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Book Guide STS/科学論

STS関連書籍のリストです。
解説などが未だ不完全なので、暫定公開です。
そのうちオススメ度なんかもつけてみようかなぁ、と思っていたりします。
この本が抜けている等の情報も是非お願いします。



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▽STS/科学論の基礎
 
『科学論の現在』
2002 金森修, 中島秀人(編) 勁草書房 
 内容は以下の通り。 科学知識の社会学/実験室の人類学/テクノロジーの社会的構成/科学教育/科学コミュニケーション/科学政策論/論争する科学(レギュラトリーサイエンス)/実験装置の科学論/科学のカルチュラル・スタディーズ
『科学・技術と社会―文・理を越える新しい科学・技術論』 ICU選書
1999 村上陽一郎(著) 光村教育図書
 国際基督教大学はSTSのコースがあり、その教科書。総覧的で平明であり、入門には良書。ただし、出版が科学技術基本法制定のころであり、その辺りの事情はだいぶ現在と違う点に注意。同著者の『科学の現在を問う』という新書も入門書だが、こちらはちょっと内容が薄められすぎている感じ。また同選書のSTS関連本としては『危機に立つ人間環境: 「食」と環境の化学』(田坂興亜)もある。  
『科学者とは何か』
 1994 村上陽一郎(著) 新潮社
 「科学者」という存在はいつごろから歴史上に現れたのだろうか? ニュートンは自分のことを科学者と考えなかった、というあたりから始まって、科学という概念が成立する過程と意味を問う。
 
『科学技術時代への処方箋』
 1997 調麻佐志, 川崎勝 (編著) 北樹出版
 たぶん、日本で最も早いSTSの入門書、といっていいのではなかろうか。一章は概説的に「問題としての科学技術」と題され、以後「日本への科学技術の導入は、どのような問題を伴っていたのか」「高等教育と研究者」「現代社会における医学・医療と人間の誕生と死」「加速化する技術進歩: 情報化社会はどこへいく」「一億総無責任時代の環境問題」「巨大科学の問題」「原子力問題の焦点」「科学技術コミュニケーション」「高度科学技術社会をひとりの生活者として生きるために」と続く。
『現代科学論: 科学をとらえ直そう』
 2000 井山 弘幸 金森 修 (著) 新曜社
 …すんません。未読です。
『科学を考える: 人工知能からカルチュラル・スタディーズまで14の視点』
 1999 岡田猛, 田村均, 戸田山和久, 三輪和久 (著) 北大路書房
 認知科学や科学哲学といった分野の議論が雑多に詰め込まれた感じの本。面白い試みだが若干読みづらい。アクターネットワークで有名なカロンらの論文が日本語で読めるのも吉。
『科学・技術・社会(STS)を考える: シスコン・イン・スクール』
1993 STS Network Japan(企画) 小川正賢(監修) 川崎謙, 田中浩朗, 杉山滋郎, 塚原東吾(訳) 東洋館出版社 
 
『科学技術の歩み: STS的諸問題とその起源』
2000 岡本正志(編), 東徹, 井上尚之, 岩田年浩, 藤岡達也, 森脇靖子(著)  建帛社 
 第1部は「現代社会と科学技術」と題されており、19世紀から現代まで科学技術の200年,生命と科学・技術,ダイオキシンと合成化学物質の起源,エネルギーと人類,交通・通信技術の発展と情報社会,都市と防災,経済社会と科学技術といった話題が扱われる。第2部は「科学的諸概念の起源」であり、物理的諸概念の歴史,生命観の歴史,物質概念の変遷,宇宙観の変遷,地学的認識の展開といった単元に別れている。
『科学技術社会学の理論』
1998 松本 三和夫 (著) 木鐸社
 
『科学と権力: 先端科学技術をまえにした民主主義』
1999 イザベル・スタンジェール (著) 吉谷 啓次 (訳) 松籟社
 プリゴジンとの共著でも有名なスタンジェールの著作。
『鯨と原子炉: 技術の限界を求めて』
2000 ラングドン ウィナー (著) 吉岡斉, 若松征男(訳)  紀伊国屋書店 
 
