「ブログ」の要はパーマリンクである

 ブログ、ごぶさたですが、どうも花粉症気味なこともあって、昼夜逆転したり、アタマがぼーっとしたりしています。
 Mixiで知り合いの日記にコメントしたんですが、自分で書いていてけっこう重要なポイントを説明しているような気がするので、こちらにも(多少書き加えたものを)アップしておきます。


 結局「ブログ」ってなんだってことなんですけど、「ブログ」の特徴というか、メリットと言える部分はたぶん、おおざっぱに言って4つあって、

1)Permalinkと呼ばれる、すべての記事に対する固有のURLが自動的に振られる。
2)RSS(Really Simple Syndication/RDF Site Summary)というサマリーを自動的に発行して、更新を通知できる。
3)トラックバック機能がある
4)コメント機能がある

 というものです。

 で、アメリカなどの議論を見ていると、ブログがブログであるための最も重要な要素は(1)であると認識されているようです。
 というのも、このことによって、参照元を適格に表記できるため、ウェブが紙媒体(書名とページ数で参照元を表記できることになっている)に勝るとも劣らない言論空間になるからです。

 基本的に言論(対話、ディベート、弁証法…まぁ、西洋文化の伝統の中では要はどれも一緒です)では対話を事後に追跡できるように行うと言うことがとても重要視されていました。
 ウェブが紙媒体に劣るとされるのは、この事後の追跡性に劣る(URLが変わる。「XXさんの日記の何月何日分」などと表記しないと行けない)という部分が非常に大きかったわけですね。
 それが「ブログ」で一変したわけで(まぁ、それでもURLが「絶対に」変わらない訳じゃないですが)、日本では「手軽な日記ツール」として導入されたし、もちろんそういう側面が重要でないわけではないのですが、もっとも重要なのはこの「言論空間」あるいは「公共圏」としてのウェブの強化につながった、と言うことであるはずなのですね。

 これは、そういった言論空間の価値を信奉している(はずの)大学人にとって、非常に革命的なことであるはずです(まぁ、理論的には、ということですが…)。
 だから、「科学コミュニケーション」ばやりで、雨後の竹の子のように大学関係者のブログがわいてでているところですが(いや、正直5年前だったら「遊んでないで研究しろ」と言われた所なんですね、これ)、それをどう生かすか、という議論が今後、必要と言えるんじゃないかと思います。

 したがって、ブログの真価とは「1つのブログないしIDが一人の発言者に結びついている」ことと「他のブログの発言に対して批評しようとしたとき、そのブログ記事を明確に表せる」ということであるならば、コメントに依存することは実はこの「公共性」の純粋さを傷つけるという側面もあるように思います。
 要するに、コメント欄はなくても「ブログ」は成立する。
 一方、トラックバックが必須であるとは言えないし、実際GoogleのブログサービスであるBloggerなどは元々トラックバックを提供していませんが、一方でトラックバックはここで述べたような言論空間としての特性を強化してくれるという意味で、ブログというシステムに非常に親和的だったのではないかと思います。
 また、RSSもトラックバックと似たような所があるでしょう。

 したがって、最初にあげた1〜4の特徴は、その順番でブログにとって重要な要素とも言える気がします(トラックバックとRSSのどちらが重要かは議論のあるところでしょう)。

 とはいっても、どこの世界でも実名でブログを書くリスクというのはありますから、コメント欄もそれなりに意味はあると思います。
 ただ、匿名で注意深く書くことを推奨するようなガイドブックも「国境なき記者団」などから公開されていたりしますし、できるならば発言の連続性を保つためにも、ブログとトラックバックによる言論の構築が好ましいとはいえるでしょう(「ブロガーとサイバー反体制派のためのハンドブック (by 国境なき記者団)」参照)。

 まぁ、いずれにしても、大学関係者ぐらいは自分の研究についてちゃんと実名で説明するブログを書くというのは、義務(アカウンタビリティ)であると考えたほうが、逆に長期的に見れば実名で書きやすい組織になっていくでしょうし、好ましいんじゃないでしょうかね。

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このページは、かすががOctober 21, 2005 2:03 AMに書いたブログ記事です。

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