STS (Science, Technology and Society)の最近のブログ記事
サイエンスアゴラにてNPO法人サイエンス・コミュニケーション主催のシンポジウム「日本の科学技術コミュニケーションはいかにあるべきか?:第四期科学技術基本計画に向けた提言」を実施しまた。
6〜70人の参加者が集まったことにまずびっくり。というのも、去年似たようなことをアゴラでやったときは、数人の参加者だったのです。
去年と今年でなにが違うのか、関係者全員悩んでいます。
シンポジウムの進め方は、NPO代表の榎木さんのほうから科学技術基本法について説明をしたあと、(仕込みも含めて)会場から実際に問題を語って貰うという方式を採用しました。
結果的には、文系理系の研究者、マスメディア関係者、官僚、NPO関係者、科学館職員など、多彩な方からの発言をいただけたこともよかったと思います。
出された意見を適当に引いてみます(私個人のメモをもとにした私的なメモです。間違えやニュアンスの違いは当然あるものとしてお読みください)。
・科学技術はニュースになりにくいので、もっと一般の人を巻き込むような形を作る必要がある。
・ポスドク問題が取り上げられたとき、ポスドクを抱えすぎていると評価が下がると考えたある研究科は博士取得後5年以内の人しか採用しないと決定し、かえって高齢ポスドクが苦境に立たされた。善意で作られた政策が実態と乖離しているため、かえって現場を困難にする事例が多すぎる。
・日本の社会体制がキャッチアップ型で作られている。優秀な人を優遇することで新のイノベーションを起こせる体制を…
・寄付する文化がもっと必要。
・若い人にポスドクの苦境をきちんと教えて、リスクマネージメントすることを(対処療法として)教える必要がある。
・企業に研究者のニーズはあるが、企業秘密に係わるような領域であるのが普通であるため、マッチングが難しい。
・社会は学位をちやほやしてくれないので、それを受け入れる準備を博士課程の段階で受け入れるべきだ。
・科学者からのメッセージが、単に金くれ、ポストくれ、待遇が悪い、では困る。
・サイエンスショップのような、市民が研究してしまうようなカルチャーをつくる。
・大型プロジェクトが多い。研究領域の重複が多い。
・実はコミュニケーションという意味では、川崎図書館、浦安図書館のような地方の図書館ががんばっている。
・研究の現場も重要だが、政策立案の現場の問題も知って欲しい。政策立案に係わるスタッフの人数が圧倒的に少ないため、情報収集が困難。もっと現場からの声を、NPOのような形でまとめて、伝えて欲しい。
・NPOがポスドク110番のような相談所を作ったらいいのではないか?
・NPOなどにも研究ニーズがあるので、そういったところに進出する人材にも支援を…。
正直な話、これまでの政策研究会があまり活発ではなかったため、今日のミーティングが終わったら、すこし事業としては縮小させようかとも思っていたのですが、これはもう少し続ける責任が出てきたように思います。
(じっさい、うれしい反面、ちょっと困ってます)
ご協力お願いします。
京阪電車中之島線のなにわ橋駅で(だいたい)毎日行われている中之島コミュニケーション・カフェのラボカフェ・プロジェクトですが、昨日はサイエンスカフェでした。
中之島コミュニケーション・カフェは京阪電車がなにわ橋駅に設置したアートエリア B1を利用して行っています。
今回のサイエンス・カフェは「気候変動とまちづくり: 地球温暖化は本当に脅威なのか?」と題して、大阪大学 大学院工学研究科の下田吉之教授にお話しいただきました。
進行役は当センターの平川准教授が勤めました。
これを目当てに来ていただいた方、たまたまアートエリアの壁面の展示に目をとめて入ってみたら始まったので座っていたという方、コミュニケーション・カフェ全体に興味がある常連さん(候補?)など、20人ほどに最後まで席を立つことなく、議論に参加していただきました。
話の内容は、(1)地球温暖化とは何か?、(2)地球温暖化に対する対策とは?、(3)温暖化とまちづくり、という三点に渡りました。
まず、地球はかつて(恐竜の生きていた時代には)二酸化炭素が1000ppmを超える濃度の世界であり、主として植物の働きによって化石燃料の形でそれらが地下に封じ込められたことによって現在の280ppm前後の値に落ち着いたこと、人類の歴史はおおむね280ppmの濃度の中で作られたことが説明されました。
それが、ここ10年ほどに一気に380ppmに上昇しているわけで、これによってIPCCの推計によれば温度が2〜4度の間で上昇することは「ほぼ確からしい」と言われています。
このIPCCの推計については、会場から疑念も提示されましたが、ほぼ確かである上に、影響が甚大であることを考えると、なんらかの対策はとられるべきだ(どの程度の対策を取るかは議論の余地がある)、という議論の流れになりました。
影響としては、例えば地盤の弱い中之島では、海面の上昇の影響を受ける可能性があり、つくったばかりの(会場である)なにわ橋駅も数十年で使えなくなることだって考えられる、というような説明がありました。
また、温暖化に対する対策としては、CO2の排出量は、