『科学が問われている: ソーシャル・エピステモロジー』
2000 スティーヴ フラー (著), 小林傳司, 調麻佐志 , 川崎勝, 平川秀幸 (訳) 産業図書
 社会認識論(ソーシャル・エピステモロジー)を提唱するフラーの初邦訳。ただし、これは学部上級生の教科書として書かれたものであり、内容は総覧的。ただし、議論のレベルに手抜きは無く、初学者の入門用にはちょっと難解か。
『NIMBYシンドローム考: 迷惑施設の政治と経済』
1999 清水 修二 (著) 東京新聞出版局 
 NIMBYとは"Not in my backyard"、つまり「うちの近くにはお断り」の意味である。著者はゴミ処理施設、原発、米軍基地を事例に、国家レベルの公共性は主張されるが誰もが自分の近くにあって欲しくないと考える施設を巡る議論について考察を加える。その上で、それらへの拒否感をNIMBYであるとして頭ごなしに否定したり、あるいは「そもそも原発はいらない」という本質論に頼りすぎたりすることなしに、公共性と自らの立場を考えるチャンスにすることを提唱する。
『現代思想 11月号』(vol.26-13) 特集:サイエンス・ウォーズ
1998 青土社  
 
『現代思想 8月号』(Vol.29-10) 特集:サイエンス・スタディーズ
2001 青土社  
 
・科学見直し叢書
  1 『科学と非科学のあいだ: 科学と大衆』 1987 下坂英(編著)
  2 『制度としての科学: 科学の社会学』 1989 成定薫, 佐野正博, 塚原修一(編著) 
  3 『科学における論争・発見: 科学革命の諸相』 1989 横山輝雄他(編著)
  4 『科学とは何だろうか: 科学観の転換』1991 小林傳司, 中山伸樹, 中島秀人(編著) 
木鐸社
 古い本なので、よく判りません。そのうち調べておきます。
『科学論争を愉しむ本』 別冊宝島123 ※絶版
1990 JICC出版局
 

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▽科学の哲学、認識論
 
『知識と権力: クーン/ハイデガー/フーコー』 叢書・ウニベルシタス696
2000 ジョゼフ・ラウズ (著) 成定 薫, 網谷 祐一, 阿曽沼明裕(訳)  法政大学出版局
 
『サイエンス・ウォーズ』
2000 金森 修 (著) 東京大学出版会
 一時期話題になった「サイエンス・ウォーズ」の経緯を、膨大なテキストをひきながら概説している前半と、そういった現状に依拠しながら環境や医療の問題についての著者自身の思想を展開しようとしている後半からなる。
『科学が作られているとき: 人類学的考察』
1999 ブルーノ・ラトゥール (著) 川崎勝, 高田紀代志 (訳) 産業図書
 

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▽科学技術政策とリスク
 
・『リトル・サイエンス ビッグ・サイエンス』
1970 デレック・プライス(著) 島尾永康(訳) 創元社 
 原書"Little Science, Big Science and Beyond"
『科学と民主制』
1969 ドン・K.プライス(著) 中村陽一(訳) みすず書房 
 
『縛られたプロメテウス: 動的定常状態における科学』
1995 ジョン ザイマン (著), 村上陽一郎, 川崎勝, 三宅苞 (訳) シュプリンガー・フェアラーク東京
 R&D、アカウンタビリティ、研究プログラム、COE、オーヴァーヘッド、インパクト・ファクター、指標、TLO(技術移転機関)といった言葉を聞いたことがあるだろうか? これらは科学者のコミュニティにとって比較的新しく、異質な概念である。これらの概念が何故、どのようにして現れてきたかを知るための良書。同著者に『社会における科学』(上)(下)がある。
『商品としての科学: 開放的な学者共同体への脅威』
1991 M.ギボンズ, B.ウィトロック(編) 白鳥 紀一, 吉岡 斉(訳) 吉岡書店
 
『現代社会と知の創造: モード論とは何か』 丸善ライブラリー241
1997 マイケル・ギボンズ (著) 小林信一 (訳) 吉岡書店
 科学研究が科学者の好奇心に基づく主体的なプロジェクト(モード1)から、委託研究を中心とした社会的な要請に駆動されるもの(モード2)に替わってきているプロセスの説明。同著者には『科学・技術・社会をみる眼: 相互作用解明への知的冒険』もある。
『危険社会: 新しい近代への道』 叢書・ウニベルシタス 609
1998 ウルリヒ・ベック (著) 東廉, 伊藤美登里(訳) 法政大学出版局
 ギデンズとの共著でも知られるドイツの社会学者ベックの代表作。旧版(1988)の改訳再刊。
『安全学』
1998 村上陽一郎(著) 青土社
 社会の変化や発展そのものが安全を脅かす、という現状は広く認識されてきているが、そういった問題を考える際の、現状に置いては唯一の入門書である。それだけに、やや議論が洗練されていない部分も多く、幅広い議論が必要である点も再認識させられる。
 
