February 2008アーカイブ

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AAAS年会報告 その1(1、2日目)
AAAS年会報告 その2(3日目)
・AAAS年会報告 その3(4日目。評議会々合)※この記事です。

Boston 2008

 ということで、4日目。
 いろいろあったのですが、眼目はAAASの評議会ミーティング。
 クローズドで行われる部分と、オープンで行われる部分があるようなので、オープンの時に行ってみました。
 オープンだからといって、単純に説明責任の体裁を整えるために行われているのでもなく、それなりに実質的な議論が行われていると言えそう。
 最初からいたわけではないので、すべての議題を見ているわけではないが、AAASのとしての事業報告の他に、ブッシュ政権と科学技術予算、科学と人権といった問題が扱われている。
 特に、人権についてはかなりの時間が割かれたという印象。

 AAASの正式名称が American Association for the Advancement of Science(全米科学振興協会)であるように、基本的にはアメリカの団体であるわけだが、近年国際化が進行しているという点も論点であった。
 もちろん、サイエンス誌はネイチャーとならんで、自然科学の分野のトップ・ジャーナルであり、国際的に読まれている。
 紙媒体ではなく、サイト・ライセンス化が推進されているが、これも国際化しつつあるらしい。
 また、事業としても、さまざまな試みが海外との間に行われている(クウェートとの「アラブの女性リーダー」に関する会議や中国政府との「科学倫理」に関する会合、イノベーション政策に関するヴェトナムとの会合、科学と社会に関する欧州委員会との会合、等)。

 評議員の質問では、今年は欧州委員会が巨大なブースを展開していたことに加え、北海道大学が出展するなど、国際的な出展も多いが、それに対して継続的な協力関係を築く試みは行われないのか、といった質問も行われた(ですよ、CoSTEPさん)。
 議論に際して、議長から、国際的な協力関係を維持する際に、カウンターパートが相手国の科学省になることも多く、独立の科学省を持たないアメリカにとって、良かれ悪しかれAAASが疑似省庁(Quasi-ministry)として機能しているという点に注意を払う必要があるという提起も行われた(要するに、AAASという科学者のNGOが政府機能を補完しているという認識なわけである。凄い自信だが、考えてみれば分野ごとの学協会などから選ばれている執行部ほど科学の問題に理解のある人々はいないだろうし、人権や国際交流の研究などにも会費や雑誌購読費などの資金から積極的に投資しているわけだから、国にとっても極めて経済的なわけである)。

 また、すでに述べたとおり、人権に関する議論にかなりの時間が割かれたのも特徴である。特に、人権の委員会が設置されており、4つの項目にわたって綿密な活動をしているという報告や、人権問題についてAAASのトップ・プライオリティとするという決議案が議論され、決議されている様子が興味深かった。活動分野には、科学者に対する国内外の人権侵害や、科学と人権の関係(生命科学とプライバシー、など)が議論されている。また、トップ・プライオリティを置くとする人権侵害については、人名がちゃんと聞き取れなかったので定かではないのだが、ロシアや中国などが例に挙げられており、たぶん方励之などのことが念頭にある模様。

 もちろん、AAASが人権活動に熱心なのは、学問の自由も人権のひとつだという認識が根底にあるのだろう。
 背景には、科学や真理はしばしば時の権力によって迫害され、隠蔽されるという、言うならば「ガリレオ・コンプレックス」が背景にある。
 科学史家の常識としては、ガリレオが、彼が真実を語ったが故に教皇庁に迫害されたというのは、ほとんど神話だといってよいのだが、にも関わらずガリレオの話が繰り返され続けることの背景には、現代社会でも(あるいは現代社会にこそ)こういった対立構造が生きているからだろう。
 富国強兵以来、科学研究が国家の庇護の下で行われてきた日本との大きな違いがここにある。
 アメリカ政界の保守派にはキリスト教原理主義各派の支持を受けている議員が多く、彼らは一般的に科学研究に批判的である(その主戦場が進化論と幹細胞、というわけである)。
 従って、AAASのような団体をつくって、きちんと「人権と科学」をアドボカシーしていかないと、科学研究の自由がどんどん失われていくのではないか、という恐怖感(ガリレオ・コンプレックス!)が共有されているわけである。
 そういう意味では、日本でも安倍政権がもうちょっと続いて、「インテリジェント・デザイン」とか言っている人たちの影響力が無視出来なくなってくれば、日本の科学者たちも少しは…(以下省略)。

 まぁ、そういう(宗教との対抗という)事情もあるのだろうが、「科学をアメリカの文化に」という意気込みを強く感じる。
 つまり、社会の様々なセクターの人の共通言語としての「科学」を確立するという目標が明確に意識されているということでもある。
 それがある程度は成功しているために、例えば孫が生まれると祖父母がナショナル・ジオグラフィック誌の購読権をプレゼントする、というようなことになるのだろう。
 日本の問題というのはここらあたりにもある気がしなくもない。
 もちろん、科学者が「素人が自分の研究のことなど理解出来るわけがない」と思うのは万国共通なのだが、日本ではそれに加えて、科学を同業者の団体に抱え込むという側面が強いと思う。

 例えば、ノンアカデミック・キャリアを選ぼうとした瞬間に、指導教官から「じゃあ博士号はいらないね」と言われたり、そこまで酷くなくても指導がいい加減になるというのはよく聞く話である。
 自分の分野を理解し、場合によっては博士号を持った議員、弁護士、ジャーナリストなどが活躍することが、自分の研究分野にとってどれだけエンパワーメントになるかを考えれば、そういう可能性を自分から封じてしまうのは愚の骨頂というべきだろう。
 このあたりに、「国家の庇護の元、国家に都合の良い研究」をする日本の研究者(研究費の枠組みはあらかじめ国家によって決められているし、科研費審査も基本的にピアによって行われるので、アドボカシー活動は必要ない)と、宗教右派との長い闘いの上に現在の「研究の自由」を勝ち取ったアメリカとの違いが見えると言えば、言い過ぎであろうか?

