ヘイッキ・パトマキ氏講演 (通過取引税)

Heikki Patomäki Lecture about CTT (Ritsumeikan Unversity)
 昨日(2009年1月7日)は立命館大学で、ヘイッキ・パトマキ(Heikki Patomaki)氏の講演でした(今日は東京で講演されているはず)。
 パトマキ氏はフィンランド生まれの政治学者で、ヘルシンキ大学、ロイヤル・メルボルン工科大学(RMIT)などで教えています。
 

 "Democratizing Globalization: The Leverage of the Tobin Tax""A Possible World: Democratic Transformation of Global Institutions""The Political Economy of Global Security: War, Future Crises and Changes in Global Governance"といった著作があり、通過取引税(CTT。いわゆるトービン税)の推進派として論陣を張っています。

 今回の講演のポイントは、たぶん昨年の金融危機に関する認識だと思いますので、ポイントだけ列挙。

 要約すると
・2004年以降、通過取引税導入に対する国際的な市民社会の勢いは鈍っている。
・ひとつには、例えば今回の金融危機が、90年代型の通貨危機ではないという事情があるだろう。
・しかし、プラザ合意以降、世界の経済の不安定性は増しており、経済の変動幅が大きくなっていることが解る(写真参照)。
・今回もその変動のひとつである。従って、今回の危機が去った後も、根本的な金融制度の改革がなければ、さらに大きな不況がやってくるであろう。
・オルタナティヴな金融システムが提唱されなければいけないが、今はそういう機運が十分高まっているとは言い難い。

 …わりとペシミスティックですね。

・シラク(フランス前大統領)とルラ(ブラジル大統領)が提唱した通過取引税構想は、全世界(あるいは、少なくとも3大金融拠点を抱えるアメリカ、EU、日本)の足並みがそろうことを前提としている時点で現実的ではない(通貨取引税はもっと分散的に始められる)。
・また、抑制しなければいけない危険な取引についても、極めて狭い範囲の取引しか想定しておらず、不十分である。

 というような感じでした。

    

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: ヘイッキ・パトマキ氏講演 (通過取引税)

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://talktank.net/mtype/mt-tb.cgi/381

コメントする

このブログ記事について

このページは、かすががJanuary 8, 2009 6:10 PMに書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「あけましておめでとうございます」です。

次のブログ記事は「大山崎通過」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.27-ja