November 2007アーカイブ
サイエンスアゴラ でのサイエンスショップ・ワークショップは無事終了しました。
出席いただいた方、ありがとうござます。
以下に、当日出た「研究のアイディア」をお送りしておきます。
・東京の高層ビル群は本当に大地震が起きたときに大丈夫か?
・レンタサイクルシステムの導入に関する調査
・遺伝子組換えされたネズミやハエが大学から逃げ出していないか、不安です。調べていただけないでしょうか。K大学周辺住民より
・分別収集されたゴミはどの後どうなるのか?(本当に分別したことが生かされているのか? 地域によって分別法も異なるなど、根拠がよくわからない)
・自治体の地震(防災)マニュアルの有効性の検討と住民主体の対策プログラムの確立。ゴミ処理システムでも同様のものが考えられる
・地域の電磁界施設周辺の電磁界強度マップと暴露低減のための地域ルールの提言
・「からだが冷えるとかぜをひく」とよく言われるが、本当なのか?(カゼはウィルスによる感染症なのにどうして?)
・凶悪犯罪の若年齢化が進んでいるような印象が報道されることがあるが、本当か?(どんな統計からどんなことが言えるのか?)
・高齢化に伴う福祉機器のニーズと利用形態に関する調査
・だしのとり方は料理人でもいろいろあるが、実際どの方法が一番おいしいのか?
・研究者の科学とは? 科学感、倫理感 ex. 環境問題への関心、考え、市民と科+技、職・学歴・地方別
・くらしの中の科学
・文系型と理系型のコミュニケーション
・人間 科学 人とは何か?
・地方で、地元で必要としている人材・技術の調査 学生(中高生)進路、地元活性化
・東京の高層ビルの林立とヒートアイランド現象の関係(最近20年)
・身近な環境問題 ex. アスベストの被害状況調査と対策
[記事Mirror]
サイエンスアゴラで東京に行ったばかりですが、また週末以下のイベントで上京します。
よろしかったらご参加ください。
+++++++ここから(転載歓迎)+++++++
NPO法人サイエンス・コミュニケーション(サイコムジャパン)
「海外援助と科学教育」研究会
フィリピン ・ビサヤ地方の小学校での実験科学教室の実施報告
日時:2007年12月2日
13:00〜(12:30開場)
場所:東京大学 駒場ファカルティハウス
(http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_33_j.html)
話題提供:
富田悟志(サイコムジャパン)
春日匠(サイコムジャパン)
主催:
NPO法人サイエンス・コミュニケーション(サイコムジャパン)
http://scicom.jp
【内容】
科学実験教室で国際貢献: フィリピンの小学校でペットボトルロケットを飛ばしました!
科学技術の問題に携わるNPOは数を増やしています。一方、草の根の国際貢献はNPOにとって、最も伝統的で重要な活動分野のひとつです。イギリスなどではこれら二つの領域は密接な関係を保ちながら進められており、サイエンス・カフェ(科学者と市民が気軽に話し合う小規模なお茶会)なども、イギリス発の手法としてアジアやアフリカなどの第三世界でも積極的な普及活動が行われています。
我が国でも、NPOの国際貢献として、環境問題などとも密接に結びついた科学技術教育や科学コミュニケーションは、今後もっと考えられていくべきだと思われます。そのために、どのようなことが出来るか、議論していきたいと思います。
今回は、NPO法人サイエンス・コミュニケーションが今年9月に試行的に手がけたフィリピンにおけるペットボトル・ロケット教室の事例をご紹介し、それを題材に議論を進めたいと思います。
※お申し込みは要りません。参加費は無料です。どなたでも気軽にご来場ください。
お問い合わせ先
NPO法人サイエンス・コミュニケーション (サイコムジャパン)
office@scicom.jp
担当:富田 070-5456−0346
サイエンスアゴラのために上京します。
私にとってのメインイベントは下記「サイエンスショップ・ワークショップ」ですが、あと JSTの研究報告とか、NPO法人サイエンス・コミュニケーションがらみのイベントなどに参加予定。
第二回サイエンスショップ・ワークショップ 日本におけるニーズを考える日時: 11月24日(土) 13:00-
会場: 日本科学未来館 7F イノベーションホール
http://scienceportal.jp/scienceagora/agora2007/map.html内容:
