリー・カーペンター(著) 菅原啓州(訳) 評論社 
 うーん、『指輪物語』関連本が止まらない(笑)。人生という意味では、わりと平凡なイギリス人であるトールキンだが、『指輪物語』を巡る批評や議論の部分は興味深い。
『仔犬のローヴァーの冒険』
1999 J.R.R. トールキン, クリスティーナ・スカル, ウェイン・G. ハモンド(編) 山本史郎(訳)  
 うーん、『指輪物語』関連本が止まらない(笑)、その2。トールキンによる子どもむけ童話。翻訳はトールキン・ファンに悪名高い山本史郎氏だが、この本に関して言えば、さほど悪くない。でも、原文で読んだ方がだいぶ良さそうだとは思った。
『ソーシャル・ヨーロッパの建設: EC社会政策とソーシャル・パートナー』
1992 恒川謙司(著) 日本労働研究機構 
 EU形成期における労働問題。労働組合の強い大陸(特にフランス)と、新自由主義を押し進めるイギリス労働党政権の対立を背景とした議論。
『アフガニスタンの診療所から』 ちくまプリマーブックス 70
1993 中村哲(著) 筑摩書房 
 すっかり有名になったアフガンのお医者さん中村哲氏の著作。子供向けの本だが、ちょっと古いのが読んでみたくなって買ってみた。
『寝ながら学べる構造主義』 文春新書
2002 内田樹(著) 文芸春秋
 著者は元来、レヴィナスの専門家ということになっているのだが…っというわけで、微妙に現象学風味の構造主義解説になっているような…。平均60才の受講者による市民講座での講義が元だと言うから、苦労のほどは察するにあまりあるが、そういう意味でも、これでいいのか、という気もしなくもない。例えば、相対主義を常識化したのは構造主義、っていう主張はどうか、とか…。
『現代人の思想セレクション 1 大衆の時代』
2000 鶴見俊輔(編) 平凡社 
 大昔(たぶん70年代ぐらい?)、『現代人の思想』という全20巻ぐらいのシリーズがあって、テーマ毎に内外の思想家のエッセイが掲載されて、まとめられていた。編集方針は比較的左ではあるが、かなりまんべんなくいろんな論考が集まっていて、当時の論調を知るのに参考になるので、古本屋で見つけたら購入するようにしている。そのシリーズから一部を抜粋したもの。できれば編集だけじゃなくて、当時についての解説もつけて欲しかったね。
『現代人の思想セレクション 3 未開と文明』
2000 山口昌男(編) 平凡社 
 解説は上記参照。
『世界図絵』 平凡社ライブラリー こ-4-1
1995 J.A. コメニウス(著) 井ノ口淳三(訳) 平凡社 
 たぶん、民衆のための教科書的に使われたのだと思うが、世界についての知識や世相を絵入りで説明した中世ヨーロッパの絵本。パラパラめくっているだけで面白い。
『博物誌 鳥』 ちくま学芸文庫 み-8-1
1995 ジュール・ミシュレ(著) 石川湧(訳) 筑摩書房 
 アナール派の始祖、ミシュレは無論、歴史学で知られる学者だが、博物学の著作を4冊残している。うち、『虫』と本書が筑摩から文庫化されている。残り『山』『海』は藤原からハードカバー。
『ドラッグ・ユーザー』
1995 ジョン・ストロースボー, ドナルド・ブレイス(編) 高城恭子, 飛田妙子, 下園淳子(訳) 青弓社 
 『ゴースト・ダンス: アメリカ・インディアンの宗教運動と叛乱』のジョン・ムーニーの章もあるので注目したが、「麻薬実験者の奇妙な旅」という章が最も面白かった。麻薬などにたいする20世紀前半ぐらいのテキストが収録されているという意味では、いろいろ興味深い。バロウズ爺さんのアジ文は特に必要ないから、出典などへの注記をちゃんとしてほしかったと思うのは私だけ?
『未来企業: 生き残る組織の条件』
1992 P.F. ドラッカー (著) 上田惇生, 佐々木実智男, 田代正美(訳) ダイヤモンド社 
 別にドラッカーについて説明する必要はないと思われるが、経営学の神様。最近しかたなく読みはじめ…。な〜んか、世の中間違っているよな。
『魔術と錬金術』 ちくま学芸文庫 さ-13-1
2000 沢井繁男(著) 筑摩書房 
 
『大東亜科学綺譚』 ちくま文庫 あ-11-7 <今月のオススメ>
1996 荒俣宏(著) 筑摩書房 
 どっちかというと「科学者奇譚」。昭和初期の偉人変人が沢山。
『日本妖怪巡礼団』 集英社文庫 あ-14-2
1991 荒俣宏(著) 集英社 
 
『荒俣宏コレクション 図鑑の博物誌(増補版)』 集英社文庫 あ-14-6
1994 荒俣宏(著) 集英社 
 
『アマゾンの白い酋長』
1997 マイク・ティッドウェル (著) 吉嶺英美(訳) 翔泳社 
 
『胎児へのまなざし: 生命イデオロギーを読み解く』 パンセ選書 1
1993 バーバラ・ドゥーデン(著) 田村雲供(訳) 阿吽社 
 
『カント「純粋理性批判」入門』 講談社選書メチエ 192
2000 黒崎政男(著) 講談社 
 
『非‐知: 閉じざる思考』新訂増補版 平凡社ライブラリー は-13-2
1999 ジョルジュ・バタイユ(著) 西谷修(訳) 平凡社 
 
『"紋章の国"イギリスの旅』 NHKブックスカラー版 C26
1985 森護(著) 日本放送出版協会 
 
『権力と正統性』 岩波講座 現代思想 16
1995 新田義弘, 丸山圭三郎, 子安宣邦, 三島憲一, 丸山高司, 佐々木力, 村田純一, 野家啓一(編) 岩波書店 
 一つあげるなら「問題としての第三世界」が必読。
『「暗黙知」の共有化が売る力を伸ばす: 日本ロシュのSSTプロジェクト』
2001 山本 藤光 (著) プレジデント社 
 『知識創造企業』パラダイムの実践編。実際はこんなふうに応用するんだ、という事例があまりなかったので、重宝。
『戦争とプロパガンダ』
2002 エドワード・W. サイード(著) 中野真紀子, 早尾貴紀(訳)  みすず書房 
 二巻まで出ている。といっても連続性はなく、いろいろな評論を集めた物なので、独立に読める。実は殆どのものが(英語は勿論、ともすると日本語でも)ネット上で流通しているので、引用などしない一般の方はそちらで十分かも(でも、読みやすいですけどね、本になっていると)。
『アイヌの世界: 「ことば」から読む自然と宇宙』 講談社選書メチエ 24
1994 山田孝子(著) 講談社 
 