CO2排出量=(CO2発生量/エネルギー消費)×(エネルギー消費/総生産)×(総生産/人口)×人口
であり(茅の恒等式)、(人口については議論の余地があるが)少なくとも3つのファクターを上手く少し筒減らして行けなければ、効率的な削減は達成できないと述べられました(逆に言えば、ひとつのファクターを20パーセント削減できれば、全体では5割近い削減になるし、不可能でもないが、ひとつのファクターを一気に5割削減するのは大変に難しい)。

では、なにをすれば削減になるのかということですが、例えば家庭消費でいえば暖房と温水供給が非常に大きく、冷房を我慢することはCO2削減という観点からはさほど重要ではなく、究極的には住宅断熱を進め、都市をコンパクト化して熱効率を高めることが最大の温暖化対策であるということが述べられました。
また、太陽温水器や太陽光発電などが、日本は一時世界の最先端を走っていたがいつの間にか欧州に抜かれている現状などが紹介され、継続的な努力の必要性が説明さました。
また、欧州の都市計画をまねすべきだというわけではないが、と断りつつも、オランダやデンマーク、スウェーデンなどで熱効率に配慮した街づくりが行われている事例が紹介され、一方で大阪のばあいは都市計画という観点に乏しく、緑地なども十分にないため、ヒートアイランドなどが深刻な問題になっているという現状を考えるべきだと論じられました。
また、会場からも、温暖化がだけ本当に問題なのか、ほかの観点にも目を向けた上で、バランスよく環境に配慮したライフスタイルが必要なのではないかという指摘があり、下田教授からも「研究者の間でも、CO2だけを問題にするのはカロリーだけで食事を選ぶようなものだと話題になる」という話が出されました。
気候変動は身近であるが、簡単な問題ではないが、大阪という土地柄を反映してか、参加者の皆さんからも日頃気になっていることなどが活発に問題提起され、カフェとしては充実したものになりました。
週末、STS Network Japan夏の学校に行って参りました。
終了日の午後、東北大からの参加者の方の発案で、野蒜築港資料室に出かけました。
Wikipediaの野蒜築港という項目によれば、
野蒜築港(のびるちくこう)は、明治初期に仙台湾の野蒜で行なわれた港湾建造事業。日本初の近代港湾の建設であり、明治政府による東北開発の中心的な事業と位置づけられていたが、完成から3年後に台風で突堤が崩壊し、施設はそのまま放棄された。現在では土木学会選奨土木遺産となっている。また、三国港、三角港とともに明治三大築港とされる。
ということで、日本でも最初といってよい、大規模港の開発だったようです(港の近代化工事としては横浜より早い!)。結局、台風、資金難、場所の選定プロセスの誤りなど、もろもろの事情が合わさって、完成されることはなく放棄されてしまったようです。
しかし、この片田舎の海岸線が、もし歴史的な条件がちょっとだけ違っていたら横浜や福岡に匹敵する港になっていたかと思うと、なかなか感慨深いものがあります。
上の写真がその当時の資料を集めた資料館。地元の人の努力で運営されているという感じで、非常に好感が持てます(当時の歴史を丁寧に解説していただきました)。
資料館の対岸(下の写真)が、当時内港として建設された部分です。
当時の港は外洋からの大型船が泊まる外港があり、そこで荷物を下ろして小さな船に積み替えて、小さな船で内港に運んで陸揚げするか、そこからさらに川や運河を使って内陸に運ぶというシステムになっていました。
野蒜からは北上川(の下流である石巻)などに運河が建設されています。
この運河と内港まで建設されたものの、内港を守る突堤と外港の工事がうまくいかず、台風などを期に工事が放棄されたと言うことのようです。
石巻には伊達政宗が支倉常長を欧州に派遣したときのサン・ファン・バウティスタ号を復元した宮城県慶長使節船ミュージアム(愛称:サン・ファン館)もありますし、実はこのあたりは歴史という意味では非常に面白い地域かもしれません。
仙台と石巻をつなぐ仙石線も、昔に比べるとずいぶんと本数も増えたという印象ですし、機会があったらまた行ってみようと思います。
科学技術社会論学会 (Japanese Society for Science and Technology Studies) のジャーナル『科学技術社会論研究』の第五号が発行されました。
特集が「サイエンス・コミュニケーション」ということで、NPO法人サイエンス・コミュニケーションの代表理事である榎木英介氏との連名で「科学技術政策とNPO: 政策提言型科学技術NPOの現状と課題」が載っています。
執筆したのが2006年の秋頃なので、「現状と課題」なのかやや疑問無しとはしませんが、「現状」はともかくとして「課題」は何一つ解決されていないのは確かだと思われます(笑。
科学技術社会論研究 5 (5)
科学技術社会論学会編集委員会
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※バックナンバーは玉川大学出版部のサイトで確認できます。
大阪大学サイエンスショップがらみのお知らせです。
募集ガイダンスを開催!大阪大学サイエンスショップ 短期研究調査プロジェクト 学生リサーチ・スタッフ募集! 募集ガイダンスを開催!