大学が市民に対して参加型研究を提供するサイエンスショップが、日本でも急速に広まっています。今、大学が社会と共同でなにができるのか、そういった活動を始めている大学関係者の経験を元に話し合います。登壇者:
伊藤真之(神戸大学)
中武貞文氏(九州大学)
平川秀幸(大阪大学)お問い合わせ先:
春日匠(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター)
メール stc[at]cscd.osaka-u.ac.jp (※[at] を@ に変えてください)
電話 06-6816-9494 ファクス 06-6875-9800申し込み方法:
このイベントはサイエンスアゴラ(http://scienceportal.jp/scienceagora/)の一環として行われます。
どなたでも参加いただけ、参加費は無料です。当日、直接会場におこしください。【講演概要】
●伊藤真之(神戸大学)
2007年度より、神戸大学発達科学部・大学院人間発達環境学研究科に、神戸大学サイエンスショップが設置された。同サイエンスショップの特徴としては、市民社会の科学に関わる課題解決に加えて、(1) 市民社会における文化としての科学の発展支援、(2) 優れた課題発見・探求・解決能力を備えた科学者養成をめざす高等教育プログラムとしての側面を持っている。こうしたことから、構想としては、広義の科学教育の機能が強調されている意味で、スタンダードなサイエンスショップとはやや性格を異にする、「神戸型」サイエンスショップの構築をうたって創設された。●中武貞文氏(九州大学)
地域においてサイエンスショップを推進するにはニーズと大学の持つシーズ・リソースとのマッチングが鍵となる。福岡県糸島地域にて九州大学と地元自治体が展開している「いとしまサイエンスキャラバン」を事例に、地域ニーズ情報の収集と市民を巻き込んだプロジェクト創出について考える。●平川秀幸(大阪大学)
大阪大学コミュニケーションデザイン・センターは、「専門知識をもつ者ともたない者、利害や立場の異なるひとびと、そのあいだをつなぐコミュニケーション回路を構想・設計」するために2005年から活動を開始している。その一環として、2007年からサイエンスショップを始動させた。今年度行われている藻川・猪名川の水質調査・改善プロジェクトの経緯などを検討し、日本におけるサイエンスショップの課題を検討する。※PDF版チラシは以下からダウンロードできます。
http://cscd-stc.weblogs.jp/blog/files/CSCD071124.pdf
世界社会フォーラム ブレティン 2007年11月13日版(非公式日本語版)
※公式の英語版は以下のURLでご覧になれます。
http://www.forumsocialmundial.org.br/download/wsf_bulletin_07-11-13_en.htm
1. 世界社会フォーラム国際評議会は「行動のためのグローバル・デー」に向けた次のステップについて協議した
次回の世界社会フォーラム(WSF)のために計画された2008年1月のモビライゼーション・ウィークと「行動のためのグローバル・デー」は、ベレン(ブラジル・パラ州)で10月の最終週に開かれた世界社会フォーラム国際評議会で形をなし始めている。次の世界社会フォーラムにむけて、4大陸から100人を超える代表が集まり、戦略を練り、ローカルとグローバルの相互関連などについて話し合った。
過去の一元化された世界社会フォーラムと異なり、2008年のWSFは世界各地の社会運動、組合、グループやネットワーク、その他の組織による無数のイベントが、それぞれの活動地域で繰り広げられることになる。これは共通の一週間のあいだに行われ、1月26日の「行動のためのグローバル・デー」で頂点を迎える。グローバルなキャンペーンは直接的に社会的なアクターによるローカルなアジェンダに結びつき、議論と文化的あるいは芸術的なイベント、デモ、抵抗運動、直接行動、会合、あるいは「もうひとつの世界は可能だ」ということを示すその他さまざまな方法で一週間を満たすのである。
ベレンでの会合は、ローカル・アクションをグローバルな行程に統合し、抵抗のネットワークを可視化し、ダヴォス経済フォーラムの提案へのオルタナティヴを突きつけるために、いくつかの戦略を策定した。ダヴォス経済フォーラムは通常スイスにおいて世界社会フォーラムと同日程で行われている資本主義者のサミットである。
コミュニケーションは「行動のためのグローバル・デー」で中心的な役割を果たす。すでにアクションのための国際的な呼びかけが掲載されているウェブサイト(www.wsf2008.net)は直ぐにアクションを広報し表現するための主要なツールに発展する。
