ダライ・ラマのインタビュー(NBC)に思う
チベットというと、ヴァンダナ・シヴァの農場に多くのチベット人が出入りしていたのを思い出す。
上記の写真は、チベット亡命政権の前農業大臣(だったと思います。なにぶん昔の話なので…)とシヴァがモンサントへの抗議デモの先頭に立っている、という情景である。
インド生活の長い彼らは、すでにインドでの農耕生活を営んでおり、先進国の種苗会社の進出はチベット亡命政権にとっても非常に重要な問題となっているのである。
とはいえ、かれらがチベットへの帰還を諦めているわけではなく、ことあるごとにデモンストレーションは行われていた。
下の写真は、ムンバイの世界社会フォーラムのおりのものである。
社会フォーラムには、他の民族運動も当然のことながら参加している。
下の写真は、PLOによるパフォーマンスである。
パレスティナやアイルランドといった他の民族運動に比して、チベット亡命政権の活動の非暴力ぶりは際だっている。
それらの運動が、テロによって憎しみの連鎖を産むことによって収拾がつかなくなってしまったというのはよく指摘されるところである。
しかし、非暴力に徹して活動を行っても問題は解決しない、という事例を見せられると、テロを果たして論理的(倫理的には兎も角)に非難出来るのか、というもことに思い至らざるを得ない。
下は、NBCニュースのポッドキャストでのダライ・ラマへのインタビューの映像。
非常に抑制のきいた、バランスが取れすぎるほど取れているメッセージである。
自分が中国の民衆に敵対するものではなく、中国がオリンピックを開く権利は認めるべきだと述べ、暴力的な抗議行動は諫める一方で、抗議そのものには言論の自由が認められるべきである以上「黙れとは言えない」と述べている。
また、貴方がテロリストだという批判もあるが、という質問については、貴方が判断して欲しいと述べた上で、いずれにしても「人々が自分をなんと呼ぼうと、依然として自分は一人の人間であり、単に一人の仏教僧です。それが全てで、なんの問題もありません」と述べている。
最後に、暴力はいかなる場合にも正当化されないか、という質問への返事がこれ。
「正当化されません。スーパーパワーであるアメリカ合衆国ですらも
「もちろん、あまりに多くの暴力を使っていますが、実際それらは成功していません。
「イラクやアフガニスタンで、それらは成功していないのです」
NBC Nightly News (video) - 04-11-2008 Dalai Lama Interview (m4vビデオ)
このまともさが通用しないというのは非常に痛い。
ダライ・ラマの穏健路線に不満を募らせているグループも少なくないと報じられるし、中国としてもダライ・ラマをもう少し取り込んでおいたほうが無難だと思うんですけどねぇ…。
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