7月からスタートする「短期研究調査プロジェクト」に参加してくださる学生リサーチスタッフを募集します。学部生・院生、専門を問わず誰でも参加できます!ガイダンスの日程は以下のとおりです。ガイダンスに出席できない方は、「連絡先」までご連絡のうえ、個別に相談してください。■ ガイダンスの日程
日時: 6月23日(月)・26日(木) 18:30〜
会場: CSCDオレンジショップ(豊中キャンパス 基礎工J棟1階)
http://www.es.osaka-u.ac.jp/access/index.html
内容:
・ サイエンスショップについての説明
・ 短期研究調査の実施についての説明
・ ミニワークショップ連絡先: scienceshop[ at ]cscd.osaka-u.ac.jp ([ at ]を@に変えてください)
■ 「短期研究調査プロジェクト」とは?
「短期研究調査プロジェクト」は、1〜2ヶ月程度で解決できるような比較的簡単な課題に取り組むものです。簡単とは言っても、扱い方によっては、いろいろ深く・広く研究することもできます。また、単に研究・調査するだけでなく、結果の公表の仕方も、映像などマルチメディアを使ったり、研究・調査のプロセスでも、たとえば取材やインタヴューに行ったときの様子を写真やビデオで記録し、ブログなどで随時報告していくなど、さまざまな工夫ができます。
スタートの段階で扱う課題は、これまで大阪大学サイエンスショップで集めたものや、参加する学生の皆さん自身が考えるものとなりますが、やがては学外から一般募集する予定です。
■ そのほかのサイエンスショップの活動(今後の予定)
サイエンスショップには、ほかにも様々な活動があります。
(1) 中長期研究調査プロジェクト
半年〜1年以上かけてじっくり取り組むプロジェクトです。現在は、試行的にパイロットプロジェクトを実施および計画中です。(学外からの課題の受付はまだしていません。)(2) 研究調査以外の活動
会議やワークショップの企画・開催の支援
教材や資料の制作 (教育関係者やNPOとの協働)
メディア支援 (NPOなどのHPや広報資料のデザイン、マルチメディア支援、翻訳など)(3) 基盤調査 1: 大阪大学の研究リソースの調査 〜 社会に貢献する研究を探そう!
地域社会や市民に貢献する可能性のある大阪大学の研究テーマを、研究室取材などを通じて探ります。データベースの構築などを通じて、大阪大学と地域社会とのよりよい橋渡しができるようにします。(4) 基盤調査 2 : 地域社会の研究ニーズ調査
地域社会には、どのような解決すべき問題があるのか、解決に向けて大学が貢献できる課題は何かを、大阪大学の学生とともに探ります。京阪神を中心とした地域で活動されているNPO/NGOのみなさんに対するアンケート調査やヒアリング調査など、現在、計画中です。
大阪大学サイエンスショップのリーフレットを以下のURLからダウンロード頂けます。
大阪大学サイエンスショップ リーフレット(PDF)
http://handai.scienceshop.jp/images/pdf/handaisienceshopleaf_v01.pdf
大阪大学サイエンスショップ
http://handai.scienceshop.jp
以下の報告書がPDFでアップされています。
サービスロボットシステム安心技術調査研究専門委員会 2008 『サービスロボットシステムにおける安心技術に関する調査研究報告書 平成20年3月』機械システム振興協会
http://www.jara.jp/publication/04.html
http://www.jara.jp/publication/dl/servicerobot_system2.pdf
二章(っていうか、一章とちょっと、という感じですが…)書きました。
「2.6 安心をめぐる人文社会的議論の歴史: 東西文化比較を中心に」(pp. 100-110)
「2.7 ロボットと社会の関係に関する社会心理学的調査: ICタグについての調査事例研究」(pp. 111-112)
2.6章のほうは鉄腕アトムとか攻殻機動隊とかアイザック・アシモフとかカレル・チャペックの話をしていて、まぁ、書いてて楽しかったですけどね。
研究費でDVDを買えたりするとなお良かったのだが、今回はそういう経費はいただけませんでした(笑)。
しかし、財源は競輪だったのか…。