私たちの戦略はイベントの情報を提供するだけではなく、根源的には「もうひとつの可能な世界」のためのグローバルな相互交流のプロセスを強化することである。このツールは私たちが、異なる地域で活動しているが同じ問題関心を共有するグループ間の、ローカルなアクションと提案の間にグローバルなリンクを創り出すのに貢献するであろう。ローカル・グループは相互に異なる活動分野を収れんさせるポイントを作り上げることも出来るだろう。
1月26日の週のあいだ、www.wsf2008.net は同時に世界各地のイベントに関する記事をマルチメディアで提供する。「行動のためのグローバル・デー」の間に世界の異なる場所で何が行われているかを見せてくれるライヴ映像のブロードキャスト放送や野外上映などが企画されている。
アーティスト、音楽家、映像作家、メディア活動家とAVプロデューサーへの呼びかけがベレンで発行された。彼らには、世界社会フォーラム原則憲章に関係した1分のビデオを作成することが呼びかけられている。
ベレンの会合で、そこに参加した組織によって、「行動のためのグローバル・デー」のために企画された最初のイニシアティヴが示された。会合は、パラ州の州都であるベレンで行われる2009年の世界社会フォーラムのための動員プロセスを可視化するという点でも重要であった。
ベレン市は、全世界にとってのアマゾン地域の重要性に焦点を当てるために、2009年度のグローバル・フォーラムを誘致することを選んだ。つまり、アマゾン地域の地域的、文化的、政治的、経済的な現実が世界社会フォーラムがあつかってきた諸問題と強く結びついているのである。諸問題とは例えば生物多様性、気候変動、民族的あるいは文化的多様性、植民地主義、軍国主義、労働者と生産物の連結(生活レベルの鉱山採掘からハイテク産業まで)、といった問題である。
2008年世界社会フォーラムに関するコミュニケーションとメディアの問題に関しては、media@wsf2008.net に問い合わせるか、www.wsf2008.net を参照して頂きたい。
a) ベレン国際評議会に関するメディア報道
(省略)
意味分からん、という方、「科学と民主制のための世界社会フォーラム」とは何か、についてで解説してますので併せてご覧ください。
http://skasuga.talktank.net/diary/archives/archives/321.html
▼世界社会フォーラム(2009年1月 ブラジル・ベレン)での「科学と民主制のための世界社会フォーラム」への呼びかけ
全地球的規模の、科学者と社会運動の建設的な政治的対話にむけて。研究開発に結びついた問題の民主的な応用のために。
2001年から世界社会フォーラムは順次、世界中に広がる無数のNGO、メディア、組合や社会運動、自治体やその他組織、あるいは政府さえも巻き込んだアジェンダを生成してきた。
今日、一連の社会フォーラムはこういったグローバルおよびローカルなレベルでの社会的、文化的、経済的な変革の構築、共有、反省の重要な機会であったと考えられている。
しかし、我々の日常生活、経済、社会および環境に対する科学と技術の影響はかつてなく重要になっているにもかかわらず、世界社会フォーラムの歴史を通じて科学と技術に関する議論が欠如していたことを我々は認識してきた。
原因は無関心でも、専門的な能力の欠如でもなく、社会運動家と科学者との双方に、社会の中での科学の位置とその未来に関連する考察が欠けていたことである。
このことから、世界中の科学者とNGOや社会運動の間に、公共的で民主的な議論のためのオープンな協働空間を構築することが、下記の事柄を目的とした、新しい刺激的な機会となることを我々が信じる理由である。
1 公共財としての、人類共有の知識の開発と促進すること。2 科せられた社会的責任を十全に果たそうとする科学者への支援という問題とその手段を議論すること。
3 研究者の自律性を強化すること。
研究の公共的な使命を守り、学生、研究者、エンジニアによって科学的な活動が導かれているという状況を促進すること。4 知識を生み出すという市民運動の能力と、科学的な組織とのパートナーシップを強化すること。
5 科学と技術に係わるフィールドでの、我々(南北双方)の社会による民主的な決定の能力を強化すること。
科学者と社会運動家は、人権、文化的多様性と社会的あるいは環境的なニーズに対してより注意を払う社会を構築するために、彼らの専門知識と構想を共有する必要があるのである。
このために我々は、科学者共同体と市民組織の構成員として、第一回「科学と民主制のための世界社会フォーラム」の組織委員会への参加を呼びかける。