 逆に見れば、日本ではアドボカシーにいかに積極的になったとしても、せいぜい政府資金が数パーセント変動するだけだ、という事情もある。
 研究の財源として政府資金が大きく、ゲイツ財団のような人道団体がほとんど無い日本では、「科学者」という認証を得られた業界人(それは政府資金に特権的にアクセスできることを示す)の数は少ない方が有利であり、「科学」に参与するアクターの数を抑えようと言う力学が働きがちであると見ることはできよう。
 対して、非営利資金への依存度の高いアメリカの科学業界は常に科学を普及し、新たなタニマチを探す必要にかられている。
 例えば、フォード財団を抜いて一気に全米トップに躍り出たゲイツ財団はグローバルな問題に熱心であり、製薬研究などに積極的に資金を提供しているが、ビル・ゲイツ自身が「飢餓は食糧供給量の問題ではない」と語ったと報じられたことからも解るとおり、食糧増産を目指した遺伝子組換え研究には全体的に冷淡である。
 もし、遺伝子組換え研究者が、ゲイツ財団の支援を受けようとすれば、同財団のポリシーに合致する成果を提供出来るか、ポリシー変更により、より幅広い「人道的活動」が行えると言うことを証明しなければいけないわけである。

 あと、評議会を見た全体の感想として、評議員、特に執行部がAAASの活動の全体を極めてよく把握しており、議論に参加しているということである(まぁ、会長がインドとルワンダに視察に行って、大統領と意見交換をするぐらいちゃんとやっているわけだから、当たり前と言えば当たり前なのかも知れないが…)。
 日本だと、会長職がお飾りだったり、質問のふりをして自説(にもならない思い出話)を延々と述べ立てる年寄りが一定数混じっていたりするものだが、そういうことは一切無かったように思う。
 ただ、学協会の長老が選ばれていることを考えれば、あと何年かはしょうがないのかも知れないが、評議員は白人だらけで、女性の比率も、人種構成よりはだいぶマシだが、会場の男女比を反映していない。

 まぁ、今回の感想としては、諸々の問題はあるにせよ、アメリカという国は非常に根本的な制度設計はきちんとしていて、それは、その部分にお金を惜しまないからなのだなぁ、という印象。

 以下、今回参加しての雑感(初アメリカの感想も含む)。


Boston Commons

・やはり進化論がらみの話が非常に多い。
・参加型の重要性は認識されているようだが、実はアメリカでは今ひとつらしく、議論される事例はだいたいヨーロッパで行われたものだったりする(最初の記事で触れたフェルミ研の例は例外的っぽい)。

・自然科学系の日本人研究者の方のコメント。「脳の話を中心に聞いて回っていたんですが、普通の学会と違って、すべての発表が実績のある先生によるもので、選ばなくて良いのが楽ですね」。確かに。

・「憂慮する科学者同盟」は遺伝子組換え植物の問題を論じているが、組換え品種単体の問題と言うよりは、生産・流通過程でのコンタミネーションを問題にしている側面が強い。まぁ、問題がおこるとすればそこだろう。

・最終日の午後は時間があったのでMITの本屋に行ってみたが、休日だったので本屋も閉まっていた。残念。
・AAASの総会として、なんで月曜日までという日程なのかと思ったが、要するに月曜日が休日だったからだったという。
・しょうがないので、街の本屋(ボーダーズやバーンズ&ノーブルなど)を回ったのだが、見事に社会科学や人文系の本がない。けっこうな面積のフロアの本屋に、カントすら一冊申しわけ程度に置いてあるだけだったりする。これはアマゾンが流行るわけだ。
・自然科学系の啓蒙書はそれなりにある。「自然科学がアメリカの文化」という側面はこういうところにも現れていると言えるか?
・日本では勿論、イギリスの同規模の本屋でそんなことはあり得ないので、やはりアメリカ人は社会科学的な話が嫌いなんだろう。ただし、心理学、宗教学、自己啓発といった本は山のようにある(哲学のコーナーを自己啓発系が浸食している)。
・逆に、食事はイギリスに比べれば悪くないので、どちらに住むかと言われれば、かなり究極の選択っぽい感じがする。アメリカの食い物は不味いと聞かされてきたので、わりと肩すかし(まぁ、細かいところを突っ込めばキリがないし、フランスやインドのような長い宮廷料理の伝統があるような国と比べれば勿論、分は悪いだろうが)。
・シーフードも割と美味しかったのだが、北大の面々には非常に評判が悪かった。…なんか、彼らは比較の対象がハイレベルすぎる気がする(笑。

・全体的に見て、「製品化の上手い日本・欧州と、基礎研究のアメリカ」という対比は共有されているらしい。80年代か!!
・エマージング・カントリーの中では、韓国の科学技術政策に対する評価が高いような気がする。

・論点の傾向が解れば、細かい情報はバカみたいに愚直にドキュメント化されている。ウェブ上でPDFで手に入るものもあるし、購入しなければ行けないものもあるが、必ずしも大金使って何度も行く必要はないかも知れない。

・ちなみに来年はシカゴ、再来年はサン・ディエゴ、その次はワシントン、まで日程が決まっているらしい。
・2月にやるんだから、もう少し暖かいところでできないのか!?(ということで、阪大ブースはサン・ディエゴから参加と言うことで…)
・ちなみに、総会はAAASの事業として、最大の赤字部門らしい。