『七つの科学事件ファイル: 科学論争の顛末』
1997 ハリー・コリンズ, トレヴァー・ピンチ (著) 福岡伸一(訳) 化学同人
 原題"The Golem at Large"
『迷路のなかのテクノロジー』
2001 ハリー・コリンズ, トレヴァー・ピンチ (著) 村上陽一郎, 平川秀幸 (訳) 化学同人
 スペースシャトル墜落事故の原因についての議論などを事例に取り上げながら、科学技術を巡る議論の複雑さや落とし穴にせまる。『七つの科学事件ファイル: 科学論争の顛末』の続編的著作。
『橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学』  朝日選書686
2001 ヘンリー・ペトロスキー (著) 中島秀人, 綾野博之 (訳) 朝日新聞社
 「落ちると知りながら作られる橋はない」。では何故落ちるのか? 上のピンチの本と同じようなテーマですかね? …実は未読。
『科学技術者の倫理: その考え方と事例』 第二版
1998 Charles E. Harris, Michael S. Pritchard, Michael J. Rabins (著), 日本技術士会(訳) 丸善
 アメリカでは(主にチャレンジャー事故のショックから)技術者がその能力を発揮して社会貢献するために守るべき倫理と、それが破られる要因について、膨大な事例収集と分析がおこなわれるようになった。この時、主体になったのがプロフェッショナル・エンジニア協会という組織である。本書は、収集された事例の分類と分析、そして倫理について学生に考えさせるための課題からなる。類書として『科学技術者倫理の事例と考察』『環境と科学技術者の倫理』『科学技術者倫理の事例と考察』など。
 ※第一版から第二版にリンクを切り替えました。
『技術倫理〈1〉』
2000 C. ウィットベック (著) 札野順, 飯野弘之(訳)  みすず書房 
 未読。すんません。
『はじめての工学倫理』
2001 斉藤了文, 坂下浩司(編) 昭和堂 
 倫理学者が中心になって執筆している国産教科書。どちらかというと工学系の人の手になる『大学講義 技術者の倫理 入門』もあるが、こちらは現在は手に入らない模様。
『科学計量学の挑戦: コミュニケーションの自己組織化』
2001 ルート・ライデスドルフ (著), 藤垣裕子, 林隆之, 富沢宏之, 平川秀幸, 調麻佐志, 牧野淳一郎 (訳) 玉川大学出版部
 すいません。未読です。
『リスク学事典』
2000 日本リスク研究学会(編) TBSブリタニカ
 

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▽科学の歴史、社会との関わり
 
『囚人のジレンマ: フォン・ノイマンとゲームの理論』
1995 ウィリアム・パウンドストーン (著), 松浦 俊輔 (訳) 青土社
 ゲーム理論の誕生と発展の歴史的経緯を追いつつ、冷戦そのものやその時期のアメリカのアカデミズムの、社会的、思想的背景に迫る。基礎的な概念が面白く紹介されているので、ゲーム理論の入門書としても可。
『サイバネティクス学者たち :アメリカ戦後科学の出発』
2001 スティーヴ・J・ハイムズ(著) 忠平美幸(訳) 朝日新聞社
 内容は拙稿参照のこと。
『リスク: 神々への反逆』 (上)日経ビジネス人文庫
  『リスク: 神々への反逆』 (下)日経ビジネス人文庫
2001 ピーター・バーンスタイン (著), 青山 護 (訳) 日本経済新聞社 [ハードカバー]
 リスク概念の歴史を追う。より専門的な議論としては下記の『偶然を飼いならす』などとの比較も面白い。
『偶然を飼いならす: 統計学と第二次科学革命』
1999  イアン・ハッキング (著), 石原 英樹, 重田 園江(訳) 木鐸社
 統計と確率概念の歴史を追う。翻訳がすばらしい。
『家事の政治学』 新装版
2000(1995)  柏木博 (著) 青土社
 

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▽研究と高等教育、公共サービス
 
『アメリカの大学事情』
 2000 渡部 哲光 (著) 東海大学出版会
 大学のアメリカ化が叫ばれるが、何人の人がその実状をしっているだろうか? 議論と説明責任の伝統に則ったシステムの明確さに、仮に日本がそれを目指すとしたときの困難を認識させられる。
『アメリカの大学・カレッジ 大学教育改革への提言 改訂版』
1996 ボイヤー,E.L.喜多村和之他〔訳) 玉川大学出版部
 