第一回「科学と民主制のための世界社会フォーラム」はベレン(ブラジル)で開催される2009年の世界社会フォーラムのなかで行われる。※呼びかけに賛同し、このイニシアティヴを支援するために以下のサイトで署名することが出来る。
http://fsm-science.org/
【P.S.】
公式サイトの呼びかけ 日本語版として採用されました。まだ若干文字が化けているので、修正依頼中です。
これは「『科学と民主制のための世界社会フォーラム』への呼びかけ」の解説です。まず呼びかけのほうをご覧ください。
まず、世界社会フォーラムを知らない方のためにそこからご説明したいと思います。
世界社会フォーラム(WSF/World Social Forum)は、全世界の社会運動体の年会として2001年にブラジル南部のポルト・アレグレで第一回が行われました。
その後、ポルト・アレグレで2003年までに三回行われ、2004年はインドの商都ムンバイ、2005年は再びポルト・アレグレ、2006年は多中心世界社会フォーラムと銘打ってバマコ(西アフリカのマリ)、カラカス(ベネズエラ)、カラチ(パキスタン)で同時開催が試みられました(実際は印パ国境で2005年末におこった大地震の影響で、カラチの開催が2ヶ月先送りされたため、同時開催は二カ所)。
そして、今年2007年はナイロビで行われ、2008年はさらに分散化を進めると言うことで1月27日を中心とした全世界同時フォーラムが予定されています(今後の予定などはWSF Bulletinを参照)。
社会フォーラムの特徴は、スイスのダヴォスで行われている世界経済フォーラムに対抗したイベントであると言うことです。
世界経済フォーラムが高額の会費を払うか、あるいは招待された政界・経済界の一部のトップエリートだけに参加が許される集まりであるのに対して、世界社会フォーラムは誰でも参加でき、議論するための場として設定されています。
また、世界経済フォーラムが基本的に「経済」を重視し、「ネオリベラリズム/新自由主義」と総称される経済優先の社会政策を推進する経済右派に属する人々の集まりと見なされているのに対して、世界経済フォーラムは社会政策を優先する経済左派(マルクス主義からいわゆる国際ケインズ主義を含む)の集まりであると考えられています。
このことに反論して、近年は世界経済フォーラムもアフリカの貧困問題など、社会政策的な側面を重視するようになってきていますが、それ事態が世界社会フォーラムの成功がもたらした圧力の結果だと見ることもできるでしょう。
社会フォーラムの参加団体が扱う問題は、環境、民族、戦争と平和、民族移動、ジェンダーとセクシャリティ等多岐にわたります。
また、政治的には世界社会フォーラムにはオックスファムやWWFのような穏健派の社会運動体から第四インターナショナル系の極左運動まで含んでいます。
参加の条件としては、行き過ぎた資本主義への懸念を共有し、闘争のために暴力を使わない団体のメンバーすべてということになっています。
ただし、非常に興味深いのですが、国家や政党を代表しての参加は原則的には認められません(ブラジル開催のときは通常、労働者党選出のルラ大統領の演説が行われますが、これも通常「たまたま同じ街で開催しているだけ」という位置づけになります)。
また、逆に「個人」としての参加も認めるべきか、これまで議論を呼んできました(すべての参加者は個人の利害を主張するのではなく、大なれ小なれなんらかのグループの人々を「代表」することに努めなければいけないというのが社会フォーラムの基本理念です)。
さて、再来年の2009年については世界社会フォーラムはブラジルに帰り、北部の都市ベレンでの開催が予定されています。
南部ポルト・アレグレはブラジルの中ではヨーロッパ(ドイツ・イタリア)系の移民率が高く、所得や識字率も高い地域として知られています。
それに対して、ベレンを含めた北部は(アフリカ系や日本なども含めた)非ヨーロッパ系の移民の率が高く、またアマゾン地区の環境問題やそれと絡んだ先住民の権利問題も深刻で、より多様で深刻な問題を抱えた地域として知られています。
世界社会フォーラムは第三世界で開催することが基本とされていますが、そういう意味ではインフラも整備され、限りなく先進国に近いポルト・アレグレではなく北部のベレンで行われるというのは新しい挑戦でもあるでしょう。
その2009年のベレン世界社会フォーラムのなかで「科学と民主制のための世界社会フォーラム」を開催することがATTACフランスらによって呼びかけられています。
http://fsm-science.org/