Museum of Science, Bostonは金かけてるなぁ、という印象。人件費が大変そう。

【今回のまとめ】
・AAASは豊富な資金源(『サイエンス』誌からの収入、会費および様々なグラント)と人材を持っており、特にアメリカの科学技術政策については疑似省庁(Quasi-ministry)的な権力を維持するにいたっている。
・AAASは、科学者全体の人種構成が多様化している現在、客観的に見ればまだまだ白人エスタブリッシュメントの団体であるという非難は可能であろう。
・AAASは一方で、国内外の人権問題を筆頭に、アフリカ、環境と言った社会問題にも熱心に取り組んでいる。
・でも、アメリカだとそのへんをがんばることで資金に直結するという面もあるんだよね。
・日本では、科学者がやらないから人道主義的な資金源がないのか、人道主義的な資金源がないから科学者もやらないのか? ここにもニワトリとタマゴ問題が…。

ちなみに明日、土曜日の早朝には、以下のイベントのため、大阪に戻ります。

第4回柏原東ジュニア・サイエンス・カフェ 「食品リスクを計測する 2」 http://cscd.osaka-u.ac.jp/activity/view/127

 ジュニア・サイエンス・カフェは、高校生が中心となってテーマや質問項目を決め、お茶を飲みお菓子を食べつつ、くつろいだふんいきの中で、しろうとが専門家と科学について話し合う集まりです。
 第4回の今回は、第3回に引き続き、現在、人々の関心の高い「食品の安全」について考えます。今回は特に、食品の安全性を「科学的に」検証するというのはどういうことなのか?、またそのための社会的な仕組みはどうなっているのかなどについて、社会との関係(学問分野としては科学哲学や科学技術政策)の視点から議論していきたいと思います。

会場:大阪府立柏原東高校
   http://www.osaka-c.ed.jp/kashiwarahigashi/map/map.htm
日程: 2008年02月23日(土) 13:30〜15:30 (13:00会場)
専門家: 神里達博(東京大学 特任准教授)
司会進行: 柏原東高校理科クラブ
主催:大阪府立柏原東高校(教師コーディネーター 平井俊男)
   大阪大学コミュニケーションデザイン・センター

■専門家プロフィール
 1967年生まれ、神奈川県出身。東京大学工学部卒、同大学院総合文化研究科・博士課程単位取得。科学技術庁(行政官)、三菱化学生命科学研究所、社会技術研究開発センターを経て、現職。専門は、科学史・科学論。朝日新聞論壇時評・合評委員。著書に『食品リスク−BSEとモダニティ』弘文堂,2005.など。


■問い合わせ窓口
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 春日匠(かすが しょう)
  tel/ 06-6816-9494 fax/ 06-6875-9800
  e-mail/ stc[at]cscd.osaka-u.ac.jp([at]を@に変えてください)

■申し込み方法
 中学生以上なら、どなたでも参加いただけ、参加費は中学生と高校生は無料です。
 今回から、大学生以上は茶菓代として300円かかります。御協力、お願いします。
 FAXないしメールに「第1回柏原東高校ジュニア・サイエンス・カフェ参加希望」と明記の上、お名前と連絡先(メールアドレス、電話番号ないしFAX番号)を明記して上記連絡先までお申し込みください(お電話でのお申し込みはお受けできません)。
 日程等に変更のない場合はお申し込みにお返事はいたしませんので、当日会場までお越しください。

※本企画は、(独)科学技術振興機構(JST)「研究者情報発信活動推進モデル事業」に採択された受託研究の一環として行っています。

 PDF版チラシは
  http://cscd-stc.weblogs.jp/blog/files/CSCD080223.pdf
  からダウンロードして頂けます。


 昨日、成田から帰ってきたばかりでバカみたいですが、明日のイベントのため、上京します(まぁ、成田は東京じゃないってことで…)。
 詳細は以下のとおり。

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CSCDpresents「知デリ」in アップルストア
〜アート&テクノロジー:知術研究プロジェクト〜
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ロボットとケダモノとニンゲン 〜ホントに区別がわからない〜

 科学技術・哲学・アートなど多分野の専門家で構成される当センター(CSCD)では、“コミュニケーションデザイン”という未知なる主題の実践的研究のために、「知術」というテーマを掲げ、その定義・意味や有用性について考察する「知術研究プロジェクト」を2006年度に始動しました。

 このプロジェクトでは、さまざまな領域で活躍される方々と対話の機会を設け、各々の専門分野における「知識」や「技術」を参加者の方々と横断・交換することを通して、新しい発想の創出やアイデアの実現に繋げることを目指しています。

 大学と社会が連携して、「知術」を人々に還元(デリバリー)するトークプログラム、通称「知デリ」です。

 今回のタイトルは、、、。

 ロボットとケダモノとニンゲン〜ホントに区別がわからない〜

 世界の天才100人に挙げられる(※)アンドロイド・ロボット研究の第一人者と、現代美術家・ペットショップオーナー・演出家と多岐に渡る活動で異彩を放つアーティストが、他者との関わりについて語らいます。

 この試みにご注目下さい。

 (※)Synectics社(英)の調査「世界の100人の生きている天才のランキング」


■東京開催
日 時:2008年2月22日(金)18:00-20:00

ゲスト:飴屋 法水(演出家・美術家)

    石黒浩(知能ロボット学者/大阪大学大学院教授)

ホスト:平田オリザ(劇作家・大阪大学CSCD教授)

定 員:150名(入場無料/当日先着順/立見含む)