『「HIV」と暮らす: 感染者ワライの幸せの秘密』 集英社新書0073B
2001 服部雅博(著) 集英社 
 
『古典を読む おもろさうし』 同時代ライブラリー 334
1998 外間守善(著) 岩波書店 
 
『地球温暖化の政治学』 朝日選書604
1998 竹内敬二(著) 朝日新聞社 
 
『子どもを喰う世界』
1995 ピーター・リー=ライト(著) さくま ゆみこ, くぼた のぞみ(訳) 晶文社 
 …しかし、子どもをテーマにした本であっても、別に子どもむけというわけではないのに、何故訳者名が平仮名?
『なぜ牛は狂ったのか』
2002 マクシム・シュワルツ(著) 山内一也, 南条郁子, 山田浩之(訳) 紀伊国屋書店 
 パスツール研の元所長による、
『病気のない世界: 医療は人類を救えるか』
2002 ウィリアム・B. シュワルツ(著)  渡会圭子(訳)  学樹書院 
 
『イギリスのニューレフト: カルチュラル・スタディーズの源流』 <今月のオススメ>
1999 リン・チュン(著) 渡辺雅男(訳) 彩流社 
 著者はLSEで教える中国人なのだが、略歴の1行目「文化大革命中、山西省の農村に下放」にまず目が点(笑)。大体、「下放」で今時何人の日本人が意味判るかね? 個人的な関心としては「ニューレフトが自然科学を無視した理由」というサブタイトルの、旧左翼時代にはニーダム、バナール、ホグベン、ホールデンら「赤い科学者」を擁したイギリス左派が、なぜ自然科学についての発言を止めたかという議論が面白い(っていうか、ここのために買った)。
『ハーバードの医師づくり: 最高の医療はこうして生まれる』
2002 田中まゆみ(著) 医学書院 
 医師造り40年の江戸弁がキツいオッサンが出てきそうなタイトルは兎も角として、こういう経験談は(いくらインターネットで大学関連のデータが公開される時代になっても)貴重なのである。それに、兎に角細かく書いてあるので(人柄がしのばれるが)有用。反面、社会との接点や自身のライフヒストリーとのからみが無いから、システムの有機性がイメージしにくい。具体的な「事例」もコラムに括り込まれてしまっているので、教育制度との関連が理解しづらい。このあたり、エスノグラフィーの専門家がアドバイスなどするような感じになってきてくれると良いのだが…。
『科学は不確かだ!』
1998 R・P・ファインマン(著) 大貫昌子(訳) 岩波書店 
 ご存じファインマンさんが科学を語る。日本では所謂「サイエンス・ウォーズ」に合わせるように出版されてしまったが、別にそういう意図で書かれた本ではないようだ。
『ブッダの世界』 NHKブックス633
1992 玉城康四郎, 木村清孝(著) 日本放送出版協会 
 
『経済交渉と人権: 欧州復興開発銀行の現場から』 中公新書 1393
1997 山根裕子(著) 中央公論社 
 
『結核という文化: 病の比較文化史』 中公新書 1615
2001 福田真人(著) 中央公論社 
 
『森の隣人: チンパンジーと私』 朝日選書 563
1996 ジェーン・グドール(著) 河合雅雄(訳) 朝日新聞社 
 未読
『おしゃれの社会史』 朝日選書 418
1991 北川晴一(著) 朝日新聞社 
 
"Citizens, Experts, and the Environment : The Politics of Local Knowledge" <今月のオススメ>
2000 Frank Fischer (著) Duke University Press 
 
"Anthropology, Development and Modernities : Exploring Discourses, Counter-Tendencies and Violence"
2000 Alberto Arce, Norman Long (編) Routledge 
 

お買い物 特別編: ヌード写真集あれこれ
   諸般の事情でいろいろ買ってみました。別に写真については知識も経験も無いので、かなり勝手に論評。気のない評価に見えるかも知れないけど、最近の「ブーム」のありかたに関心はあるのだ(もう一歩何かが足らない気がしているだけで)。

