ETV特集「アフリカと世界と日本と」

 ETV特集「アフリカと世界と日本と」(NHK 8日22時から)はMDGsや国連サミットの問題を取り上げていた。
 若干ホワイトバンド・キャンペーンにも触れていたが、基本的にはアフリカの現状を分析するという趣旨。
 出演は「ほっとけない」キャンペーン賛同団体でもあるアフリカ日本協議会の林達雄氏や『アフリカは本当に貧しいのか』などの著作のある勝俣誠氏。

   9月14日から、国連で “ミレニアム+5サミット”が開かれる。  2000年のミレニアムサミットでは、途上国、とりわけアフリカの貧困の解決に向けての国際社会の責任が確認され、2015年までに達成すべき具体的な数値目標が設定された。  あれから5年、その達成の度合いが国連の場で検証される。アフリカの現実に国際社会は何をなし得て、何ができなかったのか。そして今、どのような視点が必要とされているのだろうか。  ここ数年、他の先進諸国がアフリカに対する援助を急増させてきたのに対し、日本だけは対アフリカ援助を減額し続けている。日本は今後、国際社会の要請に、具体的にどう答えていくのか問われている。NHKスペシャル4本シリーズ『アフリカ ゼロ年』を素材化し、内戦や貧困など提出された問題の意味を深化させ、同時に日本が果たすべき役割を考えてゆく。

<出演>
勝俣誠 (明治学院大学教授 国際平和研究所 所長)
林達雄 (アフリカ日本協議会 代表)
船田クラーセンさやか (東京外国語大学 専任講師) ほか

 全体に「もっと言うことがあるんじゃ」という気がしたが、まぁ、NHKが用意する素材や時間そのものの制約もあるし、難しい(それにテレビという場でいつも通りに振る舞うのは難しい、というのも個人的にも経験したし)。
 ただ、「独裁政権に貸してきた現実が」という船田氏の指摘に、中盤から登場した外務省の人の「ヨーロッパが貸してきました。日本はそういうことをしていません」というような反論。
 これにNGO/学者サイドが誰も切り返せなかったのは残念。
 そういう例はいくらでもありますがな。

 まぁ、「日本は…」という言い方は2ちゃんねるなんかでは散見されていたが、外務省としてもオフィシャルに使うんだ、というのが確認できたのはちょっと収穫ではあった。
 そのへん、外務省も抜けていると思うのは、もしそれを日本政府のオフィシャルな見解として押し出していくなら、ウェブサイトにこんなの残しておいてはいけないでしょう↓

 1.日本の援助実績
(1)有償資金協力(2003年度まで、EN(交換公文)ベース)497.54
  (73年マタディ橋345億円は地域内最高額)

 「地域内最高額」とか威張っちゃってますが、マタディ橋が建設されたときのザイールの最高権力者はアフリカどころか戦後史全体でも五指に入るであろう悪名高い独裁者、モブツ・セセ・セコですね。

 ちなみにモブツについてのWikipediaの説明も見ておこう。

 対外的には、東西冷戦を利用して、アフリカにおける反共の砦を以て任じ、その見返りに西側先進国からの支援金を一手に引き受けて、そのほとんどを着服した。モブツの不正蓄財は総額およそ50億ドルといわれ、西欧諸国、西アフリカ、モロッコ、ブラジルなどに、豪華別荘や古城・豪邸を保有し、隠し銀行口座を設けた。国内では、中央アフリカとの北部国境付近のグバドリテ高原に、失脚間際に逃げ込んだ自家用飛行場つきの巨大な宮殿を建設した。この宮殿は「ジャングルのヴェルサイユ宮殿」と呼ばれた。


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コメント(2)

ものえ :

お知らせ、ありがとうございました。途中から見ましたが、非常におもしろかったです。

番組の中で外務省のおっちゃんが、アフリカの希少金属と日本経済のつながりに触れて、アフリカ援助の意義を説明してましたけど、あれはNGOサイドからも重要な視点だなと思いました。

ODAの5割がアジアに供与されてるのは、単にアジアが日本にとっておいしいマーケットだから、ということを暗に示唆しているような…

出演されていた船田さんは2KR(食糧増産援助)ネットの世話人をされてますが、あんな有害な援助(現地に農薬のニーズがないところに大量の農薬を送って期限切れ、汚染物質化している)が行われていたのも、そもそも日本のODAが日本の商社のニーズに応えて供与されてきたからでしょう。

2KR
http://www.paw.hi-ho.ne.jp/kr2-net/index.html

ASJによるファクトシート(ちょっと古いですが)
http://www.aseed.org/econavi/reserch/project/food_donation.html

win-winならODAを「国益」と結びつけるのもいいと(個人的には)思うのですが、そうでないならダメでしょう、少なくとも被害与えるのはもってのほか、と思います。

船田さんにしろ勝俣さんにしろ、ODA改革やジュビリーに深く関わってきた方々ですから、あのおっちゃんにはもっと反論できたはず、と思いますが… でも地上波で、あのメンツで、あれだけ日本の政策批判を含む話ができたのは、成果だとも思いますよ〜。

長文、失礼しました!

かすが :

コメントありがとうございます

>win-winならODAを「国益」と結びつけるのもいいと(個人的には)思うのですが、そうでないならダメでしょう

 そうですね。
 国益と人道主義を高いレベルで両立させるのが、本来、外交官や政治家の腕の見せ所、というところだと思います。
 で、成熟した民主国家であれば、その能力が発揮されているか、国民は慎重にチェックしなければいけない、ということではないかと…。

>でも地上波で、あのメンツで、あれだけ日本の政策批判を含む話ができたのは、成果だとも思いますよ〜。

 ここ、まったくその通りですね。

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このページは、かすががOctober 9, 2005 12:19 AMに書いたブログ記事です。

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