会 場:アップルストア銀座 3Fシアター

  東京都中央区銀座3-5-12サヱグサビル本館 TEL:03-5159-8200
  東京メトロ「銀座」「銀座一丁目」JR「有楽町」
    のいずれかを下車、中央通り松屋向かい
  http://www.apple.com/jp/retail/ginza/map/

■ ゲスト プロフィール ■
飴屋 法水/あめや のりみず(演出家・美術家)
  1961年生まれ。78年、唐十郎主催の「状況劇場」に参加。84年「東京グランギニョル」を結成し、カルト的な人気を博す。87年「M.M.M」を立ち上げ、メカニックな装置と肉体の融合に よ る「スキン/SKIN」シリーズでサイバーパンク的な舞台表現を固 める。90年代は舞台から美術活動に移行。コラボレーション・ユ ニット「TECHNOCRAT」の一員として血液、精子、菌などを用いた 作品を制作。95年、ヴェネツィア・ビエンナーレに「パブリック ザーメン」で参加するが、その後美術活動を停止。同年、ペットショッ プ「動物堂」を開設。2005年「バ  ング  ン ト」展で美術活動を再開。昨年、平田オリザ作「転校生」の演出を手がけ、本格的な表現活動に期待が集まる。著書に「キミは珍獣(ケダモノ)と 暮らせるか?」(文春文庫) などがある。

石黒浩/いしぐろひろし(知能ロボット学者/大阪大学大学院教授)
  1963年生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了。工学博士。2003年より同大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻 知能ロボット学研究室教授。 ATR知能ロボティクス研究所客員室長。社会で活動できるロボットの実現を目指し、知的システムの基礎的な研究を行う。これまでにヒューマノイドやアンドロイド、自身のコピーロボットであるジェミノイドなど多数のロボットを開発。また、ロボカップ世界大会にTeamOSAKAとして参戦し、4度の優勝を果たす。主な著書に「アンドロイドサイエンス ~人間を知るためのロボット研究~」(毎日コミュニケーションズ)。共著に『コミュニケ−ションロボット』(オ−ム社)、『知能の謎』(講談社)、「爆笑問題のニッポンの教養ーロボットに人間を感じるとき」(講談社)などがある。

■ ホスト プロフィール ■
平田オリザ (劇作家・大阪大学CSCD教授)
  劇作家、演出家、劇団「青年団」主宰、こまばアゴラ劇場支配人。2000年、桜美林大学文学部助教授を経て、2006年よりCSCD教授。著書に「演劇入門」講談社現代新書、「芸術立国論」集英社新書、「対話のレッスン」小学館など多数。「東京ノート」で岸田國士戯曲賞、「月の岬」の演出で読売演劇大賞最優秀作品賞、「その河をこえて、五月」で朝日舞台芸術賞グランプリ等受賞歴多数。

主催:大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(CSCD)
企画:CSCDワーキングメンバー
  (小林傳司 木ノ下智恵子 久保田テツ 春日匠 仲谷美江)
共催:アップルストア銀座
協力:NPO recip [地域文化に関する情報とプロジェクト]

問い合わせ
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(CSCD)
大阪府吹田市千里万博公園1-1
TEL:06-6816-9494 FAX:06-6875-9800
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/


※本イベントは平成19年度JST地域科学技術理解増進活動推進事業「調査研究・モデル開発」の補助による活動です。
※PDF版ちらしは以下のURLからダウンロードいただけます。
 http://cscd-stc.weblogs.jp/blog/files/CSCD080222.pdf

 AAASから帰国しました。
 帰国してみると、日本もだいぶ暖かくなっていたのでビックリ(ボストンの気候に慣れただけか?)。

 4日目以降の報告は追ってアップします。
 (忘れないうちに書かないと…)

AAAS観戦記 その1(1、2日目)
AAAS観戦記 その2(3日目)

▼AAAS関連記事リスト
AAAS年会報告 その1(1、2日目)
AAAS年会報告 その2(3日目)
AAAS年会報告 その3(4日目。評議会々合)

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 ちょうど4日目が終了したところですが、とりあえず3日目の報告。

AAAS Annual Meeting Boston 2008

 朝一番に"Advocacy in Science: Oppotunities, Limits, Responsibilities, and Risks"というシンポを見る。様々なジャンル(自然科学だけではなく、心理学や環境史など)の専門家団体がどのような問題について、どういうふうに議論しているかの実践報告。
 ブリティッシュ・コロンビアの林業について、同地域の環境史団体が提言を行った、という話などが興味深い。

 終わりまで見ずに、"Anternative Careers in Science, Technology, Engineering, and Math"に移動。こちらは学生風の参加者で会場満員。立ち見も出ている。
 要するに、広頃からやりたいことに幅を持たせて、ロールモデルになるメンターを捜して、積極的にコミュニケーションしろ、という話。まぁ、アメリカだからといって特別な秘密があるわけではないが、ふつうに学生が参加するところで、こういう議論が定期的に行われているということが重要なんだと思う。
 ちなみに講師はドクターを取った跡、大学のアドミニストレーションで学生支援とかを中心に働いているという黒人の女性。
 肝心の「オルタナティヴ・キャリア」の事例としては、企業に勤めるほかに、ライター、ロビイストやNGOといったところが強調されるのが特徴。日本ではそのあたりは全然「オルタナティヴ」にならないからなぁ。

