【やっつけ翻訳】 国際金融システムの見直しのために提案されている「グローバル・サミット」に対する提言

 ジュビリーサウス他からせっつかれたので、とりあえず翻訳。
 こちら("Statement on the proposed “Global Summit” to reform the international financial system")から組織および個人として署名できます。

 国際金融システムの見直しのために提案されている「グローバル・サミット」に対する提言


・背景

 過去数ヶ月は北アメリカとヨーロッパの歴史において最も重要な金融危機のひとつであったと見られる。これに対する反応も歴史的であった。グローバルな景気後退を押しとどめ、市場の信頼と安定性を取り戻すために、北の政府は、銀行の国有化、経営不振の組織への大規模な補助金の注入、それらの金融セクターに対する再-規制といった、前例のない、巨大なプログラムを遂行しようとしている。
 この反応は、世界銀行、国際通貨基金(IMF)および先進諸国によって第三世界に押しつけられてきた厳格な新自由主義的政策と、明白な対称ををなしている。第三世界政府は貿易障壁を取り払い、金融と労働市場の規制緩和を行い、国営事業を民営化し、補助金を撤廃し、社会的あるいは経済的な支出を削減することを求められてきたのである。諸国は、自分たちの役割が厳しく低下していくのを目の当たりにしていた。
 このダブル・スタンダードは受け入れがたいだというだけにとどまらず、自由主義市場原理主義が終焉を迎えたことを示しているだろう。国際的な金融システム、その設計から制度まで、現在の金融及び経済危機の規模によって完全に打ちのめされたと見るべきである。金融システム、その設計と制度は完全に考え直されなければいけない。

・グローバルな危機への真にグローバルな反応

 最近数週間において、世界各国の指導者たちは現在のシステムの不足と、グローバルな金融システムと制度を再構築するための提案を幅広く論じ合うための会議の必要性を認識した。G20は11月15日にワシントンDCにおいて会合を開き、討議を開始する。もちろん、危機に対処するための即時的な手法についての合意は喫緊の課題であるが、我々は一般の雇用者、労働者、低所得世帯、年金生活者やそのほかの極端に脆弱なセクターの人々への対応を優先すべきであると強調したい。我々は、提案されている会合が、性急で、排他的な手法で行われ、結果として必要とされる包括的な対策が取られず、また負担が適切に配分されないことを憂慮している。
 北の国々に起源をもつ危機にもかかわらず、その影響は発展途上国で最も大きなものになるだろう。従って、国際的な金融の制度設計の変革のプロセスの中で、すべての国がその意見を表明することが重要である。多くの国々と市民社会を排除し、性急に準備された会議では、現在のシステムを変容させるための公平で持続的な解決策はもたらせないだろう。これらの奮闘は実際のところ、公的な信用と信頼をさらに傷つけ、またすでにより強力で、整合性があり、公平な金融システムのための地域的な解決策を選択している国々から権利を奪ってしまうだろう[※訳注 Banco del Surが念頭にあると思われる]。


・我々の要求 根本的な再考の時である

 我々、本提言に署名した市民社会組織は、国際的な金融及び経済システムの根本的で遠大な変容を要求する。この目的に適うように、我々は、以下の条件が満たされることを前提に、国連によって招集され、国際的な金融及び通貨の制度設計、またその組織とガバナンスを見直すための会議を開催することを支持する。

1. 包括的な、世界のすべての国々の参加

2.市民社会、市民のグループ、社会運動やそのほかのステークホルダーの代表の参加

3.危機から最も影響を受けた人々が参加する、地域的な協議会の予定と具体的プロセスの明示

4.見通しにおいて包括的であり、問題と制度のすべてに取り組むこと。

5.透明で、提案や草稿段階での書類は公的に利用可能な形で提示され、会議の進展の中で議論されること。

 グローバルな金融システムのための新しい国連のタスクフォース、来るべき国連開発金融会合や、グローバルな会合を準備しはじめたその他の国連機関が十分に活用されるべきである。

 不安定と不平等をもたらしている現在のシステムから、公正で、持続的で説明責任を持った、世界の多数の人々へのメリットを生み出すようなシステムへの移行に手っ取り早い解決策はあり得ない。

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このページは、かすががOctober 29, 2008 6:13 PMに書いたブログ記事です。

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