第10回PCST(Public Communication of Science and Technology)国際会議のお知らせ

The 9th International Conference on Public Communication of Science and Technology (PCST-9) (Seoul, Korea)

 科学コミュニケーションの国際会議であるPCST(Public Communication of Science and Technology)、10回目となる2008年のPCST-10はエーレスンドで開かれる(ちなみに昨年は韓国のソウルー写真参照ーであった)。
 この会議の最初のサーキュラーが回ってきたので、お知らせ。
 発表の締め切りは10月31日だそうです(まぁ、こういうのは大体延長されるんですが…)。

 http://www.vr.se/pcst

 メインテーマは"Bridges to the future"で、サブテーマとして、「科学と社会を巡る新しい課題」「科学者と公衆を参加させ、エンパワーすること」「影響と成果の評価(アセスメント)」「メディア、手法、対話の場所(meeting points)の開発」が挙げられている。

 ちなみに、「エーレスンドってどこだ?」と思った方はWikipediaの項目を参照のこと。
 つまり、スウェーデンとデンマークの国境になっている海峡のことである。
 もちろん海の上で会議が行われるわけではなく、実際の会場にはコペンハーゲン(デンマーク)とマルメ、ルンド(両方ともスウェーデン)になる模様。

 主要な会議はマルメ大学で行われ、懇親会はルンド大学で行われる。
 二日目はマルメ大学で始まり、ランチタイムにコペンハーゲンへの移動手段が提供され、コペンハーゲン会場で「すべての参加者が積極的に参加することが期待されている、会議の実験的な部分」(って、なんじゃ?)が行われるらしい。

 なんでそこまでして両国開催にこだわるのかというと、前もちらっと書いたことがあるのだが、たぶんエーレスンドが、ある「科学技術コミュニケーション」のホットスポットであるからであろう。
 デンマークの首都であるコペンハーゲンからエーレスンド海峡を挟んでわずか20キロほど(地図参照。緑の矢印がバルセベック。海峡の対岸がコペンハーゲンである)のバルセベックに、スウェーデンが原子力発電所を建設(一号炉が1975年に稼働、1999年に廃炉。二号路は1977年に稼働、2005年に廃炉)したのである。
 もともとヨーロッパ域内でも特に環境問題に熱心なことで知られるデンマーク国民は当然の事ながらこれに激怒し、二国間の関係は冷え込むことになる。
 国家レベル、地域レベルでは民主的な手続きに従っているとは言え、わずか20キロ先の他国の住民の意見に配慮しなくていいのか?、という、いわば逆NIMBY問題を提起することになった因縁の地である。
 来年の会議では、そのあたりの話も聞けるのではないかと思われる。

 ちなみにスウェーデンでは1980年の国民投票で脱原発は既定路線となったのであるが、長く政権与党の地位に留まっていた社会民主党(鉄鋼労組など重工業関係の労働者が支持母体、なこともあって原発推進議員が多い)などは原発の廃止に反対であり、左党(旧共産党。原発反対)、中央党(農民の支持を受ける中道政党、なので原発反対)、緑の党(当然ながら原発反対)などの圧力で徐々に廃止が進んできたという経緯がある。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第10回PCST(Public Communication of Science and Technology)国際会議のお知らせ

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://talktank.net/mtype/mt-tb.cgi/272

コメントする

このブログ記事について

このページは、かすががJuly 13, 2007 10:10 PMに書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「いよいよ参議院選挙公示ですが…」です。

次のブログ記事は「上京、断念」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.27-ja