 で、AAASアワードの授賞式を経て、午後はそのロビイストになるワークショップにも参加してみた。
 その前に"Research and Technology at the Crossroads of the Debate on Biopiracy"に。
 研究のさいにこういった問題をどう避けるか、というノウハウが中心の話であるにもかかわらず、他のシンポジウムに比べると明らかに閑古鳥。
 こういう問題をきちんと扱うシンポジウムがあるというだけでも凄いと言えないこともないが、アメリカでも研究者全般はそういうことに関心がないのだ、ということも確からしい。
 バイオ工業会の人が概況を説明した後、弁護士が個別の問題について議論。
 「私は実務家だから政治的な問題と法的な問題は分けて、前者についての価値判断はいたしません」と最初に断りながらも、伝統文化が勝手に使われることそのものが「搾取」であり、かつ地域文化の担い手と第三世界政府の見解は必ずしも一致しないという点や、先進国がDVDの複製を「パイラシー」と非難することの鏡像としてバイオパイラシーがあるのだという議論についてもきちんと解説していて、非常にフェアであると感じる。
 こういうこと、日本政府や業界団体が絡んだシンポジウムでは、まず議論されないよね。

 で、ロビイスト講座である。
 たぶん将来大統領もねらえそうな貫禄(笑)の若い白人男性がワシントンで科学者がロビイングするというのはどういうことか、という概況を説明した後、別の白人男性が実践ワークショップ(二人とも実際、自然科学系のロビイスト)。
 以下、簡単にレポート(記憶に頼っているので、数字や話の順番などに間違いがあるかと思いますが、雰囲気を読み取って頂ければ幸いです)。

「今日、覚えて貰う数字が2つあります。最初は11万。この数字がなんだか解りますか?」
「選挙区の有権者の数?」
「有権者の数はもう少し多くて、XX万ぐらいですね。でもいい発想です。これは、下院議員が当選するのに必要な得票数です。だから、貴方がロビイストだとしても、『あなたの意見』は11万分の1の価値しか持ちません。一方で、11万人が共感する意見には、どんな議員でも耳を傾けざるを得ません。これは民主制の宿命です。
「では、当選するために、議員はどんなことをしなければいけないのでしょう? 例えば次のような質問があります。あなた方ならなんと答えますか? 問い1、好きな映画はなんですか? 問い2、貴方のヒーローは? 問い3、貴方がリラックスする過ごし方はなんですか? では、そこの貴方、好きな映画は?」(と、3つの問いを適当に参加者に聞いて回る。参加者、それぞれに答える)
「ありがとうございます。ここにいる皆さんは全員落選です。では、カリフォルニアから来た人は手を挙げてください」(数人が手を挙げる)
「では、その皆さんはアーノルド・シュワルツェネッガーがこの問いにどう答えているか知っていますか?」(誰も答えられない)
「そういうことにも注意を払うことは大事ですよ。皆さんはシュワルツェネッガーが誰かは知っていますね? そう、州知事です。他には?」(「ボディビルダー、とか、ケネディ家のメンバーと結婚している、とか返事)
「うーん、ロビイストになるさいに必要な情報はあまり出てきませんね(笑)。みなさん、もっと頑張ってください。さて、彼の返事は、知事選挙戦中のX月X日にラジオ放送されたインタビューでは、次のようなものでした。好きな映画、『ライオン・キング』。ヒーローは、クリント・イーストウッド。リラックスすること、ワイフとショッピング。さぁ、ここから彼がどんな有権者をターゲットにしているか解りますね。『ライオン・キング』を好きなのは誰?」(「子どもたち?」)
「そう、子どもたち。だから若いお母さんは必ず『ライオン・キング』を見ています。たぶんDVDを持っていて、今まで何回も再生している。そういう人たちに、自分たちと同じだと思わせる。良かれ悪しかれ、選挙で勝つと言うことはそういうことです」
(中略)
「次の数字は7です。これは何?」(誰も答えられない)
「こっちは少し難しいですね。平均的な下院議員のオフィスには1日あたり250件の電話がかかってきます。この電話対応のために、平均4人のスタッフが雇われています。ということは、貴方が議員の事務所に電話をかけたとき、一人当たりの持ち時間は7分強ということです。7分で貴方の提案を過不足無く伝えなければ行けない。できますか?」
「あるいは、メディアに問題を取り上げて貰うのもロビイストの仕事です。夜のニュースで読み上げられる文字の量はだいたいこんなところです(と、A4で2枚いっぱいに文字が印字された紙を見せる)。ここから天気予報が消えます(と、紙の末端を破って、参加者の一人に手渡す)。生活情報の時間もありますね(とさらに破って、別の参加者に渡す)。のこりの部分から3つ4つのニュースが伝えられるわけです(と、また紙を破る)。そうすると、トップニュースでこれくらい(と、5〜6行になった紙を見せる)。特集でもこれくらいでしょうか(と、もう少し多めに残った紙を見せる)。これがIn-Depth!!(会場、笑い)。科学者はだいたい、科学ニュースが正確でないと嘆きますが、5〜6行で貴方の研究をちゃんと要約出来るか、一度やってみてください。でも、それができなければ、決してメディアは正確に取り上げてくれません。」
「さて、下院の任期(2年)のあいだに、何本の法案が提出されるか知っていますか? 1,000? もうちょっと多い。7,000です。このうち、幾つの法案に大統領が署名(成立)するでしょうか? 400です。しかも、その大半は大して意味のない法案です。例えば先週通過した法案を上げてみましょう。XX博士の業績を顕彰する法案(そのほか幾つか上げられるが、忘れました)。XX博士が誰か知っている人?(会場、笑い)。誰も知らないみたいですね。」
「待って、待って。それは提出された7,000の一つというわけではなくて…」
「そう。通過した400の一つです。議員がやっている仕事の大半はこんなもんです。国民の生活に直結するような法案は、このなかで30にもすぎないでしょう。皆さんの仕事は、この7,000の法律候補のひとつを、30のなかに滑り込ませることです。少年野球の選手をメジャー・リーガーにするのとどっちが簡単か、というのは興味深い問題です。それがロビイストの仕事だと思ってください」