『20歳れ! -ハタチレ- photo & text by some girls』
2002 some girls 祥伝社 
 サイト。20歳の女性写真家たちが、友人を撮ったという写真集。photo & textとあるので、文章も入ってくるかと思えば、その「友人」についての短いコメントがあるだけなのはちょっと残念。もう一歩を期待したい。写真あまり「エロティック」というんでもなく、ハダカで暮らしたら気持ちよかったよ、みたいなイメージで取られているんだろうが、これも意外とインパクトに欠ける。…何が足りないんだろう?
『ちんかめ』 宝島社文庫
2001 内藤啓介(その他) 宝島社 
 サイト。女性にも受容されたことから、流行っていると聞く。オリジナル『ちんかめBOX』、本書と、少なくとも三冊出てるってことは売れているんだろう。しかし、ちょっとファッションに気をつかっているという以外は、普通のファロセントリックな写真集にしか見えないんですけど…。たしかに、男性誌一般のヌードの視点に比べるとだいぶましかも知れないが、この程度で「女性」が納得するのならば楽なモノだという気も…。
 ちなみにこちらに分析記事。
"smart girls" 3 e-MOOK
2002 宝島社 
 サイト。上記『ちんかめ』の写真が元々掲載された雑誌。はすでに入手が難しい模様。全体に、さほど面白くない。
『どこでもスナップ』 宝島社文庫
2002 米原康正(編) 宝島社 
 写真集としてはできがよいと思った。編集・撮影は投稿写真誌アウフォト(アマゾン、2号だけ在庫アリ)の編集長だったらしい(手元のアウフォトをめくってみたけれど、どこにクレジットが書かれているのか判らなかった)。そういえばそんな感じのデザインである。でも、どれも素人スナップっぽく写してあるが、後ろの名前リストを眺め(ついでにgoogleを駆使し)検証すると、10分ほどで「顔もヌードも映っているのは大概、プロのヌードモデルである」という事情が見えてくるであろう。うまいというべきなんだろうけど、社会の制約は意外と大きいという事実も発見できるのであった。
" girlfriends boyfriends" 1 Bamboo Mook
 " girlfriends boyfriends" 2 Bamboo Mook
2002 竹書房  
 2は、ジェンダーに関わらず見られるという意味では、今回色々買ってみた中で、一番よかったかも。単純にヌード(およびセミヌード)が載っているだけではなく、グッズ(コンドームやバイブレーター)などが奇麗にレイアウトされて並べられていたりする。ページ毎に使っている衣装のデータがファッション誌よろしく出ているというのも(実用性は疑問だが)演出として適切。素人モデル(?)の撮影に関するコメントが興味深い。まぁ、これくらいやってくれれば「性に関わらず見られる」という言い方もやや説得力がある。
 ※ずいぶん以前にananで篠山キシンが読者を撮るという企画があって、大変面白かったのだが(まだどこかに持っているはず)、その雰囲気をちょっと思い出した。あぁ、そういえば、あれが一番面白い「ヌード写真」だったなぁ(笑。
・『Yellows 2.0』
1998 五味彬(その他) ぶんか社 ISBN:4821122375
 最近のと比較と言うことで購入。なぜかAmazonなどではすでに購入できず(『Yellows 3.0 CHINA』はオッケーのようだ)。まだ大きめの書店の店頭には置いてあるので、やっぱり売れなかったのかも知れない。ずいぶん昔にCD-ROMとして売っているときに見て思った感想は、もっと詳細なプロフィールを、というものだったが、今回もおおむね同じ感想を抱いた。別に学術目的でつくっているわけではないので当然だが、これでは資料として役に立っているとは言い難い。