呼びかけ文はまだ暫定的なもののようですが、とりあえず翻訳を作成しました(英文は上記サイトでご確認にいただけます)。
ちなみに、これまでの世界社会フォーラムはフランスとブラジルの市民運動にリードされてきたという経緯があって、これらの国の社会運動体の特徴として、問題を社会経済的なものと捕らえる傾向があります(「気候変動に対応するためにはストライキで、それでもダメなら国際課税だ!」)。
これは、問題を科学・技術的なものと捕らえるドイツや北欧の団体(「500キロ以下の移動について年間何十万人飛行機から電車に切り替えれば温暖化ガスの排出量を何パーセント押さえられる云々)と好対照と言えるでしょう。
もちろん、多くの問題は単純に科学技術に留まるものではなく、一方で科学知識なしに解決できる問題でもないのであり、両者の対話が必要なのは言うまでもありません。
それらの点は兼ねてから認識されており、今回の声明につながったと考えるべきでしょう。
呼びかけ団体も多岐にわたっています。
ATTACは98年のアジア通貨危機を切っ掛けに発足した団体であり、通貨取引税(いわゆるトービン税)などの活用により、国際金融の動きを管理し、経済の弱い部分にグローバル化のしわ寄せがいくことを防ぐことを訴えています。
ATTACはフランスを起源としているが、数年のうちに世界各国に広がり、世界社会フォーラムの発足の切っ掛けにもなりました。
All India People's Science Networkは南インドのケララ州を発祥の地とする科学者のネットワークで、インド全域の識字運動に大きく係わってきました。
ケララの商都コチ(旧称コーチン)を含むエルナクラム県はインドではじめて完全識字を達成した地区として知られています(また、ケララ州はGDPに比して極めて高い平均寿命や低い乳児死亡率で知られており、「社会開発の奇跡」と呼ばれる地域でもあります)。
現在は、識字及び理科教育だけではなく、ボトムアップの研究開発にも力を入れており、住民が自分たちで管理運営する上水道技術をサポートしたり、エネルギー消費の少ない竈を開発するなどの活動も行っています。
90年代なかばには、数百万人が会議に参加する形で、ケララ州の地方自治を考えるキャンペーン(People's Plan Campaign)を実施し、地方分権を推進するための制度を確立したことでも知られています。
ムンバイの世界社会フォーラムでは、その実施に大きな力を発揮しました。
これらの団体は社会運動家にとっておなじみであろうが、科学者や科学論(STS)の研究者にとっては聞き慣れない運動かも知れません。
逆に、イギリスのNGOであるDEMOSは遺伝子組替えやナノテクノロジーなどを巡って、市民参加型のワークショップなどを運営してきたNGOであり、日本でも科学技術コミュニケーションの研究者にとっては重要な団体ですが、社会運動の側にとってはこれまでさほど馴染みがある団体ではなかったでしょう。
実は90年代以降イギリスは、科学技術に関する政策決定に市民が参加するシステムを開発することについて、世界をリードする存在となっており、多くのNGOがある時は政府機関や企業と協力し、ある時は対立する形で議論を深めてきました。
これは勿論、BSE(いわゆる狂牛病)問題に端を発するものですが、主要な争点は90年代は遺伝子組替え作物であり、現在はナノテクであると見なされています。
もちろん気候変動なども重要な問題ですが、それらはどちらかというと問題の質としては合意を見ており、どうやって解決するかというフェイズに移行しているのに対して、ナノテクは「社会問題になるか」どうかも定かではないという側面があります。
そこで、これまでの諸問題(GMO、BSE、アスベストやフロン等)の時のように、問題や対立が起こってから事後的に対処するのではなく、「上流(Upstream)」で(つまり、問題が起こる前に)専門家だけではなく市民社会を広く巻き込んだ形で検討を加えようと言う流れが一般化してきています。
その最先端の実践を担っているのがDEMOSのようなイギリスのNGOだと考えられているわけです。
たとえば、ナノテクについて様々な立場の市民が議論するナノジュリー(ナノ陪審)は二つの大学とメディア(がーディアン誌)、NGO(グリーンピース)の合同事業として行われました。
この例からも分かるように、日本より社会運動のネットワーク化の進んでいる欧米では個別の団体ごとには連携はあるわけですが、そういった流れが世界社会フォーラムという場所を得てより緊密で広範な協力関係に発展することが望まれています。