 …実践的だなぁ、おい(笑。

AAAS Annual Meeting Boston 2008

 で、そこも途中で抜けて、この日のメイン・イベント「Clinton vs Obma」へ。
 それなりに大きな会場が用意されていたが、満員で、司会者の「科学者は政治に関心がないという話はどうも間違いみたいですねぇ」というジョークからスタート。
 ヒラリー・クリントン側の代理人はビル・クリントンの政策顧問も務めていたという貫禄のあるおっさん。それに対してオバマ側はシカゴで移民や貧困層に対する技術教育のNGO活動をしていたという若い男性(両方白人)。ある意味、両陣営の状況を象徴している。
 オバマ氏は科学に理解があるのか、という質問に対して、代理人は自分のNGOを初めて熱心に支援してくれた上院議員がオバマであったことなどを説明していた。
 ただ、話の内容は実はあまり面白くなくて、よく考えるとこの二候補に科学技術に関する政策上の相違点はあまりないのである。
 とはいえ、司会が「どうもお二人ともブッシュ政権を仮想敵にしているようだが、事実上共和党側の候補に決まっているマケイン候補は環境保護にも熱心だし、幹細胞研究も推進派で、そういった相手と比較するとなると、今日おっしゃっていることは大きな争点ではないのではないか?」と突っ込まれたり、それなりに面白い展開はなくはなかった。
 また、「科学教育に力を入れるか?」という質問の答えが最も差異を明らかにした点であった。
 クリントン側は、イノベーションが経済のキーであることを延べ、実際の製品化などで日本や欧州に負けているという点や、中国などのエマージング・カントリーの研究能力が向上しているという認識があるとしたうえで、それでもアメリカが世界随一の研究開発能力を維持しており、これをさらに向上させていくことはクリントン政権の最重要課題になると述べた。
 それに対して、オバマ側は、昨今の世界情勢を考えれば、科学技術の問題はグローバルであり、アフリカ系の父を持ち、インドネシアで暮らすと言った経験を持つオバマこそこのグローバル性を理解している候補であると延べ、貧困層、マイノリティ、移民といった人々に対する教育こそが今後の世界を支えるのに最も重要な問題だ、という見解を述べた。
 クリントン側の見解には盛大な拍手が起きたが、オバマ側の議論には、ややためらいがちな拍手に留まったのが印象的であった。

 ということで、環境やアフリカといった巨視的な問題から、直近の選挙まで、AAASではあらゆる政治的課題が網羅されているという印象である。
 ただ、日本人として気になるのは、BSE(狂牛病)の話題はプログラム上にいっさいないことである。
 ここまですっきりしていると、ある種の作為を疑いたくなるが、たぶん本当に関心がないのであろう(厳密に言えば、関心を示すことに利益を感じる団体がないのであろう。このあたりが多元的ガバナンスの限界、という感じもする)。

 4日目もまた面白かったのだが、それは追って…。

AAAS Annual Meeting Boston 2008

 AAASの会場でも両陣営から代表が来てディスカッションが行われるようです。

 日本だと、「共和党から呼ばないのは公平でない」という文句が来そうですが、どうなんでしょうね?

▼AAAS関連記事リスト
AAAS年会報告 その1(1、2日目)
AAAS年会報告 その2(3日目)
AAAS年会報告 その3(4日目。評議会々合)

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AAAS Annual Meeting Boston 2008

 AAAS年会に参加。
 AAASは科学者による科学の振興のためのNGOで、日本では"Science"誌の発行元として有名。
 年会では、今後の科学技術の情勢について、さまざまに議論される。
 また、子どもたちによる発表や家族づれのためのイベントもあるし、院生やポスドクのためのキャリア・セミナーなども開かれる。
 クローズドのイベントとして、今後政財界に対してどのような働きかけを行うべきかといったトップレベルの会合も行われている。

 初日は、初めて参加する人向けのガイダンス(たいしたことは言わなかった)などに参加したあと、会長講演に。
 MIT(マサチューセッツ工科大)学長とボストンの科学博物館館長の講演の後、会長であるデヴィッド・バルティモア氏(カリフォルニア工科大教授 生物学)の講演。
 去年は科学の未来を考えると言うことで、インドとルワンダに出かけたらしい。
 彼によれば、現在人類の抱えている課題は二つである。すなわち、先進国が生活水準を落とさずに持続的な社会を創っていけるかと、第三世界があまり環境に対して不可の大きくない方法で生活水準を上げられるか、ということである。
 後者の問題を考えたとき、インドのような急速な成長も問題があるが、ルワンダのような状況が見落とされるのも困る、ということになる。
 ということで、ルワンダは研究開発にGDPの3パーセントを投入することを表明しており、これはアメリカより多く、韓国並みである、ということを述べた後に、ルワンダのカガメ大統領が登壇した。

 こうした流れからも解るとおり、AAAS全体として(なにしろテーマが"Science and Technology from a Global Perspective"である)環境や貧困に焦点を当てたシンポジウムなどが非常に多い。
 特に「持続的な」とか、「アフリカにおける」とついていることが多いし、マイクロファイナンスなどの議論も積極的に行われている。
 内容にすべて同意出来るわけではないし、もちろん大多数の科学者はそんなこと考えているわけではないのは日本と大して変わらないと思うが、「科学者の会合」でこの規模の議論が維持出来るというのが凄いところだと思う。
 あと、「公衆衛生」という議論が普通に行われるのが日本との違い(日本はもっと疫学的な議論を導入すべきだと思う)。
 それでも敢えて突っ込みを入れれば、視点が巨視的で、開発の現場からすれば見落とされている問題は幾つもある、ということになると思う。