『廃墟のなかの大学』叢書・ウニベルシタス661
2000 レディングズ,ビル 2000 青木健・斎藤信平(訳) 法政大学出版局
 

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▽組織、経済、経営
 
『もの造りの技能: 自動車産業の職場で』
2001 小池和男, 中馬宏之, 太田聰一(著) 東洋経済新報社
 
 
『知識創造企業』
1996 野中 郁次郎, 竹内 弘高(著), 梅本 勝博 (訳) 東洋経済新報社
 世界的に有名な著者による、極めて強い影響力を誇る(らしい)本。「暗黙知」など、科学哲学/文化人類学の概念が議論の極めて基礎的な部分に使われており、学ぶべき点も多いののだが、いっぽうで人類学的な議論の利用のされ方としてはビミョ〜なフラストレーションを感じさせる点も…。
『知識とイノベーション』
2001 一橋大学イノベーション研究センター(編) 東洋経済新報社 
 「イノベーション」を企業内、企業間、国家政策のレベルで研究した論文を集めている。

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▽環境(人口、食料と第一次産業)
 ちょっと問題が広く設定されていますが、当座は遺伝子組換作物と有機農法の問題などに焦点を当てて紹介します。そのさいの背景として、人口問題や債務問題も押さえられるといいでしょう。
『なぜ世界の半分が飢えるのか: 食糧危機の構造』 朝日選書257 1984
 『債務ブーメラン: 第三世界債務は地球を脅かす』  朝日選書539 1995
 『世界銀行は地球を救えるか: 開発帝国50年の功罪』  朝日選書567 1996
 スーザン・ジョージ(著) 朝日新聞社
 
『緑の革命とその暴力』
1997 ヴァンダナ・シヴァ (著) 浜谷 喜美子 (訳) 日本経済評論社
 

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▽生命科学、医療と倫理
 このジャンルはSTS関連領域としては例外的に研究も一般向けの著作も極めて豊富ですので、代表的なモノしかあげられませんが…。
『知政学のすすめ: 科学技術文明の読みとき』 中公叢書
1998 米本昌平(著) 中央公論社
 
『文化としての生殖技術: 不妊治療にたずさわる医師の語り』
1999 柘植あづみ (著) 松籟社 
 
『中絶論争とアメリカ社会: 身体をめぐる戦争』
2001 荻野美穂(著) 岩波書店 
 
『免疫複合: 流動化する身体と社会』
1996 エミリー・マーチン(著) 菅靖彦(訳) 青土社 
 
『DNA伝説: 文化のイコンとしての遺伝子』
1997 ドロシー・ネルキン, M.スーザン・リンディー(著) 工藤政司(訳) 紀伊国屋書店 
 
『クィア・サイエンス: 同性愛をめぐる科学言説の変遷』
2002 サイモン・ルベイ(著) 伏見憲明(監修) 玉野真路, 岡田太郎(訳) 勁草書房
 
『PCRの誕生: バイオテクノロジーのエスノグラフィー』
1998 ポール・ラビノウ (著) 渡辺政隆 (翻訳) みすず書房 
 『異文化の理解』や『ミシェル・フーコー』(ドレイファスとの共著)で知られるアメリカ人類学会の大御所が、現在のバイオテクノロジーにおいて極めて重要な位置を占めるPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)がヴェンチャー企業によってどのように「開発」されたかを探求する。正直言ってツッコミがイマイチ。
『なぜ遺伝子組換え作物は開発されたか: バイオテクノロジーの社会学』
1999 大塚善樹(著) 明石書店 
 
『遺伝子組換え作物: 大論争・何が問題なのか』
2001 大塚善樹(著) 明石書店
 上記のものにくらべて入門的かつ総説的。

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▽環境(エネルギーなど)
 
『市民の科学をめざして』 朝日選書617
1999 高木仁三郎 (著) 朝日新聞社 
 反原発運動の推進者として  
『北欧のエネルギーデモクラシー』
2000 飯田哲也 (著) 新評論
 

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▽情報技術と情報化社会
 
『ノイマンの夢・近代の欲望: 情報化社会を解体する』 講談社選書メチエ87
1996 佐藤俊樹(著) 講談社
 
『デジタルデバイドとは何か: コンセンサス・コミュニティをめざして』 講談社選書メチエ87
2001 木村忠正(著) 岩波書店
 

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