お買い物 2002年8月ぶん
     

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』 (2)  激闘編 カドカワコミックA (マンガ)
2002 安彦良和 (著), 矢立肇, 富野由悠季(原案) 大河原邦男(メカニック・デザイン) 角川書店
 始動編に続く第二巻。ホワイトベースが地球に突入するあたりまで。まだまだキャラクターの説明が先に立っている感じで、ドラマはこれからか。
『アフリカンネイバーズ』
2002 中尊寺ゆつこ(著) 木楽舎 
 エッセイ・マンガ。知らない人もあまりいないと思うが、著者は若くてゴーマンな女性の消費生活を描くことの第一人者と目されている(というまとめ方で良いのか)マンガ家である。で、本書ではコロニアル・アフリカの残滓をなぞってみる旅エッセイ、である。「消費」という信仰に帰依しつつも、適当なところでパロディにしてみせるというバランス感覚が面白いと言えましょう。まぁ、あたしゃサイバラ的アジアのほうが好きだけどね。
『ノーベル賞への後ろめたい道』 <今月のオススメ>
2001 カール・ジェラッシ(著) 中森道夫(訳) 講談社 
 小説。自分自身もプリーストリー賞を受賞した高名な化学者であるジェラッシの作。著者もそこを意識しているとおり、現代の科学者の活動がどんなもんであるか、一端に触れるのに適切(まあ、実体は更にドロドロしているケースが多いと思われるが)。勿論、小説としても色々な仕掛けがこらしてあり、大変面白い。訳も悪くない(と思う)。
 ちなみに、本書に登場するバフチン研究者(大学院生)は、デリダの理論をやや拡張して使っている(っていうか、それはむしろフーコーやアルチュセール的な用語で説明した方がいい事象を扱っている)が、これはジェラッシ氏の知識の問題と言うよりも、アメリカの人文社会系の傾向の問題だと思う。いずれにせよ、美術や音楽も含めた著者の博識には驚かされる(ウィーン生まれでアメリカの博識な科学者というと、『不可解な秘密』など、多数の著作のあるアメリカ科学界のご意見番、エルヴィン・シャルガフが思い出されますが)。
『男たちの薬』
 カール・ジェラッシ(著) マクファーソン苗美(訳) 講談社 
 小説。ジェラッシの専門は経口避妊薬なので、上記『ノーベル賞への後ろめたい道』よりも彼自身の専門に近い分野の科学者たちが登場(彼自身の名前もちらっと出てくる)。さらに、ノーベル賞という、科学者の多くが関わるとは言えないテーマより、ヴェンチャーという、より日常的なテーマが扱われているのも面白い。また、イスラエルを舞台にしたり、科学者のコミュニティで二重のマイノリティであるインド人の女性が勃起不全に取り組むという仕掛けも面白い。原文に当たっていないのでハッキリしたことは言えないが、専門用語の翻訳に若干の問題があるような気がする(誰か要チェック!)。
『地球は売り物じゃない!: ジャンクフードと闘う農民たち』 <今月のオススメ>
2001 ジョゼ・ボヴェ, フランソワ・デュフール(著) ジル・リュノー(聞き手) 新谷淳一(訳) 紀伊国屋書店 
 フランスの反グローバリゼーション活動家として有名なジョゼ・ボヴェ氏へのインタビュー。マスメディアを駆けめぐって、ボヴェを世界的な有名人にした「マクドナルド襲撃」の顛末も詳しく語られている。これを読むと、なんだ欧米のメディアもいい加減じゃないか、と思わされる(具体的な内容については読んでのお楽しみ)。来日準備のため慌てて購入。
『グローバル化を生きる日本農業: WTO交渉と農業の「多面的機能」』
2001 服部信司(著) 日本放送出版協会 
 まぁ、NHKですから、的まとめ方ではある。入門書として良いかも。
『生態の地域史』 地域の世界史〈4〉
2000 川田順造, 大貫良夫(編) 山川出版社 
 世界各地域の生態人類学的トピックが扱われている。アンデスの農業(高地農業の隠れたメリットの問題)や、アボリジニの火入れの問題などが興味深い。
『"トウモロコシ"から読む世界経済』 光文社新書 041
2002 江藤隆司(著) 光文社 
 穀物ディーラーが描く国際的な食糧貿易の現場。なんか、購入した際に予想したような「生々しさ」が感じられないんだな。これはなんなんだろう? 是非自分で一度取材してみたいと思わせる。
『インドの酪農開発: 果てしなき夢』
1997 ヴェルガーゼ・クーリエン(著) 久保田義喜(訳) 筑波書房 
 インドの酪農技術を近代化させるプロジェクト、所謂「白い革命」を推進者側から描いている。勿論賛美調。
『J-eyes 地球市民のための情報誌』 vol.5 
2002 ジェイ・リサーチ出版 
 特集「新・地球発見旅行: エコツアー,スタディツアー,ワークキャンプ」。いろいろなエコツアーのガイド。
『アメリカの環境スクール: 開かれた教育システムの体験』
1997 森哲郎(著) 大修館書店 
 実際に会社を辞めて渡米、アメリカの大学の環境大学院コースに入って学位を取得した著者の体験記。学校を選ぶ際のデータとして、カリキュラムの違いや、その背景にある歴史的経緯や目的の違いなども説明されていて、実用的にも役に立つ。ともあれ、アメリカの大学の学位がどうして社会的に尊敬され、必要とされるのか(日本ではそうでないのか)がよく判る。
『エコフィロソフィーの現在: 自然と人間の対立をこえて』
2001 尾関周二(編) 大月書店 
 ちょっと玉石混淆のある論文集。比較的総説的。個人的には第三章のトリレンマ論が読みたくて買いました。以前、私も(けっこういい加減な形で)環境のトリレンマ論を立てたことがあって、また電力業界なんかもこの「トリレンマ」という言葉を好む傾向がありますが、その三要素をどう採るか、というので合意があるわけではない。このあたりのことを、いずれ再考してみたいと思っている。
『入門環境経済学: 環境問題解決へのアプローチ』 中公新書 1648
2002 日引聡, 有村俊秀(著) 中央公論新社 
 教科書。
『科学計量学の挑戦: コミュニケーションの自己組織化』
 ルート・ライデスドルフ(著) 藤垣裕子, 林隆之, 富沢宏之, 平川秀幸, 調麻佐志, 牧野淳一郎(訳)  
 やっとこ買いました。これは大著です。しかし、必読本です。これから頑張って読むです。
『パブリック・マネジメント: 戦略行政への理論と実践』
2002 大住荘四郎(著) 日本評論社 
 …特にコメントはございません。そのうち利用させていただきますです。
・『自由人のための知: 科学論の解体へ』
1982 P.K.ファイヤアーベント(著) 村上陽一郎, 村上公子(訳) 新曜社 ISBN: 4788501449
 かつての「新科学哲学」の論客としてクーン、ハンソンと並び称される著者の本。『方法への挑戦』の続編的内容。古本屋にて発掘。このあたりの邦訳はもう手に入らないので、古本屋で見つけたら買うべし。
『形態と構造: カタストロフの理論』 新装版