 二日目の午前中に見たシンポジウムは"Upstream Engagement"(上流での関与)で、政策的決定がなされてしまう前に市民が議論に関与することの重要性が強調されていた(このあたりの議論の状況を知ることが、今回の最大の目的なわけですが…)。
 議論されたのはフェルミ国立大型加速器研究で計画されているILCという新型の加速器の問題、乳ガンに関する患者Advocateの問題、および(おそらく今一番ホットな)ナノテクのELSI(倫理的、法的、社会的側面)に関する問題の三つ。
 特に、量子力学に関しては、90年代初頭にSSC(超伝導超大型粒子加速器)建設が当時のアメリカの経済的な苦境などもあって中止に追い込まれたことへの反省によって、科学者たちが極めて熱心にアップストリーム・エンゲージメントに取り組んでいる様子がうかがわれた。
 あと個人的に印象に残ったのは、乳ガンに関する関与の人種的な違いで、白人は「専門家」も「Advocate」もたくさんおり、アフリカ系アメリカ人は人種構成を考えると白人以上にAdvocateは多いが専門家がほとんどいなく、アジア系住民は専門家はそれなりにいるが、Advocateになる人がまったくいない、ということらしい。
 コミュニティへの関与が少ないというのは、日本だけでなく、アジア全般の問題なのだろうか?

 その他、マイクロファイナンスに関するシンポジウムや、なぜ科学コミュニケーション教育が必要か、といったシンポジウムにも出席。

 各大学や研究機関が出しているブースに関しては、日本でもあり得るものだと思うが、欧州委員会から憂慮する科学者同盟まで、パンフレットだけでなく、ちゃんと値段を付けて売っていそうな本を配っていて凄い。
 特に、全米科学アカデミーが環境問題から宇宙開発から科学政策から、物量作戦で凄かった。
 諸事、お金があるんだなぁ、というのが印象。

 ただいま成田空港。
 一週間ほどボストンに行ってきます。

 先月、長年住んだ京都市左京区から大阪府茨木市に引っ越しました。
 職場にも近く、京都にも出やすいという場所です。
 ちなみに、政令指定都市以外に住んだのは生まれてはじめて。

 引越直前に橋下新知事が誕生してOTL。
 (しかも、京都市長選には直前だし。Give me 選挙権!)

 部屋は、「広くて安いところ」を前提にしたので、築40年の11階建て(分譲を賃貸している)。
 よく「家賃は給料の三分の一」といいますが、不安定雇用でそんなことをするのはリスクが大きすぎる(特に、私の場合は奨学金もかさんでいるし、社会運動がらみで上京するときに自腹だったりと、なにかと出費が多いので…)ので、「この値段でこの広さがあってよかった」という感じです。
 ただ、築40年なので、なにかと問題もあったりします。

 そのあたりをメモ。

▼凄いと思ったところ。
・据え付けのものやシンクの金属などは40年たってもしっかりしている。元々、ものが良いのだろう(当時、分譲マンションを買おうと思う層というのは、おそらく、かなりの年収だよねぇ)。


▼もともとちょっと不安なところ
・築年を考えるとアスベストが使われている可能性も…。露出面には見つからないので(特に白石綿であれば)、気にすることはないのかも知れないが、調査資料がないのが辛いところ。

・同様に、耐震設計についても資料無し。まぁ、阪神大震災を生き延びているし…って、あまり理由にならない。ちなみに、このあたりは最近は開示義務があるらしい(開示義務があっても調査義務がないと意味がないのだが…)。

・けっこうあちこち汚れている。
  ※まぁ、この点はピカピカより気を遣わないでいいぶんありがたいという部分もある。

・エレベーターがスキップ(特定の階にしか泊まらない)
  ※これは、ボクはどうでもいいのですが、お歳の方はエレベーター階以外に住んでしまうと辛いと思う(非エレベーター階のほうが、間取りは若干広いのだが…)。
   作られたのが高度経済成長期なのですが、当時の人は老後とか、どうイメージしてたんでしょうね?


▼変なところ
・水回りで、そこらじゅうで水漏れ
  ※これについては、管理している不動産屋にちゃんとオーバーホールをしておく責任があると思う。一回や二回見ただけでは気づきにくいし…。

・風呂桶が固定されていなくて、ぐらぐら揺れる。
  ※これは一番拙いでしょ、と思った。ずれて配管が外れたら大事だし、入浴中に風呂桶がひっくり返ったら(まぁ、それは無いか…)目も当てられない。中を見たときに気づくべきだという議論もあろうが、そんなところまでさすがに気がつかないからなぁ…。これは即、直して貰いました。

・廊下の給湯器からも水漏れ
  ※大阪ガスに確認してもらったところ、弁の劣化なので、「ある程度はしょうがない」というお返事。気温が氷点下になったときに凍り付いて配管を壊さないように少し流れる仕様になっているらしい。これが、設置から8年ぐらいたって、弁が劣化し始めると、流れ始めてしまう温度も上昇していく(通常は3度ぐらいで水が流れ始めるのだが、これが5〜6度に上昇しているらしい)。「そもそも大阪の気候では必要ないもののような気もしますので、とっちゃってもいいのかもしれませんが、付けた担当者さんになんか考えがあったのかもしれません、取って不具合がないとは言い切れません」とは大阪ガスから派遣された人のコメント。多少不安は残るが、「ガス給湯器の寿命としては10年ちょっとを見て頂きたいので、まぁ、様子を見ていただくのがよいかと…」という結論。


