シンポジウム「日本の科学技術コミュニケーションはいかにあるべきか?: 第四期科学技術基本計画に向けた提言」報告

Science Agora 2008

 サイエンスアゴラにてNPO法人サイエンス・コミュニケーション主催のシンポジウム「日本の科学技術コミュニケーションはいかにあるべきか?:第四期科学技術基本計画に向けた提言」を実施しまた。
 6〜70人の参加者が集まったことにまずびっくり。というのも、去年似たようなことをアゴラでやったときは、数人の参加者だったのです。
 去年と今年でなにが違うのか、関係者全員悩んでいます。

 シンポジウムの進め方は、NPO代表の榎木さんのほうから科学技術基本法について説明をしたあと、(仕込みも含めて)会場から実際に問題を語って貰うという方式を採用しました。
 結果的には、文系理系の研究者、マスメディア関係者、官僚、NPO関係者、科学館職員など、多彩な方からの発言をいただけたこともよかったと思います。

 出された意見を適当に引いてみます(私個人のメモをもとにした私的なメモです。間違えやニュアンスの違いは当然あるものとしてお読みください)。

・科学技術はニュースになりにくいので、もっと一般の人を巻き込むような形を作る必要がある。
・ポスドク問題が取り上げられたとき、ポスドクを抱えすぎていると評価が下がると考えたある研究科は博士取得後5年以内の人しか採用しないと決定し、かえって高齢ポスドクが苦境に立たされた。善意で作られた政策が実態と乖離しているため、かえって現場を困難にする事例が多すぎる。
・日本の社会体制がキャッチアップ型で作られている。優秀な人を優遇することで新のイノベーションを起こせる体制を…
・寄付する文化がもっと必要。
・若い人にポスドクの苦境をきちんと教えて、リスクマネージメントすることを(対処療法として)教える必要がある。
・企業に研究者のニーズはあるが、企業秘密に係わるような領域であるのが普通であるため、マッチングが難しい。
・社会は学位をちやほやしてくれないので、それを受け入れる準備を博士課程の段階で受け入れるべきだ。
・科学者からのメッセージが、単に金くれ、ポストくれ、待遇が悪い、では困る。
・サイエンスショップのような、市民が研究してしまうようなカルチャーをつくる。
・大型プロジェクトが多い。研究領域の重複が多い。
・実はコミュニケーションという意味では、川崎図書館、浦安図書館のような地方の図書館ががんばっている。
・研究の現場も重要だが、政策立案の現場の問題も知って欲しい。政策立案に係わるスタッフの人数が圧倒的に少ないため、情報収集が困難。もっと現場からの声を、NPOのような形でまとめて、伝えて欲しい。
・NPOがポスドク110番のような相談所を作ったらいいのではないか?
・NPOなどにも研究ニーズがあるので、そういったところに進出する人材にも支援を…。

 正直な話、これまでの政策研究会があまり活発ではなかったため、今日のミーティングが終わったら、すこし事業としては縮小させようかとも思っていたのですが、これはもう少し続ける責任が出てきたように思います。
 (じっさい、うれしい反面、ちょっと困ってます)
 ご協力お願いします。

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このページは、かすががNovember 23, 2008 1:13 AMに書いたブログ記事です。

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