1995(1977) ルネ・トム(著), E.C. ジーマン(著) 宇敷重広, 佐和隆光(訳) みすず書房
 これも古典であるが、こちらはまだ手に入る模様。
『解釈人類学と反=反相対主義』
2002 クリフォード・ギアツ(著) 小泉潤二(訳) みすず書房 
 ギアツの講演や原稿などをまとめた日本独自編集(たぶん)。ギアツがジャワの研究を始めたいきさつ(けっこうマヌケ)など、興味深い話が目白押し。あと、これまで翻訳がなかったギアツの重要論文「反-反相対主義」が収められている(これは嬉しいんだが、実は先頃アメリカでも「反-反相対主義」を収録した"Available Light"が出版されているんだな。将来これを邦訳するときどうするんだろう??
『ヒューマン・ユニヴァーサルズ: 文化相対主義から普遍性の認識へ』
2002 ドナルド・E. ブラウン (著) 鈴木光太郎, 中村潔(訳) 新曜社 
 マーガレット・ミードやウォーフら、人類学的な文化相対主義の祖たちへの、その後の批判などをまとめ、検証した本。人類学者の手によるが、やや批判派よりの議論になっている。といっても議論に難があるわけではなく、論点の整理も比較的適切だと思う。
『男が文化で、女は自然か: 性差の文化人類学』
1987 エドウィン・アードナー, シェリ・B. オートナー他(著), 山崎カヲル(監訳) 晶文社 
 近年の人類学に強い影響を与えている必読本の一つ。…まぁ、色んな意味で読んでおきましょう(例えば上記『ヒューマン・ユニヴァーサルズ』などとの関連を考えるのもよし)。
『文化人類学 最新術語100』 <今月のオススメ>
2002 綾部恒雄(編集) 弘文堂 
 『文化人類学事典』出版から15年だそうで、変遷の早い人類学はすでに無数の術語を生み出している。これらの術語の中から100を選んで解説している。候補200から100まで絞ったのだそうで、あとの100を知りたいところ。いずれにせよ、辞典の補完でもあり、現代人類学の入門書(院試に利用可)でもあるという、いいとこどりな作り。
『ヒンドゥー・ナショナリズム: 印パ緊張の背景』 中公新書ラクレ 57
2002 中島岳志(著) 中央公論新社 
 若手(京大の院生)の手による新書。最近までナショナリスト組織の中でフィールドワークを続けており、情報が新しく、また非常に彼らの目線に接近している。また、アカデミックな議論の水準と読みやすさを高いレベルで同居させており、よく出来た本であると言えよう。近年の「人類学的」成果(の社会還元)としては異色の出来。
『インド神話』
1990 ヴェロニカ・イオンズ(著) 田中昌太郎(訳) 草思社 
 オーソドックスな概説書。やや一般向け(ソースなどが不明な点も多く…)。
『インドの民俗宗教』
1984 斎藤昭俊(著) 吉川弘文館 
 オーソドックスな概説書、その2。ややアカデミック(学説の検討などを含む)。
・『現代世界と人類学: 第三のユマニスムを求めて』
 レヴィ=ストロース(著) 川田順三, 渡辺公三(訳) サイマル出版会(ISBN: 4377107797)
 フランス語付き。お勉強のために…って、やっとらんなぁ(笑
・『人類学フィールドワーク入門』 (※現在、Amazonのデータベースに無し)
1994 J.G.クレイン, M.V.アグロシーノ(著) 昭和堂 ISBN:481229407X
 まさに「アメリカの」教科書。学部の頃はこういう手取り足取り入門書、みたいなのをバカにしていたような記憶があるけど、けっこう読み返すと役に立つ。なにより、一冊で基礎的なことを漏らさないし、よけいな思想的議論には踏み込まない、というプラグマティズムがよい(いや、そこがまさにバカにしていたポイントなのだが)。こういうのが手に入らなくなるのは困るねぇ。
・『科学』 8月号 特集:検証 地球サミットから10年 -足踏みする時間はない-
2002 岩波書店 
 雑誌 ISBNがないので、購入は岩波のウェブサイトから。人類学者多数登場。
『蛇と虹: ゾンビの謎に挑む』
1985 ウェイド・デイヴィス(著) 田中昌太郎(訳) 草思社 
 真実かどうかを曖昧にすると言うのが、80年代当時の文化人類学かいわいの流行りだったんだと思うけど、これはフィクションです。ちなみに未見ですが、映画化もされており、日本では『ゾンビ伝説』というお馬鹿なタイトルでした。こういうのって、どう評価したらいいんでしょうね?
『ムスリムのヨーロッパ発見〈上〉』  『ムスリムのヨーロッパ発見〈下〉』
2000 バーナード・ルイス(著) 尾高晋己(訳) 春風社 
 なんとなく品切れ絶版になりそうな雰囲気を感じたのでとりあえず確保。逆オリエンタリズムの歴史。
『啓蒙のヨーロッパ』 叢書ヨーロッパ
1998 ウルリヒ・イム・ホーフ (著) 成瀬治(訳) 平凡社 
 洞シリーズの『ヨーロッパと海』には卒論でお世話になった。けっこういいシリーズだと思われるので、ちゃんと「啓蒙主義」を検討し直そうかと言うことで購入。
『中世の家族: パストン家書簡で読む乱世イギリスの暮らし』
2001 フランシス・ギース,ジョゼフ ギース(著) 三川基好(訳) 朝日新聞社 
 15世紀の新興紳士階層(ジェントリー)の一家が残した膨大なテキスト(書簡や裁判記録)を収集、分析。そういう意味では、オーソドックスな事件史とコルバンの『記録を残さなかった男の歴史』の中間ぐらい、つまり、歴史に名を残したわけでもないが、完全に無名なわけでもない(著名な歴史上の人物との個人的な関係もある)ような人々の歴史である。
『近代フランス民衆の<個と共同性>』 <今月のオススメ>
1994 喜安朗(著) 平凡社 
 こちらはやや無名度が高いが、それでもおおむね何らかの形でテキストを残した職人層を扱っている。欧州的「共同性」と個の問題。これ、けっこう重要な議論を展開しているので、いずれ別の形で取り上げたい。
『スランゴスレン村の貴婦人: 隠棲する女同士の風景』
2002 蛭川久康(著) 国書刊行会 
 18世紀後半、アイルランドの貴族階層に属する二人の女性が国を捨て、ウェールズの田舎にて同居生活をおくることになる。これは今日的な意味で「レズビアン」に該当するような関係だったのだろうか? 実際は、こういった関係は当時としては「ロマンティックな友情」として把握され、疑念と非難が向けられる反面、多くの知識人の関心と賞賛も集め、また文学的なモチーフとしても存在するようになっていた、というお話。非常に興味深いテーマを丹念に追っているが、やや章立てなどがとっちらかっている印象がある。もう少し読みやすい本には出来たと思われる(装丁は非常に奇麗)。
『不義密通: 禁じられた恋の江戸』 講談社選書メチエ 88
1996 氏家幹人(著) 講談社 
 江戸における不義密通、現代風にいうところの「不倫」の扱いにかんする歴史書。厳しい社会的枠組みがある一方で、女性のほうもそれなりにしたたかに、という感じに読める記述。どうあつかっていいか、やや困惑させられる。