例えば水俣問題や原子力関連の運動の長い歴史を持つ日本は本来、こうした関係についてリーダーシップを取る国のひとつと見なされても良さそうなものですが、残念ながら今のところそれは難しいようです。
今回のことを切っ掛けに、科学者と市民運動のネットワークを構築していく機会のひとつにできれば大変有意義なのではないでしょうか。
京大にてTailoring Biotechnologies国際会議。
テーラーリング・バイオテクノロジーのテーラーリングとは勿論、テーラーメイド(注文仕立ての、適合させた)のテーラーである。
つまり、アンチ・バイオテクノロジーに留まるのではなくて、バイオテクノロジーをどう地域ごとのなニーズ適応させるか積極的に提言していこうという議論で、ワーヘニンゲン大学およびアムステルダム自由大学のGuido Ruivenkampによってつくられた概念と言うことである。
たしかに(今回の参加者の議論にもあったのだが)環境的には遺伝子組替え農業以上に、現代型の化学肥料を大量に使った農業の問題が大きいというのは事実である。
だとすれば「反遺伝子組替え作物運動」が化学農法を温存する方向に働きかねない現状は問題で、消費者や農家の人々とも共同で、より環境にも適合的で安全な農法を提言していくことは必須なわけである。
もちろんこういった議論は、NatureやCellを舞台にしたヘビー級のどつきあいを愛するスーパー科学者には承伏しがたい話だろうが、テーラーメイドのためのテーマで研究できることにやりがいを感じる研究者もそれなりの数いるだろうとも考えられる。
ただ、現在の社会制度では、そういった研究を評価する制度がないことが問題となる。
私自身も講演の機会などにケララ州での適合技術の試みについて話をすると、あとで大学院生が質問に来て「必要性があるのはその通りだと思いますが、ボクがそれをやったらアカデミックな競争社会で生き残れませんよね?」と聞かれることが多い。
実際、まったくそのとおりなのである。
そういった「ハイテクではないけれど、ローカルに必要性の高い研究」をどう評価して、そういうところでいい仕事をしている若手に報いていくかというのは今後の課題であろう。
10月31日に北海道大学CoSTEPのセミナーでサイエンスショップについて話してきました。
そのときに、「どんなテーマがあり得るか」ということを参加者のみなさんに考えて貰って、提出して貰いましたところ、以下のようなテーマが挙げられました。
(みなさんも研究テーマを考えたらご一報ください)
○持続可能な資源利用の方法(人・社会と自然の共存)地域の課題に即して
→これはやや包括的ですが、具体的な課題としてはサイエンスショップが取り組むべき研究はこういうものになるんでしょう。
○PCBごみ処理施設から派出される煙は体に影響ないのかどうか
→当然、行政のアセスメントは存在しているはずですが、それでは信用できないと言うことも含意しているんでしょう。社会の色々なセクターからさまざまな論点が提示されて討論の材料になるというのは重要なことだと思います。
○ゴミの分別をするとしないとでTotalエネルギーはどうかわるか?
○ゴミ減
→ちなみに、サイエンスショップより少し大規模な試みですが、名古屋の行政と市民グループが共同で行っているゴミの市民会議があります。
○カモメはなぜ札幌上空を飛び始めたか。生態系を壊しているのは人間か
→これ、まったく知りませんでしたが、札幌のような内陸までカモメが入り込み始めているということだそうです。たしかに原因が気になりますね。
○カラスの撃退法 北大内にいるカラスをどうやって撃退するか
→これは具体的で、すぐにでも取りかかれそうです。
○鉄道やバスの「ダイヤ」「路線」の研究 「どうやったら 効率的に 便利で使いやすい」公共交通になるのか
→会場でも、民間企業が運営している鉄道の合理化について市民が口を挟むべきか議論になりました。「環境面での効率化」のような要素を挟めば「公共性の高い」研究といえるかも知れません。
○お医者さんはどうしたら地方(田舎)の病院で働いてくれるか?
→北海道らしい切実なテーマということでしょう。
○雪の利用 夏の冷房として使えないか
○冬の長い地域の生活が人間に与える影響(国際比較とか、対策とか)
○雪の日の自転車運転法
○雪対策 雪ハネの効率化
○雪国での公共交通のありかた
→このあたりも北海道ならではでしょうか?(雪かきを「雪ハネ」というのも知りませんでした)。雪に関する研究テーマを集中的に集めていってもなにか面白い視点が見えてくるかも知れません。
○投資を回収できる公共事業
○本音しかしゃべれなくなる薬の研究
→…ドラえもん??
○政府がやらない研究/地方独自の
○健康食品の評価
○モンスター化する市民についての調査