▼その他、細かいことを言えば面倒なところ。
・換気扇が台所、トイレ、お風呂共通の一個である(風呂だけ換気扇を回す、といったことができない。これはビックリしたw)

・給湯器も共通スイッチで、しかもスイッチは風呂場にある(台所のお湯を出すのに、いちいち風呂場まで行かないといけない。そこまで広い家でもないので、いいんですけど…)

・換気扇カバー取り付け部分が無くなっている。

・洗濯槽が小さくて全自動がおけない(二層式ならおける)。ちなみに、このタイプは形状が特殊で、排水ホースも最近のものは対応していない。こういうことは不動産屋がちゃんとスペック表に書いておいても言いと思うんだけど…。家電なんかは消費電力まで詳しく表示するし、食品も産地やアレルゲンになる原材料の有無まで詳しく表示時代にあって、やはり不動産業というのはちょっと特殊な業種なのだなと思わなくもない。

・風呂桶の蓋がなくなっている

・フローリングといってもビニールのニセ木材(クッションフロアっていうんですかね?)なのだが、すぐへこむ。リノリウムでも長く置いておけばへこみますが、こちらはさほど重くないテーブルを半日おいておいただけでへこみます。ただ、多少なら戻るみたい。

・強いて言えば風呂桶が旧式ででかい。あと「追い炊き」すると水位が目に見えて上がっていく。追い炊きと言うよりは「高温のお湯を足す」という方式らしい。燃焼効率もさほど良くないので「お湯を入れて1時間後に家族の方が入る、というときは追い炊きで良いんですけど、翌日常温に戻ってしまった水をお湯に戻すばあいは、炊き直して頂いたほうが、水道代を考えても安いかも知れません。まあ、どっちにしても一回当たり数円の差だと思いますが…」とのこと。一人暮らしだったら追い炊き意味無いじゃん…。

 みなさんも引越すときはこういうところ(笑)にご注意を…。

 まぁ、とりあえず何年住むことになるかわからないのですが、地震はないといいなぁ、と。
 それと、この値段でこの面積の部屋が借りられることは(ド田舎大学に赴任することにならないかぎり)ないので、調子に乗って本を増やしすぎないことが目標です。

 阪大CSCDのサイエンスショップ計画も、RISTEXからの資金も得まして、徐々に動いています。
 そこで、来年度から一緒に活動してくれる人を募集中です。



サイエンスショップ研究員(「市民と専門家の熟議と協働のための手法とインタフェイス組織の開発」研究員)公募
http://cscd.osaka-u.ac.jp/activity/view/125

 平成19年10月より始まった下記の研究開発プロジェクトの推進のために、研究員を募集します。科学技術と社会、大学と地域を結びつける仕事に熱意を持って取り組んでくださる方を求めます。

▼研究開発プロジェクトの概要
・研究開発プロジェクト名
  「市民と専門家の熟議と協働のための手法とインタフェイス組織の開発」
  ((独)科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 研究開発プログラム「科学技術と社会の相互作用」平成19年度採択事業)

・研究代表者
  平川秀幸(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)

・研究実施期間
  平成19年10月1日 〜 平成24年3月31日

・研究開発目標
  環境問題やエネルギー問題、食品安全問題など、科学技術が関連する現代社会の問題に適切に対処し、解決していくためには、専門家や政策決定者、企業、市民活動団体や個々の市民など、多様な主体が交わる「公共コミュニケーション」が不可欠である。これを促進するために本プロジェクトでは、公共コミュニケーションの支援を市民と共同で行う「インタフェイス組織」を大学に設立し、他大学にも移転可能な事業モデルとして提示することを目的とする。このため、特に科学技術の専門家と市民の関係に焦点をあてて、これまでの我が国の公共コミュニケーションに不足している「熟議(熟慮と討論: deliberation)」と「協働(collaboration)」のための手法を新たに開発し、既存の手法と合わせて手法ライブラリと手法の運用マニュアルを整備する。同時に、組織の運営基盤の研究開発を行い、総合的な公共コミュニケーション支援を行う体制を構築する。


▼募集要項
・仕事の内容
  市民と研究者・学生のあいだを仲介し、適切な研究プログラムの立案を行う(サイエンスショップ職員業務)。および、それらの業務について、科学技術コミュニケーションという立場から分析を行い、日本においてサイエンスショップを確立することに資する研究を行う。

・勤務の形態
  週24時間以上の非常勤

・任期
  1年任期(更新あり)

・職位
  特任研究員

・募集人数
  1名

・応募資格
  1) 本研究開発プロジェクトの趣旨に賛同し、社会と大学のコミュニケーションを促進することに尽力して頂ける方
  2) 次の内、いずれかの条件を満たすことが望ましい。
   * 修士号以上の学位を保持し、科学技術コミュニケーション研究に携わる意志のある方
   * 企業の社会貢献部門やNPOなどで2年以上の実務経験を有し、大学の社会貢献などに関心のある方。

・募集期間
  2008年2月7日 〜 2008年2月20日(応募書類は、2月20日必着でお送りください。)

・着任時期
  平成20年4月1日以降のなるべく早い時期に着任出来ること

・応募書類
  履歴書(市販のもので結構です)
  業績リスト(あれば)
  代表的な論文、著作等(最大3編)のコピー各1部(修論・博論は不可)
  志望動機を述べたエッセイ(2000字以上)

・応募書類の送付先
  565-0826
    大阪府 吹田市千里万博公園1-1
    大阪大学コミュニケーションデザイン・センター
    平川秀幸
    電話:06-6816-9494
    (送付の封筒に「サイエンスショップ研究員応募書類」と明記すること)

※お問い合わせは下記のフォームからお願いします。
 http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/inquiry/

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