『酒呑童子異聞』 同時代ライブラリー 102
1992 佐竹昭広(著) 岩波書店 
 日本史における「異質なモノ」の歴史。
『子どもという価値: 少子化時代の女性の心理』 中公新書 1588
2001 柏木恵子(著) 中央公論新社 
 子どもの「精神的価値」を賛美する本では無論、無い。子どもの経済的価値、という観点から見れば、少子化という問題もよく見えてくる、という議論。だからといって別にアンチ・ヒューマンな結論が待っているわけでもないので、事態を冷静に見つめるために一度読んでみるとよいだろう。
『医療和平: 多国籍医師団アムダの人道支援』
2002 菅波茂(著) 集英社 
 著者(AMDA設立者)の視点にはやや承伏しがたい点も残る(自衛隊問題よりも、お金と人材に関する部分が僕はちょっと…)が、国際情勢のリアリティを感じることができる、迫力ある本ではある。
『クローズアップ現代 vol.3 日本は変わるのか』
2001 NHK「クローズアップ現代」制作班 (編) 日本放送出版協会 
 サイト。しかし、毎度毎度思うが、サブタイトルにまったく意味がないね。それと、通して見ると、社会問題(少なくともNHKが扱うような)は大概経済か科学技術に関わっている、ということを見て取っていただきたいんだね。
 だけではなんなので、感想を付け加えると、今回の話の中では地味ながらイノシシ問題が面白かった。離農によって放置された水田などを好むイノシシの増加によって、年々被害が増え、その結果また離農を質すという悪循環があると指摘。しかし、近代は、日本の歴史の中で(おそらくブタのコレラのおかげで)イノシシに比較的悩まされなかった例外的な時期であろうと示唆。んで、どうせ離農は進んでいるんだから、守りやすい(電気柵などをつくりやすい)土地に農業生産を集中させ、飛び地などは自然に帰す方策も必要と主張。なんか、普通の議論からあまり聞き慣れない結論が出てきた感じで面白い。
『砂漠の女ディリー』
1999 ワリス・ディリー(著) 武者圭子(訳) 草思社 
 ソマリアの砂漠に生まれ、不法労働者としてロンドンに暮らし、スーパーモデルになり、また女子割礼(FGM)反対運動家としても活躍する著者の自伝。面白かったので一気に読んでしまいました。不法移民が成功するのは運と気の強さと根性です(って、そんなまとめじゃ拙いだろ)。
『性の神話を超えて: 脱レイプ社会の論理』 講談社選書メチエ 47
1995 スーザン・グリフィン(著) 幾島幸子(訳) 講談社 
 まぁ、大変難しいテーマに関する本ではある。ただ、「論理」と銘打っているわりには、エッセイ調の文章が多い。無論、レイプに関するフェミニズム理論が論じられており、学術書であるのは間違いがないのだが…。
『暴力の子供たち: コロンビアの少年ギャング』 朝日選書 587 <今月のオススメ>
1997 アロンソ・サラサール(著) 田村さと子(訳) 朝日新聞社 
 コロンビアの下層社会で、子どもたちがどう社会に関わり、オトナになっていくかを描く。タイトルからの印象とは異なり、ギャングと戦う自警団側の少年の話なども出てくる。訳者が著者に会いに行き、実際に舞台となった場所を案内して貰っているというのも、ささいなことのようで翻訳の信頼性を大いに高めており、好感がもてる。そこまで手間をかけた翻訳なんて、なかなか出来るもんではない。
『明治14年の政変: 大隈重信一派が挑んだもの』 朝日選書 453
1991 姜範錫(著) 朝日新聞社 
 明治14年の政変とは、佐賀出身の大隈重信をはじめとする一派が政権グループから追われ、薩長藩閥政権が確立した一連の動きを指す(らしい)。
『国際結婚第一号: 明治人たちの雑婚事始』 講談社選書メチエ
1995 小山騰(著) 講談社 
 西洋との交流が深まるにつれ、幕府/明治政府は国際結婚を許すことになるが、事例が増えるにつれ、当初はあまり問題にならなかった女性と財産の問題や、婿養子のような日本的制度のような問題が顕在化していく歴史。驚きの新発見が紹介されるわけではないが、オーソドックスに面白い。
『大英帝国の「死の商人」』 講談社選書メチエ
1997 横井勝彦(著) 講談社 
 イギリスを中心とした武器メーカーの歴史。はじめにこの問題の国際的な重要性をぶち挙げている割には、現代的な問題にたどり着く前に本が終わっているので、ちょっと物足りない。
『NPO入門』 日経文庫 B57
1999 山内 直人 (著) 日本経済新聞社 
 手軽に読めるが、一読した感想としては、ちょっと情報が古かったかもだ。
『文学はなぜマンガに負けたか? 木野評論臨時増刊』 <今月のオススメ>
1998 京都精華大学情報館 
 『魅惑の「戦争」 "殺すな"の基底を問う』『頑張らない派宣言』など、毎号面白いテーマを打ち出している京都精華大学の木野評論の別冊。今まであまり気にとめていなかったのだが、ふと見ると『もののけ姫』をテーマに宮崎駿と、網野喜彦、梅原猛らが座談会をしているのを発見、これは貴重だ、と購入する。実際宮崎駿も刺激されたのか、珍しく根本的なテーマみたいな部分まで語っているのであった。
"To Kill a Nation: The Attack on Yugoslavia" <今月のオススメ>
2002 Michael Parenti(著) Verso 
 昨年の暮れにペーパーバックが出ると言うことで発注して、延期を繰り返すこと半年以上。最終的なアナウンスでは9月ということになっていたのに、突然届いた。なんのこっちゃ。ちなみに日本でも『ドキュメント 戦争広告代理店: 情報操作とボスニア紛争』という同じテーマの本が出た。そっちは未読なので、どの程度似ているのかは不明。
"Knowledge Management Foundations" <今月のオススメ>
2001 Steve Fuller(著) Butterworth-Heinemann 
 年末に出版された本だが、やっと購入。アマゾンのウィッシュ・リスト(未公開)を購入予定洋書の備忘録として利用しているのだが、なかなか消化されなくて困ってしまう。公有性(公開されていること、公開されても減らないこと)を有するとされた「知識」が、稀少性(私的所有されること、マネージの対象になること)に変換される哲学的前提を議論。CKO (Chief Knowledge Officer)と言った言葉の出現に、その転換のシンボルを読み解き、そういった時代における大学の意義を探る。
"Kuru Sorcery"
1979 Shirley Lindenbaum(著) Mayfield 
 以前購入した『プリオン病の謎に迫る』で、クールーに感染したオーストラリア先住民女性は、呪術的理由じゃなくて栄養学的要求から人肉食をおこなったと書いてあることはすでに紹介した。これは人類学積年の議論に関わる大問題(である点については『食と文化の謎』等を参照)なので、『プリオン病…』で参考文献として上がっていた本書も購入。

お買い物 2002年7月ぶん
     

『モジュレーション』 (DVD リージョン・コード2) <今月のオススメ>
2000 ー アップリンク 
 シュトックハウゼンからスクウェアプッシャーまで、電子音楽の作曲家たちへのインタビューと音楽でまとめたドキュメンターリー映画(かな?)。メニューからはチャプターごとだけではなく、音楽やコメントごとのインデックスでも選べるのがDVDの特徴を生かしていてよい。実はアルヴィン・トフラーもちらっと登場しているが、インデックスはついてない(「アーティスト・インデックスだからね)。ちなみに公開記念ライヴのリミックス版(?)である"Scanning of Modulations"も同じアップリンクから。
 しかしこれ、年末に注文して、諸般の事情で実家に届いたのが半年後。私の手元に届くまでさらにふた月。長い旅路だ。それはいいんだけど、今度はPowerBookのDVDドライヴが故障中(今PowerBookのOSが壊れたら大変なことになるんです)。つまり、見られない。…困った。
『現代思想の遭難者たち』 (マンガ) <今月のオススメ>
2002 いしい ひさいち (著) 講談社 
 バカウケ。講談社の『現代思想の冒険者たち』(全28巻+1)シリーズについていたオマケ冊子の連載をまとめたものに、書き下ろしを加えたもの。オマケ冊子に掲載されているのに本書では省かれていたりするものもある。また、ハーバーマスあたりは連載分と書き下ろし分で露骨に顔が違うが、まぁ、そのへんはご愛敬(たぶんマンガにし難かったんだろう)。実に面白いので、買いましょう。
『サトラレ』 3 モーニングKC (マンガ)
2002 佐藤マコト(著) 講談社 
 一巻映画についでテレビドラマ化だそうな。
『弾 (アモウ)』 2 プラザコミックス (マンガ)
2001 山本貴嗣(著) 蒼竜社 
 一巻。もともと、『猟姫ナジャ』のような、特に強い女性とSM趣味のストーリーという取り合わせが記憶に残る人であるが、マンガ版『不夜城』で原作の雰囲気と絵の雰囲気がバッチリあって傑作が生まれていた。そんなわけで、期待して買ったのであるが、若干期待はずれな感もあり。
『不服従を讃えて: 「スペシャリスト」アイヒマンと現代』
2000 ロニー・ブローマン, エイアル・シヴァン(著) 高橋哲哉, 堀潤之(訳) 産業図書 
 ユダヤ人であり、国境無き医師団の創設者であるブローマンが取り組んだ、アイヒマン裁判に関する映画『スペシャリスト』のシナリオ、およびそれを巡る議論を収録。
『構造改革 ブレア流』
2002 藤森克彦(著) TBSブリタニカ 
 おなじネオリベのエエカッコしいでも、ブレアとコイズミでは何が違うかっていうことを理解するには良い本。選挙制度の根本的な違いも考えた方がいいことだろう。でも、ややツッコミが足らないところや情報不足も。
『ヒマラヤの自然誌: ヒマラヤから日本列島を遠望する』
1997 酒井治孝(著) 東海大学出版会 
 主にネパールの、ヒマラヤ圏の地理、生態、文化に関わる総合的研究。写真が多く、イメージが膨らむ。
『NGO主義でいこう: インド、フィリピン、インドネシアで開発を考える』
2002 小野行雄 藤原書店 
 長らくNGO活動に関わってきた著者の体験談をまとめた本。ちょっとウェットなところもあるが、非常に読みやすく、また興味深い論点を多く含んでいる。最近の学生などの「援助」に対するスタンスの話などは、NGO関係者のみならずとも興味を引かれるであろう。また、コラムという形で豊富な関連書籍紹介がある。これが非常に役に立つ。
『歴史が教えるエコライフ 1: 生活編』
 『歴史が教えるエコライフ 2: 技術編』
 『歴史が教えるエコライフ 3: 風土編』
2001〜2002 谷口研語 ECC(財団法人省エネルギーセンター) 
 薄っぺらいソフトカバーの冊子で、すぐ読めそう。だけど、中の記事は(どうでもいいのもあるけど)比較的練られていて興味深い。しかし、素人には難しめで、専門家には簡単だし、参考文献が弱いのでさらなるリサーチには向かないと言う感じもあるし…。志は高そうなだけに、ちょっと惜しい感じの出来。
『水のリスクマネージメント: 都市圏の水問題』 ASAHI ECO NOOKS 4
2002 ジューハ・I. ウィトォー, アシット・K. ビスワス(著) 深澤雅子(訳) アサヒビール株式会社(発行) 清水弘文堂書房(編集発売)
 原著は国連大学の出版である。もうすぐ京都で水サミットがあるので、勉強して置けと言うことですかね? インドなどへ行くと、水問題(特に水の私有化)が非常に大きなトピックになっているのが判りますが、アカデミックに料理しづらいのがこの問題の隠れた難しさですかね。
『アグリビジネスと遺伝子組換え作物: 政治経済学アプローチ』 <今月のオススメ>
2002 久野秀二 日本経済評論社 
 大著だし、専門領域に関係しているので後ほどちゃんと評価を(って書いて、ちゃんと書評化した試しがないな。これじゃ、単に逃げているだけですな。…でも、やっぱり逃げさせていただきます)
『ピエール・ブルデュー 1930 - 2000』
2002 ピエール・ブルデュー(著) 加藤晴久(編) 藤原書店 
 ブルデューを追悼してまとめられたソフトカバー本。ホブズボウムら有名どころの追悼文が読める。
『河辺の詩: バングラデシュ農村の女性と暮らし』
2002 K.ガードナー(著) 田中典子(訳) 風響社 
 英国の人類学者によるエスノグラフィー。現地の人との交流が感情豊かに描かれている。したがって、「構造」とか「グローバリゼーション」とか「エージェンシー」とかいったジャーゴンは殆ど登場しない。とても最近のエスノグラフィーとは思われない(笑。でも、人類学者がそういった議論を導き出す背景を知るという意味でもいいんじゃないでしょうか。なにより面白いし。
『ロスト・フレンド』
2002 ケイティ・ガードナー(著) 小林浩子(訳) アーティストハウス 
 上記『河辺の詩』の著者である人類学者ガードナーの小説が、まったく同じ時期に登場。オリエンタリズムがふんだんに盛り込まれ(笑)、人類学者の書く小説としてはいかがなものか、という来もしないでもない。しかしながら、結果として「神秘的なものはなにもない」と言わんばかりのタネあかしは面白い。読み終わった後、ストーリーの概要はたぶん皆さん「おおむね予想通り」と思われるだろうが、ディティールや世界観はけっこう気が利いていて面白いと思われるのではないだろうか?
『紛争の海: 水産資源管理の人類学』 <今月のオススメ>
2002 秋道智弥, 岸上伸啓(編) 人文書院 
 特に食料になるような資源を巡っての紛争と、伝統的な知識の問題を議論する。地域的にも方法論的にも広い範囲をカバーしようという意図があるように思う。
『行政評価ハンドブック』
2001 小野達也, 田淵雪子(著) 東洋経済新報社 
 市民サイドからの行政評価プログラム、みたいなことをやりたいと思っていて、参考にならないかと買った本。傾向(といえるほどの物がまだない)を大づかみにすることは出来るが、やや食い足りない。
『環境評価入門』
1999 鷲田豊明(著) 勁草書房 
 まぁ、教科書です。辞書的に使えるというもくろみもあって購入しているので、まだ読んでません。
『バイオエシックス入門』 第三版
2001 今井道夫, 香川知晶(編) 東信堂 
 Amazonでは、なぜか最新の第三版は品切れで、なぜか1995年の二版が在庫している模様。編者は二人とも、医科系の大学に属する哲学者。
『「老農時代」の技術と思想: 近代日本農事改良史研究』 MINERVA日本史ライブラリー4
1997 西村卓(著) ミネルヴァ書房 
 明治初期の近代農法と伝統農法の相克の歴史。割と専門的な議論が多く、ちょっと取っつき辛いので、関連領域の参考文献をもうちょっと漁ってから評価します。
『正義の領分: 多元性と平等の擁護』
1999 マイケル・ウォルツァー(著) 山口晃(訳) 而立書房 
 ハーヴァードで、ウォルツァーがノージックと共同の授業を行い、そのなかでの議論(のウォルツァーのぶん)をまとめたとのこと。ノージックのぶんは『アナーキー・国家・ユートピア』であるらしい。
『身辺図像学入門: 大黒からヴィーナスまで』 朝日選書 646 <今月のオススメ>
2000 岡泰正(著) 朝日新聞社 
 著者は美術館の人。図像をめぐる色々な逸話が紹介されている。逸話の内容としては「基礎教養」のレベル。でも知らないこともあった。万人が読んでおいて損のない本かな。書いてある内容について確認できないような小さな図版(全部白黒だし)が多いのは残念。
『大学ビッグバンと教員任期制』
1998 高等教育3研究所(編集) 青木書店 
 タイトルと装丁から、改革推進派の本に見えなくもないが、実は反対派(笑。総じてうなずける主張をおこなっている気もするが、十年前に言えよなぁ、というところもあるわけで…。どうも、右左を問わず尻に火がついてから議論を始める(じゃあ、行動は何時だ?)という状況は、日本の大学を貫いて存在しているようで、困ったもんだ。
『山海経: 中国古代の神話世界』 平凡社ライブラリー34
1994 高馬三良(訳) 平凡社 
 想像上の生き物や人間がウジャウジャ出てくる中国の寄書。面白い。
『身体感覚を取り戻す: 腰・ハラ文化の再生』 NHKブックス893
2000 斎藤孝(著) 日本放送出版協会 
 まぁ、それなりの史料と順当な推論に基づいて議論が展開しているな、と言えるところと、突然オカルト的な議論がわき上がるところとあって、ちょっと評価しづらい本。まぁ、この手の身体論というのは、これまで不足気味な領域だと思われるので、存在の意義はあるかに思う。
『熟年性革命報告』 文春新書95
2000 小林照幸(著) 文芸春秋 
 「このトシになれば、毎晩何回も若いときのようにはできない。よくて週に一度ぐらいだろうけれど、私の場合は、死が怖いから、怖さから逃れるために二度、三度やっても平気だ。互いに、朝、顔を合わせるとき、体調はどうかといたわりあって、今日はできるかどうかをためしてからやる。だから、本当にできるときしかできないんだ。若いころのセックスなんて、そんないたわりなんてないだろ? どっちかがやりたいときに、仕方なくつきあうことだってあった。味も素っ気もない。女性週刊誌なんか見ていれば、つくづくそう思う。旦那もカミさんも、どれだけセックスというもんを理解しているのかって…」(p.43)。正直、感動した。
 (で、読み進めるうちに、この本は以前に読んでいることに気がついた。家の本棚にはないので、実家にあるのでなければ図書館で借りたか、誰かにあげてしまったのであろう。…新書を図書館で借りないな。なんか損した気分だが、たまにはこういうこともあるさ)
『インテリアの近代(モダン)』 講談社現代新書1058
1991 下村純一(著) 講談社 
 写真付きで美しい。
『大学サバイバル: 再生への選択』 集英社新書 0122-E
2001 古沢由紀子(著) 集英社 
 著者は読売新聞の教育問題関係を扱う記者。経営難、学力低下や若者の問題、大学の権威失墜、遠山プラン、大学の連合や合併、リカレント教育などがテーマ。まぁ、世間からみればその辺が関心事なんだろうな、ということが確認できると言うこと。そういう意味で、『激震! 国立大学: 独立行政法人化のゆくえ』なんかと比べて読むと、たぶんお互いがお互いを理解していないという事実(にもお互い気がついていないんだろうなぁ、という事実)に気づいて暗澹たる気分にさせてくれると思うので、お試しあれ。
『原発のどこが危険か: 世界の事故を検証する』 朝日選書 520
1995 桜井淳(著) 朝日新聞社 
 未読。
『プルサーマルの科学: 21世紀のエネルギー技術を見通す』 朝日選書 688
2001 桜井淳(著) 朝日新聞社
 未読。
『ロケット開発 「失敗の条件」: 技術と組織の未来像』 ベスト新書 2 <今月のオススメ>
2001 五代富文, 中野不二男(著) KK-ベストセラーズ 
 対談。これは面白い。ロケット開発の内幕とホンネ的な部分が、対談として語られている。当然、通常、見えてこない「仕組み」の部分が見えてくる。しかも、たっぷり新書の分量である。通常、こうした企画は雑誌の記事として現れるので、それに比べて議論が詳細に渡っており、非常に参考になる。こういった企画がペイするのであれば(それってチョット疑問だが)、是非他の分野についても企画して欲しい。
『老いはこうしてつくられる: こころとからだの加齢変化』 中公新書 1518
2000 正高信男(著) 中央公論社 
 老いというのが社会と身体の相互作用によって形成される物だという話。着眼点は面白い。でも、ちょっと実験手法には疑問が残る。
『翻訳の方法』
1997 川本皓嗣, 井上健(編) 東京大学出版会 
 翻訳などをチョコッとでもやるようになって、いろいろ頭を悩ませる問題にぶつかることが多くなってきたので買ってみた。…あまり、そういったことには役に立たなかった。やっぱ、学部の教科書だ。
"Doing Science and Culture"
2000 Roddey Reid, Sharon Traweek(編) Routledge, an imprint of Taylor & Francis Books Ltd 
 科学人類学関連のアンソロジー。『文化批判としての人類学』『文化を書く』で有名なフィッシャーがMITで科学人類学のコースをおこしたときの(フィッシャー自身による)レポートなどが興味深い。

 

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